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真・最終章 七魔将編

古の兵器「魔導砲」

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『じゃあ、お願いしますね』
「うわっ!?何処から声が!?」
「落ち着きなさい……事前に話は聞いていたでしょう」
「そうそう、このスピーカー型の魔道具を通して会話できるんだよ」
「すぴーかー!?」


潜水船にはスピーカーを模した魔道具が取り付けられており、こちらには拡音石と呼ばれる音を文字通りに大きくさせる魔石が装着されている。風属性の魔道具の一種で遠くに音を飛ばす事もできるらしく、操縦席から船内にいる人間に伝達する事もできた。

アイリスの指示を受けてレナは水晶に手を伸ばすと、付与強化の要領で魔力を送り込む準備を行う。その様子をマリアは見つめ、先日の彼女の指導でレナの魔力は以前よりも一段と増していた。


「よしっ……はああっ!!」
「わっ!?ひ、光ったぞ!?」
「いちいち驚かないで頂戴……話は聞いていたでしょう」
「その調子よ、続けなさい」


レナが魔力を送り込むと台座に嵌め込まれたオリハルコン製の水晶が光り輝き、潜水船の動力源から船全体に魔力が流れ込む。潜水船を動かすには本来は魔石を数十個を用意しなければならないが、それをレナはたった一人で賄う。


(結構きついけど、聖剣を作り出すよりはマシかな……)


魔力を送り続けるのは疲労が大きいが、聖剣の類を作り出すて使用するよりは魔力消費量はそれほどではない。しかし、延々と魔力を送り続ければレナの身体が持たず、途中で交代する必要があった。


『おっ、来た来た!!船が反応し始めましたよ!!』
『ぬおっ!?船が揺れてるぞ!?』
『だ、大丈夫なのですか!?』
『平気ですって、それよりも皆さんも手伝ってくださいよ。リンダさん、そこにあるスイッチを押してください』
『すいっち?この変わった形の窪みの事でしょうか?』


操縦室から流れる音声には他の4人の声も流れ込み、レナ達以外の面子は操縦室の方に集まっている。魔力が潜水船に流れ込んだ事で船が起動し、本格的に動かす事ができるようになった。

ホネミンが船の操縦を行いながら他の4人も指示を出すと、この時に彼女はリンダにとある兵器を展開するスイッチを押す様に促す。リンダは言われた通りにスイッチを押すと、潜水船の鮫の顔の部分に異変が起きる。鮫の口元の部分が唐突に開き、内部から砲門のような物が出現した。


『では岩壁を破壊します!!レナさん、もっと魔力を送り込んでください!!』
「了解」


言われた通りにレナは魔力をさらに注ぎ込むとオリハルコン製の水晶が光を増し、内部に魔力を蓄積させていく。この時点で船の中にいる人間は確認できないが、外側から見ると砲台の砲口部分が光を放つ。


『魔導砲、発射準備……撃てぇっ!!』
『何を言って……ぬおおっ!?』
『きゃああっ!?』
『こ、これは!?』
「な、何だ!?何が起きてるんだ!?」
「この振動はいったい……!?」
「これは……」
「くっ……うおおおっ!!」


船内に強烈な振動が襲い掛かり、操縦室の人間の驚愕の声が響き渡る。この時にレナは一気に魔力を吸い取られる感覚に襲われ、それを見抜いたマリアがレナの肩を掴んで交代を行う。


「レナ、私が変わるわ」
「叔母様……」
「貴方は外の様子を見てきなさい、シズネはレナの介抱を頼むわ」
「あ、はい……」
「レナ、薬よ!!飲みなさい!!」


ダインはマリアの言う通りに外の様子を確かめるために操縦室に向かい、その間にシズネはレナに薬を渡して彼の身体を支える。一方でマリアはレナの代わりに両手を伸ばして潜水船に魔力を送り込む。

シズネから受け取ったホネミン特製の薬を飲みながらレナは身体を休める間、ダインは通路に出て操縦室に向かう。先ほどの振動はいったい何だったのかと彼は操縦室にいる人間達に話を聞こうとしたが、中に入った瞬間に彼は信じられない光景を目にした。


「おい、さっきの揺れはいったいなんだったんだ……あれ!?」
「ダインさん、どうしたんですか?」
「どうしたって……な、何だよこれ!?景色変わってないか!?」


潜水船の操縦室は船の先端部に存在し、特別な水晶壁でマジックミラーのように内部から外の様子を確認できる。そしてダインが先ほど操縦室に入った時の視界に映し出されたのは岩壁に覆われた空間だったが、何故か潜水船の正面に存在したはずの岩壁が消えてなくなり、円形状の巨大な穴が存在した。

大穴は岩壁を貫通しており、外の光景を確認する事もできた。いったい何が起きたのかと彼は戸惑うが、ホネミンは舵輪を掴んでこのまま進む事を告げる。


「よし、これで道は開けました!!さあ、行きますよ!!」
「いや、行くって……」
「ほら、しっかり席についていないと大変な事になりますよ!!」


ホネミンが全員が操縦室にある席に座るように促すと、慌てて全員が座り込む。彼女は舵輪を掴んで押し込んだ瞬間、潜水船が動き出してゆっくりと移動を行う。


「まずは海面に移動する必要があります!!噴射機を作動させるて一気に飛びますよ!!」
「噴射機!?それって何だよ!?」
「すぐに分かりますよ!!」


彼女が舵輪を更に押し込むと潜水船の後部、鮫の模様の尻尾の部分が開かれ、こちらは複数の砲台が出現した。そして舵輪を押し込んだ瞬間、ロケット噴射の如く火属性の魔力が噴射して船は一気に加速する。
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