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蛇足編
光魔法
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「さあ、闘技台から落としたのでこれで私も合格ですよね?」
「あ、ああ……君達二人の合格を認めよう」
「よし、それじゃあ許可証を下さい」
「……分かった」
冒険者は二連敗した事に相当なショックを受けていたが、ホネミンはそんな彼に許可証を差し出す様に促す。試験を合格した以上は許可証を貰うのは当然の権利とはいえ、少しだけレナは冒険者に同情した。
(この人、多分ミナのお父さんだと思うけど……大丈夫かな。未来に影響がないといいけど)
ミナの父親と思われる人物からレナ達は許可証を受け取り、そそくさとその場を後にした。ちなみに許可証は水晶に紋様が刻まれており、これを兵士に見せれば大迷宮に挑める。
許可証を持っている人間は滅多におらず、レナ達が塔へ向かうと先ほどの兵士を発見して許可証を見せると心底驚かれた。冒険者以外の人間が巨塔の大迷宮に入る事自体が滅多になく、しかも試験官が今の冒険者に代わってから合格した人間は一人もいなかったらしい。
「驚いたな……あんたら、実は凄腕の傭兵か何かか?まさかあの人が負けるなんて……」
「これで私達も中に入っていいんですよね?」
「あ、ああ……だが、順番は守ってくれ。いくら許可証を持っていても順番通りに並んでくれないと困るからな」
「分かりました」
許可証が与えられたからといって順番を無視して先に進む事は許されず、行列の最後尾に移動したレナとホネミンは自分達の出番が来るまで雑談を行う。
「ホネミン、さっきの光魔法とか言ってたのは何?」
「ふふふ、あれは私の秘密兵器ですよ。レナさんと一緒にいるといつ何処でどんな面倒事に巻き込まれるのか分かりませんからね。だから私の肉体もグレードアップしたんです」
「人を疫病神みたいに……」
光魔法をホネミンが開発した理由を聞いてレナは眉を顰めるが、いい加減に自分が厄介事に巻き込まれやすい体質なのは理解していた。最初の頃の目標は目立たずに平穏に生きるのが目的だったのに、いつの間にか世界の国々に英雄と称されるまでに目立ってしまった。
「さっき攻撃をした時、レミアの聖槍みたいな魔法を使ってたよね」
「あれは私の魔鎧術ですよ。こう見えても私は魔鎧術を習得してから数百年も磨き上げてるんですよ?魔鎧術に関する技術なら私以上の存在はいません」
「確かに……」
骨だけの状態の時もホネミンは魔鎧術の応用で人間そっくりに化け、しかも喋る事もできた。彼女の魔鎧術の技術は世界一と言っても過言ではなく、周りが凄すぎるだけでホネミンも十分に凄い能力を有していた。
「そうそう、光魔法は私専用の魔法なのでレナさんは身に着ける事はできませんよ」
「別に覚えたいとは思わないけど……あれ、本当に攻撃魔法じゃないの?」
「正確に言えば攻撃性能もある回復魔法です。私が撃ち込む光弾に当たれば衝撃は受けますが、痛みはありません。光弾に触れると回復魔法を受けたのと同じく肉体が治癒されます」
「それは便利そうだな」
「従来の回復魔法は近づいて直接魔法を掛ける必要がありますからね。ですが、私の光魔法は遠距離でも回復させる事ができます。但し、敵に当たると敵を回復させてしまうので気をつける必要がありますけどね」
「それは危険だな」
戦闘の際中に仲間の援護のために放った光魔法が敵に誤爆した場合、相手を回復させる事態に陥って状況が不利になる可能性も高い。だからこそ光魔法を撃つときは慎重に行わなければならず、むやみやたらに使うべき魔法ではない。
大迷宮では複数の魔物に襲われる可能性もあるため、大迷宮に入ればホネミンは後方支援に徹し、前線はレナ一人で戦う事になる。ただの野生の魔物ならばレナの「威圧」の技能だけで追い払えるが、大迷宮に出現する魔物は外の魔物と違って狂暴性が高くて威圧などの技能も通じにくい。
「第三階層に辿り着いたら古城へ向かい、目的の魔石を回収します。その後は急いでここを離れましょう」
「自分と出会うとまずいから?」
「いえ、これ以上にこの時代の人間との干渉は避けた方がいいです。というか、ここへ来てから知り合いばかりと出会ってます。これもレナさんの厄介事に巻き込まれる体質のせいなのか」
「否定しにくいがの悔しい……」
ホネミンの言う通りにレナ達は未来の時代の人間達と出会ってばかりであり、これ以上にこの時代に長居すると更に他の面子とも遭遇しそうだった。ミナの父親の一件も有り、他の人間の親族と知らず知らずのうちに関わる可能性もある。
「本当はもう少し観光したいところですが、あんまりのんびりしていると未来の世界に悪影響を与えてしまうかもしれませんからね」
「もう手遅れな状態とかはないよな……」
「まあ、未来に帰れば分かりますよ。おっと、話している間に私達の出番がきましたね」
会話の際中にレナ達の前に立っていた人間がいなくなり、遂にレナ達は塔の大迷宮へ入る事になった――
※二人の後ろに並んだ人間(こいつら、さっきから何の話をしてるんだ?)
