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真・最終章 七魔将編
世界崩壊の危機
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「なんかあっち雰囲気悪いな……」
「放っておきなさい。それよりも現状を把握しておく必要があるわ」
「あの、他人事のように言っておられますがマリア様もヨツバ王国の……」
ホムラとクレナイのやり取りを見ていたレナは心配するが、マリアは事も無げに話題を変える。その彼女の反応にツバサは眉をしかめ、一応は彼女もヨツバ王国のハヅキ家の当主である。立場的にはヨツバ王国側だがマリアにとっては六聖将の諍いなど気にする暇も惜しい。
一先ずは全員が氷雨のギルドへ向かい、既に他のギルドからもギルドマスターや都市の警備を任されている人間達も集まっていた。彼等を交えてマリアは本格的にこれからの事を話し合う。
「今日の昼間に火山の方で火柱が上がったという報告が上がったと聞いているわ。それは事実かしら?」
「はい、こちらからも確認できました」
「火柱?噴火じゃないのか?」
火山から火柱が上がったという表現にダインは気にかかり、噴火ではなく火柱と表現した事に違和感を抱く。その点はレナも一緒であり、実際に火柱を見た人間から話を聞く。
「噴火ではなく、あれは火柱でした。実際に火柱が上がった後は煙さえ見えませんでした」
「噴火だとしたら黒煙が上がらないのは確かに違和感がありますが……しかし、この冒険都市から火山までは相当な距離があるはずです。ここからでは火山も確認できないはず……それなのに火柱が火山から上がったと言い切れるのですか?」
「確かに絶対とは言い切れないね。だけど、火山がある方角から火柱が上がったんだ。それなら火山から火柱が上がったと考えるのが妥当だろう?他の場所で火柱が上がる理由なんて考えられないからね」
火山が存在する方角から火柱が上がった事で冒険都市に残った人間は火山から火柱が上がったとしか考えられず、実際にレナもアイリスから炎龍の復活を聞かされているため、火山から火柱が上がったのは間違いない。重要なのは噴火ではないのに火柱が上がったという点である。
「その火柱が起きた原因は……」
「恐らくは炎龍が復活したのでしょう。ここにいる魔術師は気付いているのではないかしら?火山の方角から得体のしれない魔力を感知しているはずよ」
『…………』
魔力感知の技能を持ち合わせていない魔術師でさえも火山が存在する方角から得体の知れない魔力が発せられている事を感じ取り、中には体調を崩している人間も少なからず存在した。これほどまでの強大な魔力を放つ存在は古代龍しか有り得ず、レナでさえも身震いしてしまう。
冒険都市から火山まで具体的にはどれほどの距離が開いているのかはレナも正確に把握していない。しかし、最低でも数百キロの距離があるのは確かだが、それだけの距離が離れているにも関わらずにまるで自分の傍に居るかの様に強力な魔力の波動をレナは感じ取っていた。
(これだけの魔力を持つ生物がいるなんて……どうしよう、帰りたくなってきた)
帰った所で状況が好転するわけはない事は理解しているが、レナは自分の想像を遥かに越える炎龍の存在感に胃が痛くなる。もしも炎龍を間近に見たら気絶するのではないかと思う程に不安を抱くが、今更逃げる事はできない。
「マリアよ、これからどうするつもりだ?その炎龍とやらに戦いを挑むのか?」
「……炎龍を放置すればこの大陸の平和は崩壊します。当然ながらバルトロス王国だけではなく、ヨツバ王国や獣人国や巨人国を巻き込んだ大災害が引き起こされるでしょう」
「大災害……」
この世界における竜種は災害の象徴として認識されているが、今回の炎龍の場合は比喩ではなく、存在そのものが災害に等しい。炎龍が暴れればどれほどの被害が生まれるかは分からず、下手をしたら国が崩壊する可能性も十分にあった。
これまでにレナ達も何度か竜種を討伐した事があるが、古代龍に匹敵する力を誇る程の存在と戦った事はない。そもそも古代龍を実際に見た事があるレナからすれば古代龍に戦いを挑もうと考える気すら起きない。
(聖剣は揃ったし、一応は聖痕の所有者も集まった。俺の退魔刀も強化された……だけど、本当に勝てるのか?)
