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真・最終章 七魔将編

失敗作だとしても

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「ここにある武器が全部聖剣の失敗作なのか……あれ?でも、剣以外の武器も割とあるけど」
『最初は最強の武器を作るという事で色々な武器を作っていたんですよ。ですけど、一本目の聖剣が完成した時に剣の方が作りやすいと判断されてその後は剣ばかり作られたんですよ』
「なるほど」


勇者が残した武器の中には剣以外にも様々な武器が存在し、それらを見渡しながらレナは使えそうな武器を探していると、巨人族用の闘拳を発見した。前にゴンゾウに渡した金色と銀色に輝く闘拳とデザインが似ているが、こちらの方はオリハルコンで構成されている様子だった。

よくよく観察すると人間以外にも巨人族などが扱うような巨大な武器も存在し、どうやら勇者は次世代の勇者のためではなく、この世界に暮らす種族のための武器も開発している事が判明した。試しにレナはオリハルコン製の闘拳に触れてみるが、ゴンゾウが扱うには少々大きいので持って帰るのは断念した。


「色々とあるな……けど、退魔刀や鏡刀の代わりになりそうな武器なんてあるのか?」
『レナさんの武器もこの世界においては超一級品なんですけどね。ですけど炎龍と戦う以上は更に強化しなければなりません』
「強化といって具体的にどうすればいいわけ?」


退魔刀は世界最硬の魔法金属アダマンタイトで構成され、更には伝説の名工と呼ばれた鍛冶師に魔術痕を刻まれている。鏡刀の方も反鏡剣から更に強化した代物であるため、これ以上に強くできるのかとレナは疑問を抱く。


『炎龍との戦闘では聖剣のように遠距離攻撃を行える機能を持っていないときついですからね。そうなるとカラドボルグの雷光石やエクスカリバーの聖光石などの特殊な魔石を搭載する必要があります』
「ああ、なるほど……退魔刀に魔石を嵌め込むのか」


全ての聖剣には特別な魔石が嵌め込まれており、聖剣の力の源と言っても過言ではない。聖痕と同じように聖剣に搭載された魔石は使用者の魔力を吸い上げて絶大な魔法剣を発揮するが、現在の技術では生成する事ができないらしい。


『今の技術では聖剣に使用できる魔石を作り出す事はほぼ不可能ですからね。ですけど、運がいい事にバルトロス王族のレナさんは持っていますからね』
「え?そんなの持ってたっけ?」
『ちょっとちょっと、忘れたんですか!!レナさんは王族の証である聖光石を持っているでしょうがっ!!』
「あ、忘れてた。そういえばそんなのあったな」


レナはアイリスに言われて自分が今更ながらバルトロス王国の王族である事を思い出し、王族の人間は聖光石を渡される。レナが所有していた証は元々はアイラが王族になった時に譲渡された物だが、父親から追放された時にレナが受け取るはずの聖光石は持っていない。

アイラから受け取った聖光石の事を思い出したレナは空間魔法を発動させて取り出す。ちなみにこの聖光石は彼が王族に戻った時に渡された代物であり、ナオが女王になった時に彼女から借りていた聖光石は既に返却している。


「そういえばこんなのあったな。すっかり忘れてたわ」
『全くもう……アイラがどんな気持ちで渡したと思ってるんですか』
「ごめんごめん。それで、こいつをどうするの?」
『奥の方に魔石を保管する棚があります。そこまで移動して下さい』


指示通りにレナは武器庫の奥に移動すると、彼は多数の魔石が保管されている棚を発見した。一目見ただけでどの魔石も高密度な魔力を宿している事に気付き、恐らく外の世界に持って行けばたった一つの魔石を売却するだけで大きな屋敷を建てる事ができる。


「この棚の魔石?」
『それが勇者が聖剣の魔石を加工するために用意した魔石です。これからレナさんはこれらの魔石を使って魔光石を作ってもらいます』
「魔光石?」
『聖光石や雷光石などの特殊な魔石の別の名称です』


棚の中の魔石を確認したレナは自分の持っている聖光石に視線を向け、これを使ってどのように魔光石を作り出すのかを尋ねた。


「その魔光石はどうやって作るわけ?」
『簡単に言えば二つの魔石を錬金術師の能力で組み合わせるんです。今のレナさんならそれができるはずです』
「いや……簡単に言うなよ。そんな事、やった事もないのに」
『大丈夫ですって、能力の限界まで引き出した今のレナさんならできるはずです』
「……無茶苦茶だな」


魔光石を作り出す方法は二つの魔石を組み合わせる事であり、それができるのは錬金術師のレナだけだと告げた。正攻法では魔光石は作り出せず、そもそも二つの魔石を組み合わせる技術など勇者以外には真似できない。

しかし、勇者ではないがレナはこの世界においてただ一人の錬金術師の能力を極めた人間だと言っても過言ではない。彼ほどに錬金術師の能力を極めた人間は存在せず、今のレナならば魔石同士を結合させて最強の魔石を作り出せるとアイリスは確信していた。
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