不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

時の門

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「……これ、なんか電池に似てない?」
「言われてみれば……でかい乾電池みたいですね」
「そうそう」
「ウォンッ?」
「ぷるくっりん(どれどれ?)」


台座が大きな乾電池のような物だと気付いたレナ達は覗き込み、徐々にだが乾電池が下に収納されていく。このまま放っておいていいのかとレナは不安に重い、ホネミンも嫌な予感がしてきた。


「ちょ、大丈夫ですかこれ?レナさん、一応アイリス様に相談を……」
「そうだね、ちょっと待って……うわっ!?」
「ウォンッ!?」
「ぷるんっ!?」


レナがアイリスと交信を行おうとした瞬間、魔法陣が刻まれた台座が光り輝き始める。それを見たレナは咄嗟に全員に逃げるように促す。


「皆!!早く外に!!」
「駄目です!!通路も閉まってます!!」
「ウォンッ!?」


何時の間にかレナ達が通過した通路に隔壁が下りてきて遮断されていた。他の場所に逃げようにも通路は存在せず、生憎と水晶札は持ち合わせていないので転移魔法で逃げる事もできない。


(何が起きてる!?)


アイリスと交信して尋ねる暇もなく、レナ達の身体は台座の魔法陣の光に飲み込まれてしまう――





――レナは意識を取り戻すと自分が床に横たわっている事に気が付き、頭を抑えながらも起き上がると先ほどと同じ場所に居る事に気が付く。謎の光に飲み込まれたはずだが、どうやら前回の時の訓練場とは違い、したわけではないらしい。


「いたたたっ……皆、大丈夫か?」
「う~ん……何だったんですか今のは?」
「クゥ~ンッ……」
「ぷるくりんっ(驚いたぜ)」


周りを見るとホネミン達の姿もあり、全員の無事を確認した。先ほど何が起きたのかは不明だが、とりあえずはレナ達は起き上がると転移台と台座を調べる。転移台の方は特に変わりはないが、台座の方は全く反応しない。

先ほどは勝手に収納されてしまったが、今回はいくら触っても反応を示さず、機能そのものが停止しているように見えた。いったい何が起きたのかは分からないが、ともかく外に出て様子を確かめる事にした。


「いったい何だったんだ……」
「さあ、分かりません。ていうかこういう時こそアイリス様と交信して状況確認すればいいじゃないですか」
「あ、なるほど。ちょっと待って……」


ホネミンの言葉に納得したレナはアイリスと交信を行おうとしたが、何故か上手く繋がらない。試しに何度か交信を試みるが、まるで聖痕を継承したばかりの頃のように繋がらない。


「あれ、おかしいな……交信できない。ここ、電場が通ってないのかな?」
「いや、電話じゃないんですから……でも、ここは勇者が関わる施設ですからね。外に出れば交信できるかもしれません」
「よし、まずは外に出よう」

場所の問題なのか交信が上手くいかず、レナは外に出た後に交信を行う事にした。通路を進んで外に出ようとした途端、不意にレナは違和感を感じ取る。


「…………」
「どうしました?」
「いや、ここにこんなのあったっけ?」
「ウォンッ?」


最初に入った時は気付かなかったが、通路の出入口に石像のような物が二つ存在した。最初にここへ入った時には存在しなかったはずであり、疑問を抱いたレナは退魔刀を取り出そうとした。


「よく分からないけど、警戒した方が……何だ!?」
「え?どうしました?」
「退魔刀が……取り出せない!?」
「えっ!?」


空間魔法自体は展開する事はできるが、普段から異空間に収納しているはずの退魔刀が消えている事に気が付く。それどころか鏡刀も神器チェーンも他の道具も一切取り出す事ができず、まるでかのようにあらゆる物が消えていた。

これまで荷物を異空間に預ける事が癖になっていたレナは武器も道具も取り出せない事に焦り、これでは満足に戦えない。しかもレナの焦りを見抜いたかのように二つの石像が反応する。


『ゴアアッ……!!』
「ちょっ、やっぱり動き出しましたよ!!こいつら、どうやら戦人形みたいです!!」
「くそっ……どうしてこんな時に!?」
「グルルルッ……!!」
「ぷるるんっ(やんのかこらっ!!)」


空間魔法の不調でレナは武器を取り出せず、その間にウルとプルミンが威嚇を行う。石像は片方は大盾を持ち、もう片方は巨大な棍棒を手にしていた。この時にレナは石像が所有する武器と防具を見てある事に気が付く。


「こいつらの装備、もしかしてオリハルコン!?」
「みたいですね。それにしても何で急に……もしかしたらさっきので遺跡が起動したから活動停止していた戦人形が目覚めたのかもしれません」
「そういう考察は良いから武器になりそうなのを探して!!それなりの大きさの物があれば物質変換の能力で武器に造り替えられるから!!」


戦人形が襲い掛かる前にレナは錬金術師の能力を生かして武器を作り出そうとするが、彼の言葉を聞いてホネミンはある物を指差す。
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