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真・最終章 七魔将編

魔人将討伐作戦会議

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――冒険都市にレナ達は戻ると早速だが氷雨のギルドにて会議が行われた。ちなみに騒動を起こしたハルナは反省させるためにツバサとハヤテの監視下でギルド内に存在する部屋に閉じ込められていた。問題を起こした冒険者を拘束するために氷雨のギルドには特別な部屋が存在し、その部屋はレナの鏡刀のように魔法を跳ね返す特別な素材で構成されているのでハルナでも脱出は不可能だった。


「ハルナの様子はどう?」
「駄目ですね。いくら話しかけても返事もしないし、ずっと横になったまま顔も合わせません。まあ、ご飯を持っていくとすぐに食べますが……」
「ふん、あんな奴は放っておけばいい!!」
「そうだそうだ!!」
「そういうわけにはいきません。魔人将の討伐のためには彼女の力も必要不可欠なんですから」


ハルナの起こした問題のせいで彼女に対して反感を抱く者が多い中、ホネミンはハルナを魔人将の討伐に参加させる事を主張する。ハルナは聖痕の所有者にして聖剣カラドボルグに選ばれた者であり、彼女が味方になれば大きな戦力と成り得る。

そもそも魔人将の討伐のためには炎龍を倒さなければならず、炎龍を倒す方法は聖剣の所有者を全員集める事である。この世界においては最強の兵器である聖剣を使用しなければ炎龍の討伐は果たせず、そして聖剣に匹敵する力を持つマリアの協力も必要不可欠だった。


「マリア殿の最上級魔法で炎龍を倒す事はできないのでござるか?」
「どうかしらね、実際に炎龍という存在を見てみない限りは判断はできないわ」
「最上級魔法はマリア様の負担も大きい。あまり使用はされない方が……」
「そういうわけにはいかないわ。相手はこの世界を滅ぼす力を持つ存在……なのよね?」
「はい、そうです」


マリアの最上級魔法は下位の竜種ならば葬れる威力を誇るが、地上においては最強の竜種である炎龍に通じるかどうかは分からない。炎龍を倒すためには聖剣の使い手同士が協力しなければならない事をリーリスが伝えた。


「炎龍はかつて封印された時よりも成長し、今ではこの世界で最も恐ろしい生物になりました。これを倒すためには聖剣同士の力を合わせ、炎龍を消滅させるしかありません」
「え?消滅……ですか?」
「まさかメドロ……」
「違います。まあ、発想は似たようなもんですけど」


危ない発言をしようとしたレナをリーリスは止め、彼女によれば炎龍を倒す方法は全ての聖剣を使用して最強最大の攻撃を繰り出すしかない事を語る。


「皆さんも知っての通り、相性が悪い攻撃魔法が衝突し合うと反発して光の衝撃波を生み出す事は知ってますね?」
「それはまあ……」
「それがどうしたんだい?」
「要約すると聖剣同士を多方向から同時に攻撃を仕掛ける事で魔力を反発させ、その際に生じる光の波動で炎龍を消滅させるんです」
「光の波動……」


リーリスによれば攻撃魔法が衝突した場合に起きる反発現象は「光の波動」とも呼ばれ、この波動はあらゆるものを消滅させる恐ろしい力を持つ。但し、この現象が起きるのは稀であり、多数の属性魔法を同時に発動させて衝突させなければ起きない現象である。

魔法に関してはマリアの方が詳しく、かつて彼女も多数の属性を組み合わせる事で反発作用を引き起こして敵を攻撃した事もあった。だからリーリスの言いたい事は理解できたが、聖剣による攻撃魔法の場合は規模も威力も想像ができない。


「貴女の言いたい事は分かるけれど、聖剣が繰り出す光撃まほうは上級魔法とは比べ物にならないわ。もしもそれをすればどれだけの規模の被害が生まれるか……」
「私の計算では皆さんが全員で聖剣を使用して攻撃した場合、恐らくは1km圏内の物体が消滅するでしょう」
「1km!?そんなにやばいのか!?」
「それだけの攻撃でなければ炎龍を倒す事はできません」


リーリスの発言に全員が驚き、炎龍を倒すためには1km圏内に存在する物体を犠牲にしなければならない。それほどの威力の攻撃を行う場合、入念な準備を行わなければならない。


「1km圏内が吹き飛ばされるという事は俺達はそれぞれ1キロ以上離れた場所で攻撃しないといけないのか」
「そうです。それと皆さんが一緒の場所で攻撃を行うわけにはいきませんから、七つに別れて炎龍を囲むように配置してください」
「簡単に言うけどそれかなり無茶な方法なんじゃ……」
「いえ、そうともいいきれないわ」


話を聞いていた者達は呆れるが、マリアはリーリスの発言を聞いて考え込む。彼女は炎龍と直接対峙せず、1キロ以上離れた場所からの攻撃ならばむしろ都合がいいと考えた。


「炎龍と直接戦うよりも炎龍から離れた場所で攻撃できるのならこちらの方が勝算は高いわ。問題なのは炎龍が封じられている場所ね」
「私の監視衛星によれば炎龍は自分が封じられていた山の上に身を隠しています。位置的に狙うのは難しいですね」
「えい……何?」


リーリスの発言にレナ以外の人間は戸惑うが、どうやらリーリスは衛星も所有していたらしく、それを利用して地上の様子を確認する事ができた。
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