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真・最終章 七魔将編

女性の好み

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――移動を開始してから6時間ほど経過すると、船内の人間の殆ど時間潰しのためにそれぞれ行動を取っていた。リンダは座禅を行って精神統一を行い、ジャンヌはレナ達の元に差し入れを渡しに向かい、ハンゾウは自分の武器の手入れを行い、ダインは座席に横になって眠ろうとしていたがその横でゴウライが素振りを行っているせいで眠れなかった。


「ふんっ!!ふんっ!!」
「……う、うるさいな!!何でこんな所で素振りなんかするんだよ!?」
「ん?ああ、いや景色に飽きてしまったからな。暗くて良く見えないし、到着まで大分時間があるからな」
「呑気な人たちですね、こっちはずっと運転しっぱなしなんですよ。少しは労わって下さい」


潜水船を動かしているホネミンは言い争いを行うダイン達に注意を行うと、この時にゴウライがいつもの甲冑を脱いでいる事に気付く。ゴウライは実は女性でしかもダークエルフでかなりの美女であるが、そんなゴウライを前にして男子のダインが何も反応しない事に少し不思議に思う。


「おかしいですね、私の記憶だとダインさんはむっつりなので美人を前にすると緊張すると思うんですけど……」
「誰がむっつりだ!?」
「だって、レナさんから最初に女の方に騙されて身ぐるみを剥がされそうになったんですよね?」
「そ、それは相手がサキュバスだったんだよ!!僕は女には……ちょっとしか興味はない」
「やっぱりむっつりじゃないですか」
「はっはっはっ!!なんだ吾輩の事が気になるのか?仕方ない、胸ぐらいなら少し揉ませてやるぞ!!」
「揉まないよ!!僕は筋肉系の女子は苦手なんだよ!!」


いくら見かけが美人だとしてもダインはゴウライが何処となくバルと雰囲気が似ているせいか苦手意識があり、彼はどうも筋肉質な女性が苦手だった。そのため、レナの仲間の中でコトミンやティナを除いた殆どの女性陣は彼の恋愛対象外である(コトミンとティナは既にレナと結婚しているのでこちらも対象外)。

ちなみにゴンゾウは逆に筋肉質の女性を好みとしており、こちらは巨人族の間では「筋力」が重視されるため、彼の好みというよりは巨人族の一般的な考え方である。ちなみにダインの好みは黒髪で体型がグラマーな人物である。


「まあ、ダインさんにはミイネさんがいるからいいじゃないですか」
「なんでミイネの名前が出てくるんだよ……あいつはガキだし、それに僕達はそんな関係じゃないよ」
「どうですかね、私の見立てだと……ん?ちょっと待ってください」
「どうした?」
「なにかあったのでござるか?」


運転中にホネミンは何かに気付いたような表情を浮かべ、彼女は舵輪を引くと潜水船が停止する。ちなみに潜水船は潜る際に噴射機を使用したが、海中に潜った後はスクリュープロペラを使用して移動を行う。噴射機よりも魔力の消費量が少ないため、魔力を送り込むレナ達の負担の軽減されている。

現在の位置は海底王国までの距離は半分を切っており、大陸からは既に数百キロは離れている。この世界には海の魔物は大陸から離れる程に危険種が出現するため、この海域には普通の船などは出せない。それにも関わらずに潜水船が巨大な何かを感知した。


「レーダーに反応があります。巨大な物体を感知しました」
「れ、れいだぁっ?」
「ほう、それはどんな技だ!?」
「技じゃありません。そうですね、この船には感知系の技能が搭載されていると考えてください」
「なんと!?それは気配感知や魔力感知の事でござるか?」
「ええ、そんな感じです。技能を習得していない人間でも船に近付く存在を感知できるんです」
「そ、それは凄いですね……」


レーダーの存在を知らない者達にホネミンは説明を行いながら潜水船が感知した物体の正体を確かめるため、彼女は潜水船に搭載されているライトの光量を強める。そして船が感知した巨大物体を感知するために光で照らそうとした瞬間、潜水船に振動が走る。


「うわぁっ!?」
「な、何ですか!?」
「くっ!?皆さん、しっかり掴まっててください!!」
「ぬあっ!?吾輩の鎧が……」


船に衝撃が走るとゴウライの身に着けていた鎧が部屋の端に追い込まれ、慌てて彼女は回収しようとするが他の者は座席に座って衝撃に備える。ホネミンはレーダーを確認して巨大物体の位置と潜水船の位置を確認するが、距離は既に100メートルを切っていた。


「相手の正体は分かりませんが、こちらに攻撃を仕掛けてきたようです!!一旦、海上に移動します!!」
「えっ!?海の上に出るのか!?」
「水中で噴射機を使うよりも海上で使用した方が移動速度が速いんですよ!!」
「おおっ!?皆、あれを見ろ!!何かがこちらに近付いてくるぞ!!」


ホネミンは船を運転して海上へ向かおうとすると、ゴウライが甲冑を回収する際に水晶壁越しに見えた巨大物体の正体を知る。彼女の言葉に全員が視線を向けると、そこには思いもよらぬ存在が近付いていた。
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