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蛇足編
サキュバスの正体は……
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「なあ、悪い事を言わないから一緒に戻ろうぜ。助けてくれた礼はするからよ」
「どうしますか?別にここに長居する理由もありませんし、私はいいですよ」
「そうだな、なら帰るとするか」
レナとホネミンは他の冒険者と共に捕まえた男と一緒に転移台で帰ろうとした。ちなみに気絶したテンも忘れずに連れ帰り、全員が転移台に上がろうとしたが人数が多すぎて乗り切れなかった。
「うおっ……流石にこの人数だと一気に帰れそうにないな」
「それなら私達は後から転移しますよ。あ、でもこの人達は先に連れ帰って下さいね」
「おう、悪いな。それなら外で会おうぜ」
冒険者に気絶したテンと男を預け、彼等を先に迷宮の外へ帰らせる事にした。転移台は何事もなく作動し、彼等の姿が消えるとホネミンはレナに頷く。
「レナさん」
「ああ、気づいてるよ。そこに隠れている人!!早く出て来い!!」
二人は通路を振り返ると、曲がり角からこちらの様子を伺っていた何者かに警告する。二人とも先ほどから自分達の様子を伺う者の気配に気付いており、迷宮内に甘い香りが広がった。
「何だ?この香り……」
「レナさん、注意して下さい!!鼻を抑えてください!!」
「うふふっ……勘の鋭い子ね」
曲がり角から現れたのは女性であり、マントで身を包んでいるが何処かで聞き覚えのある声だった。レナはその声を耳にした瞬間に嫌な予感を抱き、咄嗟にホネミンの背後へ隠れた。いきなりのレナの行動にホネミンは驚く。
「ちょ、どうしたんですかレナさん!?私を盾にするつもりですか!?」
「馬鹿、違う!!あいつはまずい……早く逃げるぞ!!」
「あら、逃がすと思ってるのかしら?」
現れたサキュバスだと思われる女性の声を聞いた瞬間、レナの脳裏には冒険都市を襲った腐敗龍の存在が頭に思い浮かぶ。腐敗龍が冒険都市を襲撃した際、裏で腐敗龍を操っていたのは死霊使いだった。
――死霊使いの正体はキラウと呼ばれる吸血鬼であり、彼女はゲインを吸血鬼に変貌させ、過去にレナ達と何度か衝突した事もある強敵だった。そして彼女の真の正体はアイラとハヅキの実の姉で本名は「アイラ」であり、ハヅキが最初に産んだ娘でもある。
彼女は色々な事情でハヅキ家から追放され、その後は吸血鬼になって死霊使いとなった。彼女の実力は本物でマリアとも渡り合う優れた魔術師でもあり、レナからすれば叔母に当たる人物でもあった。もしも顔を覚えられたら厄介な事になり、この時代のハヅキと接触すれば未来の世界にも確実に大きな影響を与えるのは間違いない。
ホネミンの後ろに隠れながらレナは顔を隠す方法がないのかを考え、この時に彼は先ほど狼の被り物をしていたガオを思い出す。彼のように被り物をすれば正体を隠せると考え、ホネミンに何かいい物がないのか尋ねた。
「ホネミン!!顔を隠せるの持ってない!?仮面でも覆面でもスライムなんでもいいから!!」
「ええっ!?いきなりそんな事を言われても……というか、スライムを被った事があるんですか?」
「前に変装した時に何度か……というか、ホネミンも経験あるだろ」
「あ、言われてみればそうでしたね」
レナもホネミンもペットのスラミン達に協力してもらい、顔を買えた事があった。ホネミンの場合は顔どころか全身にスライムを張り付かせて人間の頃の自分の姿に擬態していた事もあるが、今はそれどころではない。
「何を話しているのかしら?私を無視するなんて悲しいじゃない……今すぐに死にたいのかしら?」
「ひいいっ!?この人、メンヘラみたいにやばい気配を纏ってますよ!?」
「いいから早く出せ!!顔を隠せればいいから!!」
「そういわれましても……あ、包帯ならありますけど、これならどうですか?」
「ミイラになれと!?」
会話の際中にホネミンは怪我の治療用に念のために用意していたおいた包帯をレナに差し出すと、仕方なくレナは包帯を受け取って急いで顔に撒き始める。顔さえ見られなければ問題ないと判断し、彼は急いで包帯を巻き付けようとするが、それを見たキラウは不審に思って杖を差し出す。
「何をしているのか知らないけど……とりあえずは拘束させてもらうわ」
「わあっ!?ちょ、来ましたよ!?」
「時間稼いで!!」
キラウは杖を床に置くと彼女の影が実体化し、ダインも得意とする影魔法を発動させた。死霊使いは闇魔導士と同様に影魔法が扱え、しかも彼女の魔法の腕前は母親と同様に優れていた。
実体化した影を無数の触手に変化させてキラウはレナとホネミンを拘束しようとしたが、その前にホネミンは両腕を広げて全身に魔鎧を纏う。彼女の魔鎧は光を放ち、近づいてきた影の触手は光を浴びた途端に消滅していく。すると影を実体化させたキラウも影響を受けて表情を歪ませる。
「ホネミンフラッシュ!!」
「うっ!?」
「わっ!?め、目がぁっ……目がぁああっ!!」
「ちょっと!!ムスカの真似してる暇があったら早く何とかして下さい!!だいたい大して眩しくないでしょう!?」
「あれ、本当だ……」