アイリスを疑うわけではないがレナは炎龍の存在を実際に感知した瞬間、人間の手でどうにかなる存在とは思えない。現実世界でも事前に災害が起きる事を予測したとしても人間ができる事は災害が起きた際に被害を抑える事が限界である。災害その物を未然に阻止する事はできるはずがない。
しかし、炎龍を倒さなければこの世界に平和は訪れず、炎龍を打ち倒さない限りはバルトロス王国もヨツバ王国も滅ぼされる。それだけではなく、他の国々も同様に炎龍によって消されてしまう可能性だって十分に有り得た。
炎龍を倒す以外に方法は残されておらず、もしも炎龍を倒す事ができる可能性があるとすればかつて炎龍を封印した聖剣の力だけが頼りだった。
「放っておきなさい。それよりも現状を把握しておく必要があるわ」
「あの、他人事のように言っておられますがマリア様もヨツバ王国の……」
ホムラとクレナイのやり取りを見ていたレナは心配するが、マリアは事も無げに話題を変える。その彼女の反応にツバサは眉をしかめ、一応は彼女もヨツバ王国のハヅキ家の当主である。立場的にはヨツバ王国側だがマリアにとっては六聖将の諍いなど気にする暇も惜しい。
一先ずは全員が氷雨のギルドへ向かい、既に他のギルドからもギルドマスターや都市の警備を任されている人間達も集まっていた。彼等を交えてマリアは本格的にこれからの事を話し合う。
「今日の昼間に火山の方で火柱が上がったという報告が上がったと聞いているわ。それは事実かしら?」
「はい、こちらからも確認できました」
「火柱?噴火じゃないのか?」
火山から火柱が上がったという表現にダインは気にかかり、噴火ではなく火柱と表現した事に違和感を抱く。その点はレナも一緒であり、実際に火柱を見た人間から話を聞く。
「噴火ではなく、あれは火柱でした。実際に火柱が上がった後は煙さえ見えませんでした」
「噴火だとしたら黒煙が上がらないのは確かに違和感がありますが……しかし、この冒険都市から火山までは相当な距離があるはずです。ここからでは火山も確認できないはず……それなのに火柱が火山から上がったと言い切れるのですか?」
「確かに絶対とは言い切れないね。だけど、火山がある方角から火柱が上がったんだ。それなら火山から火柱が上がったと考えるのが妥当だろう?他の場所で火柱が上がる理由なんて考えられないからね」
火山が存在する方角から火柱が上がった事で冒険都市に残った人間は火山から火柱が上がったとしか考えられず、実際にレナもアイリスから炎龍の復活を聞かされているため、火山から火柱が上がったのは間違いない。重要なのは噴火ではないのに火柱が上がったという点である。
「その火柱が起きた原因は……」
「恐らくは炎龍が復活したのでしょう。ここにいる魔術師は気付いているのではないかしら?火山の方角から得体のしれない魔力を感知しているはずよ」
『…………』
魔力感知の技能を持ち合わせていない魔術師でさえも火山が存在する方角から得体の知れない魔力が発せられている事を感じ取り、中には体調を崩している人間も少なからず存在した。これほどまでの強大な魔力を放つ存在は古代龍しか有り得ず、レナでさえも身震いしてしまう。
冒険都市から火山まで具体的にはどれほどの距離が開いているのかはレナも正確に把握していない。しかし、最低でも数百キロの距離があるのは確かだが、それだけの距離が離れているにも関わらずにまるで自分の傍に居るかの様に強力な魔力の波動をレナは感じ取っていた。
(これだけの魔力を持つ生物がいるなんて……どうしよう、帰りたくなってきた)
帰った所で状況が好転するわけはない事は理解しているが、レナは自分の想像を遥かに越える炎龍の存在感に胃が痛くなる。もしも炎龍を間近に見たら気絶するのではないかと思う程に不安を抱くが、今更逃げる事はできない。
「マリアよ、これからどうするつもりだ?その炎龍とやらに戦いを挑むのか?」
「……炎龍を放置すればこの大陸の平和は崩壊します。当然ながらバルトロス王国だけではなく、ヨツバ王国や獣人国や巨人国を巻き込んだ大災害が引き起こされるでしょう」
「大災害……」
この世界における竜種は災害の象徴として認識されているが、今回の炎龍の場合は比喩ではなく、存在そのものが災害に等しい。炎龍が暴れればどれほどの被害が生まれるかは分からず、下手をしたら国が崩壊する可能性も十分にあった。
これまでにレナ達も何度か竜種を討伐した事があるが、古代龍に匹敵する力を誇る程の存在と戦った事はない。そもそも古代龍を実際に見た事があるレナからすれば古代龍に戦いを挑もうと考える気すら起きない。
(聖剣は揃ったし、一応は聖痕の所有者も集まった。俺の退魔刀も強化された……だけど、本当に勝てるのか?)
アイリスを疑うわけではないがレナは炎龍の存在を実際に感知した瞬間、人間の手でどうにかなる存在とは思えない。現実世界でも事前に災害が起きる事を予測したとしても人間ができる事は災害が起きた際に被害を抑える事が限界である。災害その物を未然に阻止する事はできるはずがない。
しかし、炎龍を倒さなければこの世界に平和は訪れず、炎龍を打ち倒さない限りはバルトロス王国もヨツバ王国も滅ぼされる。それだけではなく、他の国々も同様に炎龍によって消されてしまう可能性だって十分に有り得た。
炎龍を倒す以外に方法は残されておらず、もしも炎龍を倒す事ができる可能性があるとすればかつて炎龍を封印した聖剣の力だけが頼りだった。
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