「あ、ああ……君達二人の合格を認めよう」
「よし、それじゃあ許可証を下さい」
「……分かった」
冒険者は二連敗した事に相当なショックを受けていたが、ホネミンはそんな彼に許可証を差し出す様に促す。試験を合格した以上は許可証を貰うのは当然の権利とはいえ、少しだけレナは冒険者に同情した。
(この人、多分ミナのお父さんだと思うけど……大丈夫かな。未来に影響がないといいけど)
ミナの父親と思われる人物からレナ達は許可証を受け取り、そそくさとその場を後にした。ちなみに許可証は水晶に紋様が刻まれており、これを兵士に見せれば大迷宮に挑める。
許可証を持っている人間は滅多におらず、レナ達が塔へ向かうと先ほどの兵士を発見して許可証を見せると心底驚かれた。冒険者以外の人間が巨塔の大迷宮に入る事自体が滅多になく、しかも試験官が今の冒険者に代わってから合格した人間は一人もいなかったらしい。
「驚いたな……あんたら、実は凄腕の傭兵か何かか?まさかあの人が負けるなんて……」
「これで私達も中に入っていいんですよね?」
「あ、ああ……だが、順番は守ってくれ。いくら許可証を持っていても順番通りに並んでくれないと困るからな」
「分かりました」
許可証が与えられたからといって順番を無視して先に進む事は許されず、行列の最後尾に移動したレナとホネミンは自分達の出番が来るまで雑談を行う。
「ホネミン、さっきの光魔法とか言ってたのは何?」
「ふふふ、あれは私の秘密兵器ですよ。レナさんと一緒にいるといつ何処でどんな面倒事に巻き込まれるのか分かりませんからね。だから私の肉体もグレードアップしたんです」
「人を疫病神みたいに……」
光魔法をホネミンが開発した理由を聞いてレナは眉を顰めるが、いい加減に自分が厄介事に巻き込まれやすい体質なのは理解していた。最初の頃の目標は目立たずに平穏に生きるのが目的だったのに、いつの間にか世界の国々に英雄と称されるまでに目立ってしまった。
「さっき攻撃をした時、レミアの聖槍みたいな魔法を使ってたよね」
「あれは私の魔鎧術ですよ。こう見えても私は魔鎧術を習得してから数百年も磨き上げてるんですよ?魔鎧術に関する技術なら私以上の存在はいません」
「確かに……」
骨だけの状態の時もホネミンは魔鎧術の応用で人間そっくりに化け、しかも喋る事もできた。彼女の魔鎧術の技術は世界一と言っても過言ではなく、周りが凄すぎるだけでホネミンも十分に凄い能力を有していた。
「そうそう、光魔法は私専用の魔法なのでレナさんは身に着ける事はできませんよ」
「別に覚えたいとは思わないけど……あれ、本当に攻撃魔法じゃないの?」
「正確に言えば攻撃性能もある回復魔法です。私が撃ち込む光弾に当たれば衝撃は受けますが、痛みはありません。光弾に触れると回復魔法を受けたのと同じく肉体が治癒されます」
「それは便利そうだな」
「従来の回復魔法は近づいて直接魔法を掛ける必要がありますからね。ですが、私の光魔法は遠距離でも回復させる事ができます。但し、敵に当たると敵を回復させてしまうので気をつける必要がありますけどね」
「それは危険だな」
戦闘の際中に仲間の援護のために放った光魔法が敵に誤爆した場合、相手を回復させる事態に陥って状況が不利になる可能性も高い。だからこそ光魔法を撃つときは慎重に行わなければならず、むやみやたらに使うべき魔法ではない。
大迷宮では複数の魔物に襲われる可能性もあるため、大迷宮に入ればホネミンは後方支援に徹し、前線はレナ一人で戦う事になる。ただの野生の魔物ならばレナの「威圧」の技能だけで追い払えるが、大迷宮に出現する魔物は外の魔物と違って狂暴性が高くて威圧などの技能も通じにくい。
「第三階層に辿り着いたら古城へ向かい、目的の魔石を回収します。その後は急いでここを離れましょう」
「自分と出会うとまずいから?」
「いえ、これ以上にこの時代の人間との干渉は避けた方がいいです。というか、ここへ来てから知り合いばかりと出会ってます。これもレナさんの厄介事に巻き込まれる体質のせいなのか」
「否定しにくいがの悔しい……」
ホネミンの言う通りにレナ達は未来の時代の人間達と出会ってばかりであり、これ以上にこの時代に長居すると更に他の面子とも遭遇しそうだった。ミナの父親の一件も有り、他の人間の親族と知らず知らずのうちに関わる可能性もある。
「本当はもう少し観光したいところですが、あんまりのんびりしていると未来の世界に悪影響を与えてしまうかもしれませんからね」
「もう手遅れな状態とかはないよな……」
「まあ、未来に帰れば分かりますよ。おっと、話している間に私達の出番がきましたね」
会話の際中にレナ達の前に立っていた人間がいなくなり、遂にレナ達は塔の大迷宮へ入る事になった――
※二人の後ろに並んだ人間(こいつら、さっきから何の話をしてるんだ?)
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