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真・最終章 七魔将編

支配の能力

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「調子に乗るな!!貴様は従っていろ!!」
「オアアッ……!?」


髑髏の紋様が再び炎龍の額に浮き上がり、抵抗していた炎龍の力が弱まる。だが、この時に海面を凍らせて接近していたシズネはそれを確認すると、彼女はハルナを抱えて海面に浮いたレナを引き上げる。


「レナ!!奴も弱っているわ、あともう一押しよ!!」
「分かってる!!だけど、もう力が……」
「踏ん張りなさい!!ここまできて弱音なんて貴方らしくないわよ!!」


シズネの言葉にレナは頷き、もう体力も魔力も限界だがここで退くわけにはいかない。彼女が作り出した氷塊の上に移動すると、ハルナは苛ついた表情を浮かべて炎龍を睨みつける。


「くそ、危うく焼肉になる所だった……あたしは焼くのは好きだけど焼かれるのは大嫌いだ!!」
「馬鹿な事を言ってないで貴女も考えなさい!!こいつをどうやって倒すのか……」
「ふん、考えるのなんて大嫌いだ!!こんな奴、あたしがぶっ飛ばして……」
「ちょ、止めろ!!海水で濡れている時に電流を出すな!!感電するだろうが……感電?」


ハルナが電流を迸ると身体が濡れているレナも危うく感電しかけたが、自分の言葉にレナはある作戦を思いつく。炎龍は現在は両翼を失った事で海中から抜け出す術を失い、半ば海に沈んでいる状態だった。これを利用してレナはハルナに攻撃を命じた。


「ハルナ!!電流を海に流せ!!」
「えっ!?なんで海に!?」
「いいから早くしろ!!」


レナの言葉にハルナは戸惑いながらも海面に両手を向けて電流を流し込むと、海中に電気が伝わって当然ながら炎龍にも伝わる。不幸中の幸いは炎龍の出現で周辺の海域の生物は逃げ出しており、彼女の電流に巻き込まれる事はない。

電撃が海中を伝わって炎龍へと広がり、炎龍は悲鳴を上げた。ハルナが直接殴りかかる際も感電はしていたが、今回の場合は彼女は殴りつけずに電流を流し込む事だけに集中できる。ちなみにレナ達が感電しないのはシズネの作り出した氷塊の上に立っているからであり、炎龍の苦しむ光景を見て攻撃の好機を伺う。



オアァアアアアッ……!?



海中に流れ込む電撃に苦しむ炎龍の姿を見つめ、レナはラストの次の行動を待つ。これまでの傾向からラストは炎龍が攻撃を受けた際は魔力を吸収する力を利用して守ってきた。当然ながら今回もラストは炎龍を救うために電撃の吸収を行う。


「ちっ、この程度の電流……」


レナがハルナに電流を本体に流させず、海中に流し続けるのには理由があった。それはラストが魔法の力を吸収する際にどのような行動を取るのか見極めるためだった。下手にハルナを突っ込ませると彼女の身が危うく、ならば距離を置いて攻撃させる事で相手の出方を伺う。

ラストはどうやら掌を通して魔力を吸収するらしく、海面に掌を向けて電流を吸い上げる光景を確認した。すぐにレナはハルナに電流を流させるのを辞めさせると、彼は上空を見上げて白竜に声をかける。


「今だ!!」
「うおおおおっ!!」
「わああっ!?」
「何!?」


声をかけた途端に白竜の背中からゴンゾウが飛び降りると、その彼の背中にはレミトがしがみついていた。ラストは降下してきた二人を見て驚いたが、吸収したばかりの電撃を喰らわせようと掌を向ける。


「喰らえっ!!」
「あ、危ない!?」
「ぬおっ!?」


落下の際中、唐突にゴンゾウとレミトの降下速度が上昇してラストが放った電撃の回避に成功した。レミトは自分の周りの時間を早める事で降下速度を上げて落ちると、地上に降りたゴンゾウは鬼人化を発動させた。


「うおおおおっ!!」
「この力は……!?」
「金剛撃っ!!」


ゴンゾウはレミトの能力のお陰で一時的に動きが早くなり、鬼人化の状態でありながら高速移動を行う。咄嗟にラストは掌を構えたが、その前にゴンゾウの拳がラストを捉えた。


「ふんっ!!」
「ぐううっ!?」
「も、もう限界です!!」


ラストは殴り飛ばされるとレミトは能力を解除し、彼は全身から汗を流す。彼の能力は本来ならば自分だけを加速や減速させるのだが、ゴンゾウと密着した状態で発動したが故に彼も加速に巻き込む事ができた。

鬼人化の状態のゴンゾウにレミトが能力を使用して加速させる事で一時的に驚異的な腕力と速度で攻撃を繰り出す事に成功したが、その代償として二人ともかなりの体力を消耗した。その分にラストに大きな損傷を与える事に成功し、彼はゴンゾウの一撃で右腕の骨が折れてしまう。


「ぐはぁっ!?」
「今だ、畳みかけろ!!」
「炎龍の動きにも注意しなさい!!」
「おらぁあああっ!!」


レナ達も再び炎龍に乗り込むと、ラストに目掛けて突っ込む。ラストは迫りくるレナ達を見て舌打ちし、このままでは自分の命が危ういと判断した彼は予想外の行動を取る。


「ぐぅっ……!!」
「なっ!?」
「あいつ、落ちたぞ!!」
「海中へ逃げるつもり!?」


ラストは自ら海に向かって飛び込み、そのまま海中へと沈んで消えてしまう。海に逃げた所で逃げ場はないと分かっているにも関わらずに逃げ出したラストにレナ達は戸惑うが、その一方で炎龍は背中に乗り込んだレナ達を振り払おうとする。
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