上 下
1,540 / 2,083
真・最終章 七魔将編

残る敵は一人

しおりを挟む
「ダインの家系の事はともかく……とりあえず、今まで倒した七魔将の情報から整理しようか」
「そうね、では最初に七魔将を倒したのは……」
「俺だよ。魔眼将メドゥーサを2年前に倒した」


最初に倒された七魔将は「魔眼将メドゥーサ」であり、このメドゥーサを倒したのが全ての切っ掛けともいえる。かつてレナは王都へ侵入を試みた際、緑影の協力を借りて王都の地下に潜り込む。

王都の地下にはメドゥーサが住み着いており、そこには無数の石像が存在した。この石像全てが生きており、その中には人間以外にも多数の魔物や魔人族が含まれ、中には七魔将も含まれていた。


「レナが魔眼将を倒した事で石化されていた奴等が復活したのが切っ掛けね」
「でも、復活までかなり時間が掛かってるんだよな?」
「ずっと長い間、石化されていた奴ほど復活するのに時間が掛かるらしいよ。それに魔眼将を倒した後にキラウが魔眼を奪っていたから、そのせいで石像の解除が遅れた可能性もあるね」
「キラウ、ね……」


キラウの名前を出すとマリアは微妙な表情を浮かべ、彼女にとってキラウは父親違いの実の姉である。本来であればハヅキ家の長女として生まれたキラウだが、色々な事情があって彼女は家を離れて吸血鬼と化す。このキラウが魔眼を奪った事でヨツバ王国は大変な事態に陥った。


「ヨツバ王国で先に起きた事件の原因はキラウが切っ掛けだった……奴が魔眼を得たせいで大勢の同胞が命の危険にさらされ、王族の方々も大変な目に遭ったと聞いている」
「うっ……俺が魔眼将を倒した時に魔眼をしっかりと処理していれば良かったかな」
「いいえ、貴方のせいじゃないわ。そもそもあの事件はいくつもの偶然が重なった事で発生した事よ。誰の責任でもない、それにヨツバ王国に謀反を計画したのはカレハよ」
「カレハ様、だ……あの方は変わられてしまった」


ハシラはカレハの名前を聞くと寂し気な表情を浮かべ、カレハはティナが生まれるまではヨツバ王国を継承者として育てられ、非情に優れた人物だった。しかし、ティナが生まれた時に彼女の魔力がカレハを大きく上回る事が発覚し、将来的に自分の地位を脅かす存在になる事を知っておかしくなった。

ヨツバ王国では国王の座に就く人間は最も魔力に優れた人物であると決まっており、幼いティナはカレハを上回る魔力量を誇る。そのためにカレハはいずれティナが自分の地位を奪うのではないかと恐れ、彼女を暗殺しようとしたが結果的には失敗して幽閉されてしまう。

殺されず幽閉されていたのはデブリ国王の慈悲だったが、その後に彼女は偶然にも冒険都市から転移してきたマリアを捕縛した。彼女がマリアを捕まえた後はキラウと接触し、二人で手を組んでヨツバ王国を乗っ取ろうとした。それを阻止したのがレナ達である。


「過去の事に拘っても仕方がないわ。それよりも重要なのはキラウの魔眼を処理したせいで他の石像にされていた者達も蘇った。これで6人の七魔将が地上に復活した事になるわね」
「正確に言えば4人よ。竜人将ガイアと死人将ブラクは元々隠れて行動していたはず」
「この2人が石像に封じられていた七魔将と接触を図ろうとしていた時に俺達が駆けつけて、例の転移に巻き込まれたんだよね」
「そういえばソルとかいうおっさん、何処に行ったんだ?」


レナ達はソルという人物に情報を教えられ、彼から王都の地下に七魔将なる存在が潜んでいる事を知った。ソルの話によればレナの先祖であるバルトロス帝国の家系の人間らしく、彼は七魔将に挑んで石化されたという。

ソルは転移してから一度も姿を見た人間はおらず、生きているのかどうかも分からない。しかし、彼がいなくてもレナ達は6人の七魔将の討伐を果たし、残す敵は魔人将ラストだけだった。


「メドゥーサを倒した後は竜人将ガイア、牙人将ガオウも俺が倒したよ」
「紅血将アルドラは私が倒したわ」
「鬼人将オウガも俺とミレトとゴウライさんが倒したぞ」
「死人将ブラクは僕が倒した……で、いいんだよね?本体の方は僕が倒したし……」
「そうね、私が始末したのはブラクの影でしかないわ」


七魔将の内、魔眼将、竜人将、牙人将、紅血将、鬼人将、死人将は倒された。最後の七魔将である魔人将の居場所はレナは既に知っており、かつて自分がS級冒険者とマリアと共に訪れた火山に魔人将は居る事を既に教えてもらっていた。


(魔人将を倒す条件、他の七魔将を全員倒す事は終わった。後は戦力を集めないといけないのか……)


かつてアイリスは魔人将を倒すためにレナに課した条件、その内の一つである他の七魔将の撃破はやり遂げた。しかし、残る問題は魔人将を倒すには彼が居る場所が問題だった。魔人将の目的は地中に封じられた「炎龍」の復活であり、既に炎龍の封印は解かれていた。

死人将のブラクが使用していた「聖剣クリムゾン」は元々は炎龍の封印に使用されいた魔剣であり、このクリムゾンが炎龍に突き刺さっていた事で炎龍は生命力を奪われて封じられていた。しかし、今現在はその封印を解かれ、そして魔人将は火属性の聖痕を持つホムラを破って彼女から膨大な魔力を奪い、それを炎龍に与えて完全復活を試みる。
しおりを挟む
感想 5,087

あなたにおすすめの小説

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界居酒屋さわこさん細腕繁盛記

鬼ノ城ミヤ(天邪鬼ミヤ)
ファンタジー
陸奥さわこ 3*才独身 父が経営していた居酒屋「酒話(さけばなし)」を父の他界とともに引き継いで5年 折からの不況の煽りによってこの度閉店することに…… 家賃の安い郊外へ引っ越したさわこだったが不動産屋の手違いで入居予定だったアパートはすでに入居済 途方にくれてバス停でたたずんでいたさわこは、そこで 「薬草を採りにきていた」 という不思議な女子に出会う。 意気投合したその女性の自宅へお邪魔することになったさわこだが…… このお話は ひょんなことから世界を行き来する能力をもつ酒好きな魔法使いバテアの家に居候することになったさわこが、バテアの魔法道具のお店の裏で居酒屋さわこさんを開店し、異世界でがんばるお話です

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。