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真・最終章 七魔将編

人魚族との邂逅

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「レナ!!」
「おっとと……ありがとう、叔母様」
「流石はレナ……ついでにティアラも手に入った」


アマネの頭から外れたティアラをコトミンは嬉しそうに掲げ、彼女は試しに自分の頭に装着を行う。マリアは流石に二人を抱えて飛び続けるのはきついのか、シズネが凍らせた海面に着陸した。


「ふうっ……足場があって助かったわ」
「レナ、やったわね!!」
『ずるいぞレナ!!吾輩の出番がなかったではないか!!』
『皆さ~ん、無事ですか~?』


レナ達の元にシズネとゴウライも集まると、潜水船の方も接近してきた。全員が合流を果たすと改めてレナ達は海に浮かぶリバイアサンの死骸と、姿を消したアマネを探す。


「さっきのアマネという奴は何処に行ったんだ?」
「海に落ちたように見えたけど……」
「死んだのですか?」
「いや、殺してはないよ」
「大丈夫、人魚族はあの程度の高さから落ちたぐらいで死ぬはずがない」
「という事は海中に逃げたという事かしら?」


海面を見渡してもアマネの姿は見当たらず、恐らくは海の中に逃げたと思われた。仮に逃げられたとしても宝玉を失った彼女にはもう海を操る事もできず、宝玉に封じられた精霊の力を頼る事もできない。

しかし、魚人族を放置すると世界中の港町に暮らす人々に被害を及ぼす可能性があり、もう一度だけ海底王国に戻って魚人族と交渉する必要があった。彼等も言葉が通じる存在なのは確かなため、もう二度と襲わない事を約束させるか、場合によってはここで壊滅させなければならない。


「海底王国へ戻ろう。アマネも戻っているかもしれないし……」
「そうね、そうした方が……!?」
「マリア様?どうかされましたか?」


レナの言葉にマリアは頷きかけたが、彼女は何かに気付いたように目を見開く。潜水船の甲板に立っていた彼女は外の様子を伺い、珍しく焦った表情を浮かべて杖を構えた。


「全員、構えなさい!!複数の魔力が接近してくるわ!!」
「えっ!?」
「また敵ですか!?」
『ん?しかし、そんな強い気配は感じないが……』


マリアの言葉に全員が身構えるが、ゴウライは周囲を見渡しても気配らしき物は感じられなかった。だが、数秒もしないうちに潜水船の正面から水柱が上がると、数名の水色の髪の女性が姿を現わす。その姿を見たレナ達は彼女達の正体を一目で見抜く。


「に、人魚族!?」
「どうしてここに……」
「だ、誰だ!?」
「落ち着きなさい、人の子よ」
「そうそう、落ち着きなよ~」


甲板に降り立った人魚族の女性の内、眼鏡をかけた短髪の女性と細目で長髪の女性が前に出た。二人とも美女といっても過言ではなく、森人族同様に人魚族は美女揃いである。しかし、この状況で鼻を伸ばすほど呑気な者はいない。


「あ、あんたら何者だよ!?」
「ダイン、落ち着いて……敵意はないと思う」
「ええ、私達は貴方達に危害を加えるつもりはありません。むしろ貴方達に感謝を伝えに来ました」
「か、感謝?」
「君達が魚人族からそれを奪い返してくれたんでしょ~?それと人魚姫のティアラも回収したのは知ってるよ~」
「……これの事?」


唐突に現れた人魚族は魚人族を打ち破ったレナ達に感謝し、そしてコトミンが回収したティアラが目的らしい。ここでレナはコトミンが頭に付けたティアラが元々は人魚族が代々守り続けてきた宝である事を思い出す。

ここに現れた人魚族の目的はどうやらティアラらしく、レナはコトミンを引き寄せて彼女からティアラを取り上げる。レナがティアラを手にすると美女ではあるが目つきが鋭い方の女性がさらに目つきを鋭くさせ、彼の元に手を差し出す。


「単刀直入に申し上げます。そのティアラは我々の物です、返却して下さい」
「ちょ、ちょっと待ってください!!いきなり現れて返せだなんて……まずは事情を説明して下さい!!」
「そうね、何も話さずにいきなり現れて返せだなんて失礼じゃない?」
「う~ん……言われてみればそうかも」


細目の女性はジャンヌとシズネの言葉に頷き、目つきが鋭い女性は彼女達の言い分も聞き入れて自分達の正体を話す。


「これは失礼しました。確かに我々も礼儀を欠いていましたね……私は代々人魚姫様の遺品を守り続ける一族の末裔、スイレンでございます」
「リュウスイだよ~」
「スイレンにリュウスイ……」
「聞いた事がないわね」
「マリア様は知っておられますか?」
「……その名前には心当たりはないけど、人魚族の中には代々宝物を守り続ける一族がいるという話は聞いた事があるわ」


マリアは昔に人魚族の中には古の宝物を代々守り続ける一族がいるという噂話を聞いた事はあるが、直に顔を合わせるのは初めてだった。また、彼女の記憶が確かならば人魚族が守り続ける宝とは勇者が関係しており、一説によれば聖剣に関する宝を守っていると聞いていた。
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