不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・最終章 七魔将編

魚人の追跡

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「何であいつらがここに……」
「とりあえずは追いかけいますが、罠の可能性がありますね。どうしますか?」
「ど、どうすると言われても……」
「あ、すいません。今のはレナさんに言ったんですよ」
「俺?」


ホネミンの言葉に仲間達は戸惑うが、レナはホネミンが暗にアイリスに情報を探るように指図しているのだと知る。魚人が姿を現わした理由を知るには彼女に聞くのが一番のため、即座に交信を行う。


『アイリスちゃ~ん』
『なんですか、その某泥棒三世みたいな呼び方は……魚人の目的が知りたいんですね?』
『あいつらはコトミン達を攫った奴等で間違いない?』
『間違いありません。残念ながらもう既にコトミンさんは海底王国に連れ去られました』
『……くそっ!!』


予想よりも大分早くにコトミンが連れ去られた事を知ってレナは悪態を吐き、そんな彼を落ち着かせるためにアイリスは説明を続ける。彼女に寄ればコトミンはまだ無事らしく、危害も加えられていない。


『安心して下さい、コトミンさんは無事ですよ。今は監禁されていますが怪我はしていません』
『それなら良いけど……あいつらはなんで現れたの?』
『偵察ですよ。あいつらの兄貴分のバクは捕まったし、保護していたシークもレナさん側に付きましたからね。それを知った魚人王が罰として偵察を命じたんです』
『偵察ね……あいつらは何処へ逃げてるの?』
『海底王国です。魚人王の目的はレナさん達を海底王国に誘導するつもりです』


現れた2体の魚人は魚人王が偵察として繰り出したらしく、彼等の目的はレナ達を発見した後は海底王国へ誘導するのが役目だと発覚する。レナ達としては海底王国まで誘導するのであれば都合がいいが、魚人王が何故わざわざ自分達の本拠地に誘導するのかが気になった。


『魚人王の目的は?海底王国に待ち伏せて俺達を倒すつもり?』
『そんな感じです。レナさんも気をつけてくださいね、相手は厄介な事に宝玉を持っていますから』
『例のあれか……』
『魚人王が持っているのは正真正銘の本物の宝玉です。ですからバクが使用していた物よりも遥かに危険ですから気をつけてください』


バクとの戦闘でレナは宝玉の力を思い知らされ、水の精霊を封じ込めた宝玉を使用すれば人魚族以外でも水を操る事ができる。そして人魚族であるコトミンでさえも水の宝玉の前では無力であり、しかも魚人王の場合はバクが使用した複製品ではなく、本物の宝玉を所持している事が発覚した。

どうして魚人族が人魚族のコトミンを攫ったのかと言うと、彼女が人魚族の王族の血筋で水属性の聖痕の所有者だと思い込んでいるからである。実際の所はもうコトミンは聖痕の力を失っているのだが、レナの時の様に聖痕を失っても能力は衰えず、今まで通りに精霊魔法を扱えるという点では聖痕がなくとも彼女が優れた精霊魔導士である事は変わりはない。


『魚人王の目的は宝玉に水の精霊を封じ込める力を持つ者を探しています。そして最終的には宝玉の力を利用し、本物の聖剣を奪い取ってこの海を支配するつもりです。』
『本物の聖剣?そういえば前にアイリスは人魚族が聖剣リヴァイアサンを管理していると言っていたけど、バクの話だと魚人王が聖剣を持っているとかどうとか言ってたけど……』
『聖剣リヴァイアサンは間違いなく大陸にある人魚族の集落で保管されています。しかし、魚人王は宝玉の力を利用して聖剣と同等の力を引き出す事ができるんです』


アイリスによれば魚人王は宝玉を利用して聖剣に匹敵する力を手に入れ、それを利用して自分が聖剣を持っているように振舞っているらしい。しかもアイリスによれば宝玉こそが聖剣の力の源らしく、別に聖剣でなくとも宝玉の力を引き出せるという。


『聖剣にはレナさんが持っている聖光石など特殊な魔石を搭載しなければ真の力を引きだせません。魚人王が所持している宝玉もそれと同じで正式名称は「海光石」と呼ばれる代物なんですよ』
『海光石……聞いた事もないな』
『まあ、聖剣リヴァイアサンは歴史上の聖剣の中でも知名度が低いですからね。それに能力を発揮するには条件があります』
『条件?』
『聖剣の力を引き出すには勇者か人魚族でなければならないという事です。つまり、本来であれば魚人族に扱える代物ではありません。しかし、聖剣ではなくて聖剣の力の源となる宝玉ならば操る術があるわけです』
『何だかややこしいな……』


聖剣そのものは制作時の段階で一般人が扱えないように細工が施されており、例としてはレナが初めて使用した聖剣カラドボルグは一定のレベル以下の人間では能力の使用ができない。聖剣リヴァイアサンの場合は人魚族と製作者の勇者以外の存在は扱えないように作り出された。

しかし、聖剣の力の源である魔石の場合は別であり、魚人王は聖剣リヴァイアサンに搭載されていた宝玉を手に入れ、その力を利用して聖剣無しでも聖剣に匹敵する力を得る。つまりは今度の敵は聖剣所有者と同等の力を持つ相手という事になる。
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