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真・最終章 七魔将編

シャドウ家の家系図

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「てめえらあんまり調子に乗るなよ!!お前等なんか一緒に戦えない癖に雑魚のくせに!!」
「何だと~!?」
「姉者!!二人でやるぞ!!」
「上等だ!!かかってこい!!」
「や、止めなさい!!」
『ふははっ!!喧嘩か?なら吾輩も混ざるぞ!!』
「何故!?」


喧嘩を始めようとしたハルナ達をリンダは止めようとしたが、何故かゴウライが割り込んできた。その様子を離れた場所からシュンとハヤテは眺め、呆れた様子を浮かべる。


「たくっ、あいつら元気だな。どうして内には気の強い女しかいないのかね」
「…………」
「うちの師匠も相変わらず口が悪いね……」


シュンはハヤテに対して酒を注ぎ、この二人も決戦には参加する予定だった。そんな彼等の元に六聖将のクレナイが訪れ、自分の分の杯を差し出す。


「……注いでくれ」
「お、おお……あんた、酒とか飲むのか?」
「大事の前では飲まん。だが、今回ばかりは生きて帰れるか分からんからな。後悔する前に飲んでおきたい」
「…………」
「相変わらず姉と違って口が悪い娘だな」


クレナイに対してシュンは酒を注ぐと一気に飲み干し、三人は空を見上げた。何時の間にか夕方を迎えており、間もなく夜となる――





――その頃、ダインは冒険都市に存在する借家にて巻物を呼んでいた。こちらの巻物はダインの家に伝わる物であり、これを記したのは彼の家系の人間だった。代々呪術師の家系でありながら闇魔導士として生まれた彼は他の者から迫害され、隙を見て逃げ出した。そして彼以外の一族は全員死んでしまう。


「……こいつら、もう一人も残ってないんだな」


ダインの手にした巻物は家系図であり、彼以外の人間の名前は全て黒く塗りつぶされていた。ダイン以外の人間は全員が死亡しており、その事に対して彼は複雑な想いを抱く。ダインとしては自分を迫害し続けた家族に対して愛情など抱いていなかったが、彼等もブラクという存在に利用されていたと知ると何とも言えない気持ちになる。

ブラクが子孫を残したのはあくまでも自分が死んだ後に乗り移る存在を作り出すためにしか過ぎず、彼にとっては自分の子供ですらも道具に過ぎず、ダインを痛めつけていた他の人間も彼にとっては道具に過ぎない。その点ではダインも他の者も同じ存在だった。


「こいつらの何人かは殺されたんだろうな……」


家系図を見ながらダインは黒く塗りつぶされた人間の中にはブラクに殺された者も間違いなく存在し、つくづく自分が子供の頃に逃げ出して良かったと思った。子供の頃に外の世界に逃げ出したお陰でダインは成長し、そして大切な友人ができた。

ダインにとっての家族とは血の繋がった者達ではなく、色々と面倒事を持ち込んでくるが自分が困った時は必ず助けてくれる仲間達がダインにとっての家族だった。レナ、ゴンゾウ、コトミン、シズネ、勿論ウルやスラミンやヒトミンも彼にとっては家族同然の存在である。


「炎龍か……あ~あ、戦いたくない。ていうか逃げたい!!何で僕がこんな目に……」


闇の聖痕に選ばれた以上はダインは炎龍の討伐作戦に参加する事は決定事項であり、本音を言えば世界を滅ぼすかも知れない存在を相手に自分などが敵うはずがないと思っていた。それでも仲間を見捨てて逃げ出す事はできず、結局はいつも通りに戦う事になるとは思っていた。


「はあっ……くそっ、やってやる!!炎龍だろうと何だろうとぶっ倒してやる!!そして僕は世界一の闇魔導士になるんだ!!」
「元気そうですね、ダインさん」
「わああっ!?」


いきなり声を掛けられたダインは驚いて振り返ると、そこには酒瓶を掲げたミイナの姿があった。彼女が家に居る事にダインは驚き、慌てて杖を構える。


「お、お前!?何でここにいるんだよ!!」
「何でって、僕はダインさんの主人なんですよ?だから一緒に住むのは当たり前です」
「主人って、ここは監獄都市じゃないだろ!?」
「あ、そんな事を言っていいんですか?僕が父と母にダインさんに見捨てられたと言ったらどうなるか……分かってますね?」
「や、やめろぉっ!!」


吸血鬼とサキュバスの父母を持つミイナにダインは焦り、もしも彼女を悲しませたと知ったらどちらも絶対にダインを許さないだろう。ミイナはダインに対して酒瓶を渡し、二人分の杯を取り出す。


「冗談はさておき、どうですか?一杯飲みませんか?」
「お、お前……まだ酒が飲める年齢じゃないだろ」
「大丈夫です。これは甘酒ですから」
「甘酒かよ!!」


二人分の杯に甘酒を注いでミイナはダインに手渡すと、深々と溜息を吐きながらもダインは杯を受け取った――





――その頃、シズネはレナの屋敷の誰もいない部屋で座禅をしていた。彼女の傍には雪月花とリヴァイアサンが左右に置かれており、彼女は瞼を閉じて集中していた。シズネは勇者の訓練場にて発揮した新しい力を制御するために精神鍛錬を行っていた。
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