ホネミンの間近にいたレナも彼女の放つ閃光で目が眩んでしまったが、言われてみれば強烈な光を目にしたが特に眩しい感じはしない。ホネミンの放つ光の正体は聖属性の魔力であり、人体には優しい光なので目に影響は与えない。
「どうしますか?別にここに長居する理由もありませんし、私はいいですよ」
「そうだな、なら帰るとするか」
レナとホネミンは他の冒険者と共に捕まえた男と一緒に転移台で帰ろうとした。ちなみに気絶したテンも忘れずに連れ帰り、全員が転移台に上がろうとしたが人数が多すぎて乗り切れなかった。
「うおっ……流石にこの人数だと一気に帰れそうにないな」
「それなら私達は後から転移しますよ。あ、でもこの人達は先に連れ帰って下さいね」
「おう、悪いな。それなら外で会おうぜ」
冒険者に気絶したテンと男を預け、彼等を先に迷宮の外へ帰らせる事にした。転移台は何事もなく作動し、彼等の姿が消えるとホネミンはレナに頷く。
「レナさん」
「ああ、気づいてるよ。そこに隠れている人!!早く出て来い!!」
二人は通路を振り返ると、曲がり角からこちらの様子を伺っていた何者かに警告する。二人とも先ほどから自分達の様子を伺う者の気配に気付いており、迷宮内に甘い香りが広がった。
「何だ?この香り……」
「レナさん、注意して下さい!!鼻を抑えてください!!」
「うふふっ……勘の鋭い子ね」
曲がり角から現れたのは女性であり、マントで身を包んでいるが何処かで聞き覚えのある声だった。レナはその声を耳にした瞬間に嫌な予感を抱き、咄嗟にホネミンの背後へ隠れた。いきなりのレナの行動にホネミンは驚く。
「ちょ、どうしたんですかレナさん!?私を盾にするつもりですか!?」
「馬鹿、違う!!あいつはまずい……早く逃げるぞ!!」
「あら、逃がすと思ってるのかしら?」
現れたサキュバスだと思われる女性の声を聞いた瞬間、レナの脳裏には冒険都市を襲った腐敗龍の存在が頭に思い浮かぶ。腐敗龍が冒険都市を襲撃した際、裏で腐敗龍を操っていたのは死霊使いだった。
――死霊使いの正体はキラウと呼ばれる吸血鬼であり、彼女はゲインを吸血鬼に変貌させ、過去にレナ達と何度か衝突した事もある強敵だった。そして彼女の真の正体はアイラとハヅキの実の姉で本名は「アイラ」であり、ハヅキが最初に産んだ娘でもある。
彼女は色々な事情でハヅキ家から追放され、その後は吸血鬼になって死霊使いとなった。彼女の実力は本物でマリアとも渡り合う優れた魔術師でもあり、レナからすれば叔母に当たる人物でもあった。もしも顔を覚えられたら厄介な事になり、この時代のハヅキと接触すれば未来の世界にも確実に大きな影響を与えるのは間違いない。
ホネミンの後ろに隠れながらレナは顔を隠す方法がないのかを考え、この時に彼は先ほど狼の被り物をしていたガオを思い出す。彼のように被り物をすれば正体を隠せると考え、ホネミンに何かいい物がないのか尋ねた。
「ホネミン!!顔を隠せるの持ってない!?仮面でも覆面でもスライムなんでもいいから!!」
「ええっ!?いきなりそんな事を言われても……というか、スライムを被った事があるんですか?」
「前に変装した時に何度か……というか、ホネミンも経験あるだろ」
「あ、言われてみればそうでしたね」
レナもホネミンもペットのスラミン達に協力してもらい、顔を買えた事があった。ホネミンの場合は顔どころか全身にスライムを張り付かせて人間の頃の自分の姿に擬態していた事もあるが、今はそれどころではない。
「何を話しているのかしら?私を無視するなんて悲しいじゃない……今すぐに死にたいのかしら?」
「ひいいっ!?この人、メンヘラみたいにやばい気配を纏ってますよ!?」
「いいから早く出せ!!顔を隠せればいいから!!」
「そういわれましても……あ、包帯ならありますけど、これならどうですか?」
「ミイラになれと!?」
会話の際中にホネミンは怪我の治療用に念のために用意していたおいた包帯をレナに差し出すと、仕方なくレナは包帯を受け取って急いで顔に撒き始める。顔さえ見られなければ問題ないと判断し、彼は急いで包帯を巻き付けようとするが、それを見たキラウは不審に思って杖を差し出す。
「何をしているのか知らないけど……とりあえずは拘束させてもらうわ」
「わあっ!?ちょ、来ましたよ!?」
「時間稼いで!!」
キラウは杖を床に置くと彼女の影が実体化し、ダインも得意とする影魔法を発動させた。死霊使いは闇魔導士と同様に影魔法が扱え、しかも彼女の魔法の腕前は母親と同様に優れていた。
実体化した影を無数の触手に変化させてキラウはレナとホネミンを拘束しようとしたが、その前にホネミンは両腕を広げて全身に魔鎧を纏う。彼女の魔鎧は光を放ち、近づいてきた影の触手は光を浴びた途端に消滅していく。すると影を実体化させたキラウも影響を受けて表情を歪ませる。
「ホネミンフラッシュ!!」
「うっ!?」
「わっ!?め、目がぁっ……目がぁああっ!!」
「ちょっと!!ムスカの真似してる暇があったら早く何とかして下さい!!だいたい大して眩しくないでしょう!?」
「あれ、本当だ……」
ホネミンの間近にいたレナも彼女の放つ閃光で目が眩んでしまったが、言われてみれば強烈な光を目にしたが特に眩しい感じはしない。ホネミンの放つ光の正体は聖属性の魔力であり、人体には優しい光なので目に影響は与えない。
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