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蛇足編
閑話 《ガロ君の黒歴史》
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「――そういえば昔、ガロは狼の被り物をしてたよね。あれ、最近はしてないけどまだあるの?」
「ぶほっ!?」
「うわっ!?汚いな、何すんだよ!?」
剣聖たちとの修行の間にミナはガロに尋ねると、丁度水を飲んでいた彼は噴き出してしまう。正面に立っていたモリモはガロの吐き出した水を浴びそうになって文句を言うが、当の本人は咳き込みながら怒る。
「げほげほっ……い、いきなり何を言い出しやがる!?」
「え?だって被ってたでしょ?」
「そういえばそうだったな」
『私も覚えてる』
実を言えばガロは氷雨に入った当初は狼の被り物を常に身に着けており、その事で他の者から珍しがられていた。だが、ある時を境に被り物を辞めるようになり、現在に至るまで被っていない。
「あの被り物、中々可愛いかったのにどうして被らなくなったの?」
「ああ、それはだな」
「モリモ、余計な事を喋るんじゃねえぞ!?」
ガロの相棒のモリモだけは事情を知っているのか理由を離そうとしたが、それをガロは必死に止めた。しかし、話を聞いていたシュンはガロを後ろから首を締め付けて抑え込む。
「面白そうな話だな。おい、モリモ……全部話せ」
「シュ、シュンさん!?」
「あ、はい……こいつの家系、長男は狼の被り物を身に付ける掟があるんですよ」
「え、何それ?どうして長男だけが被り物をするの?」
モリモの言葉にミナは不思議に思い、どうして長男だけが狼の被り物をしなければならないのか問う。モリモによればガロの家系は獣人族の中でも特殊な家系らしく、元々は獣人国の貴族だった事が判明する。
「獣人国ではそんなに珍しい風習じゃないんだとよ。獣人国の貴族の中には未だに被り物をしている人も多い。被り物をしている人間はその家系の跡継ぎを意味するらしいんだ。だから子供の頃から身に付けて、成人の年齢に達したら外す事が許されるみたいなんです」
「なるほど、つまりは跡継ぎの証というわけか。変わった風習だな……」
『前にマリアからバルトロス王国の王族は聖光石のペンダントを持ち歩いていると聞いた事がある。だが、獣人族の貴族は被り物か……』
「うるさいな!!昔の話を掘り返すなよ!!」
獣人国で被り物をする者は跡継ぎの証であり、成人するまでの間は常に身に付けているように義務付けられている。ガロは既に成人の年齢に達したので外した事が判明した。
ちなみにガロの家の被り物はとある魔物を倒した時に作られた被り物であり、価値はそれなりに高い代物だった。若い頃の彼の父親も祖父も身に付けていた代物であり、今は家に預けてあるがガロに息子が生まれたら被り物は軽傷される。
「なるほどな、獣人族の慣習みたいなもんか。そういう事ならあんまりからかえないな」
「え、意外ですね。シュンさんなら笑いこけそうなのに」
「森人族も慣習とかには厳しい種族だからな」
『馬鹿みたいな慣習でも笑いはしない』
「馬鹿って言ってんじゃねえか!!」
「ちょっ、ハヤテさんになんて口を……」
「うるせえっ!!こうなったら全員ぶった切ってやる!!」
「お、落ち着いてよガロ!?」
黒歴史を掘り起こされたガロは怒り心頭で襲い掛かろうとするが、それをモリモとミナが抑えつける。少しばかりからかいすぎたかとシュンとハヤテは頭を掻く――
――その頃、狭間の世界ではアイリスがレナとの繋がりが消えた事に戸惑っていた。彼女はレナと交信できなくなった事に不思議に思い、彼の存在が世界から消えた事に疑問を抱く。
「おかしいですね、やっぱりレナさんと交信できません。今までにも何度かありましたが、今回は繋がり自体がなくなっています」
これまでにも地球人の魂を持つ存在が傍にいる間はレナと交信できなかったが、今回の場合は事情が違った。これまでは交信ができなくてもレナの存在自体は感じ取る事はできたが、現在はレナがまるで世界から消えたかのように存在その物が消えてしまった。
仮にレナが死んだとしても魂が消滅していなければアイリスの力で狭間の世界に引き寄せる事はできる。しかし、今回の場合はレナが何処かに消え去ったように思い、彼女は心当たりがあるとすれば勇者が作り出したタイムマシンだった。
「まさかあの装置を発動させたんじゃ……そうなると困りましたね。もしも過去の世界に行ったとしたら私は干渉はできません」
アイリスの力を以てすれば過去の時代の世界を観る事はできるが、これまでのようにレナと干渉する事はできない。なぜならば過去の世界に下手に干渉した場合、未来の世界に影響が出てしまう。そうなるとこれまでの歴史が消えてしまう危険性があった。
「まあ、レナさんなら無事に戻ってくるとは思いますけど……暇ですね」
レナと干渉ができないとなるとアイリスは暇そうな表情を浮かべ、彼が帰ってくるまで待つ事しかできない。身体を寝そべりながらアイリスはレナが戻ってくるまで眠りにつく事にした。
※アイリス「ZZZ」スラミン「壁|д゚)ジー」←昼寝中のアイリスを観察するスラミン
「ぶほっ!?」
「うわっ!?汚いな、何すんだよ!?」
剣聖たちとの修行の間にミナはガロに尋ねると、丁度水を飲んでいた彼は噴き出してしまう。正面に立っていたモリモはガロの吐き出した水を浴びそうになって文句を言うが、当の本人は咳き込みながら怒る。
「げほげほっ……い、いきなり何を言い出しやがる!?」
「え?だって被ってたでしょ?」
「そういえばそうだったな」
『私も覚えてる』
実を言えばガロは氷雨に入った当初は狼の被り物を常に身に着けており、その事で他の者から珍しがられていた。だが、ある時を境に被り物を辞めるようになり、現在に至るまで被っていない。
「あの被り物、中々可愛いかったのにどうして被らなくなったの?」
「ああ、それはだな」
「モリモ、余計な事を喋るんじゃねえぞ!?」
ガロの相棒のモリモだけは事情を知っているのか理由を離そうとしたが、それをガロは必死に止めた。しかし、話を聞いていたシュンはガロを後ろから首を締め付けて抑え込む。
「面白そうな話だな。おい、モリモ……全部話せ」
「シュ、シュンさん!?」
「あ、はい……こいつの家系、長男は狼の被り物を身に付ける掟があるんですよ」
「え、何それ?どうして長男だけが被り物をするの?」
モリモの言葉にミナは不思議に思い、どうして長男だけが狼の被り物をしなければならないのか問う。モリモによればガロの家系は獣人族の中でも特殊な家系らしく、元々は獣人国の貴族だった事が判明する。
「獣人国ではそんなに珍しい風習じゃないんだとよ。獣人国の貴族の中には未だに被り物をしている人も多い。被り物をしている人間はその家系の跡継ぎを意味するらしいんだ。だから子供の頃から身に付けて、成人の年齢に達したら外す事が許されるみたいなんです」
「なるほど、つまりは跡継ぎの証というわけか。変わった風習だな……」
『前にマリアからバルトロス王国の王族は聖光石のペンダントを持ち歩いていると聞いた事がある。だが、獣人族の貴族は被り物か……』
「うるさいな!!昔の話を掘り返すなよ!!」
獣人国で被り物をする者は跡継ぎの証であり、成人するまでの間は常に身に付けているように義務付けられている。ガロは既に成人の年齢に達したので外した事が判明した。
ちなみにガロの家の被り物はとある魔物を倒した時に作られた被り物であり、価値はそれなりに高い代物だった。若い頃の彼の父親も祖父も身に付けていた代物であり、今は家に預けてあるがガロに息子が生まれたら被り物は軽傷される。
「なるほどな、獣人族の慣習みたいなもんか。そういう事ならあんまりからかえないな」
「え、意外ですね。シュンさんなら笑いこけそうなのに」
「森人族も慣習とかには厳しい種族だからな」
『馬鹿みたいな慣習でも笑いはしない』
「馬鹿って言ってんじゃねえか!!」
「ちょっ、ハヤテさんになんて口を……」
「うるせえっ!!こうなったら全員ぶった切ってやる!!」
「お、落ち着いてよガロ!?」
黒歴史を掘り起こされたガロは怒り心頭で襲い掛かろうとするが、それをモリモとミナが抑えつける。少しばかりからかいすぎたかとシュンとハヤテは頭を掻く――
――その頃、狭間の世界ではアイリスがレナとの繋がりが消えた事に戸惑っていた。彼女はレナと交信できなくなった事に不思議に思い、彼の存在が世界から消えた事に疑問を抱く。
「おかしいですね、やっぱりレナさんと交信できません。今までにも何度かありましたが、今回は繋がり自体がなくなっています」
これまでにも地球人の魂を持つ存在が傍にいる間はレナと交信できなかったが、今回の場合は事情が違った。これまでは交信ができなくてもレナの存在自体は感じ取る事はできたが、現在はレナがまるで世界から消えたかのように存在その物が消えてしまった。
仮にレナが死んだとしても魂が消滅していなければアイリスの力で狭間の世界に引き寄せる事はできる。しかし、今回の場合はレナが何処かに消え去ったように思い、彼女は心当たりがあるとすれば勇者が作り出したタイムマシンだった。
「まさかあの装置を発動させたんじゃ……そうなると困りましたね。もしも過去の世界に行ったとしたら私は干渉はできません」
アイリスの力を以てすれば過去の時代の世界を観る事はできるが、これまでのようにレナと干渉する事はできない。なぜならば過去の世界に下手に干渉した場合、未来の世界に影響が出てしまう。そうなるとこれまでの歴史が消えてしまう危険性があった。
「まあ、レナさんなら無事に戻ってくるとは思いますけど……暇ですね」
レナと干渉ができないとなるとアイリスは暇そうな表情を浮かべ、彼が帰ってくるまで待つ事しかできない。身体を寝そべりながらアイリスはレナが戻ってくるまで眠りにつく事にした。
※アイリス「ZZZ」スラミン「壁|д゚)ジー」←昼寝中のアイリスを観察するスラミン
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