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真・最終章 七魔将編

エルフとダークエルフの和解

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「ヨツバ王国では親の罪を子が背負う事を固く禁じている……子孫に罪はない、我が王もきっとそう言って下さるだろう」
「そうね、争いを嫌う国王様が今更ダークエルフを害する事は有り得ないわ」
「そうか……良かった」
「ん?どういう意味……むぐっ?」
「姉者、こういう時は黙ってる」


マリアとハシラの言葉にアンジュはよく意味が分からずに問い質そうとするが、それを妹であるサーシャが黙らせる。これ以上に話を広げると面倒な事になりそうなため、森人族エルフとダークエルフの問題はこれで解決とする。


「この人達はアンジュと仲良くしたいと言ってるんだよ」
「何だそれ?友達になりたいのか?変わった奴等だな……むぐぐっ?」
「姉者、もう黙っていて」


姉のアンジュよりもサーシャの方が立場を理解しているらしく、彼女が余計な事を言う前にサーシャは右手を差し出す。その行為の意図に気付いたマリアが手を伸ばし、ヨツバ王国の森人族代表としてダークエルフと和解する。


「これからもよろしく」
「ええ、よろしく……お互いに協力し合っていきましょう」


二人が握手した事でヨツバ王国とダークエルフの和解が決まり、この件はヨツバ王国の国王に早急に報告する必要がある。尤も穏健派で知られているデブリ国王ならばダークエルフの和解を望むはずであり、今回のマリアの行動を咎める事は有り得ない。

仮にデブリ国王が何と言おうと彼が可愛がっているティナが口添えすればどんな問題も受け入れてくれるはずであり、これでダークエルフとのわだかまりは解決したかと思われたが、サーシャはマリアと握手する時にある事を思い出したように告げた。


「そうだ……森人族とダークエルフの友好の証として婚姻を結びたい」
「……婚姻?」
「話を聞くと旦那様……いや、レナさんはマリアさんの甥だと聞いている。これを機会に私達と結婚してより深い関係に……いたたたっ?」
「……それは私の一存では決めかねないわね」


口調は穏やかではあるがマリアは魔法職の人間でありながら戦闘職のサーシャが痛がるほどの握力で彼女の手を握りしめた――




――その後、アンジュとサーシャがしつこく食い下がってレナとの婚姻を認めさせようとしたが、結局は他の者たちの介入があってその話はなかった事にされる。特にアンジュとシズネは激しく言い争い、危うく戦闘になりかけたがマリアがそれを宥めて落ち着かせる。


「この貧乳女!!」
「だ、誰が貧乳よ!!貴方の方こそ牛みたいな乳をして……!!」
「へんっ、羨ましいか!?」
「姉者、もう止めて……マリアさんが見てる」
「……これ以上に騒ぐようなら追い出すわよ」


シズネとアンジュは相性が悪く、激しく火花を散らすがマリアの一言を聞いて二人とも黙り込む。マリアはレナの甥であるため、彼女に悪印象を与える事は得ではない。全員を黙らせるとマリアは本題へと移る。


「ともかく、まずは状況を整理するわ。これまでに私達が関わった七魔将の情報を報告しなさい」
「七魔将のうち、メドゥーサに封じられていたのはアルドラ、オウガ、ガオウ、そして……ラスト」
「最後の七魔将でござるな」
「そして七魔将の中でも筆頭格と恐れられた男、か」


現時点で生き残っている七魔将は「ラスト」のみであり、他の七魔将は既にレナ達によって討伐されている。七魔将を最初に倒したのはレナであり、今から2年近く前に王都の地下で倒した。


「最初に倒された七魔将の名前は魔眼将メドゥーサ……こいつの能力で大勢の人や魔物が石像にされて封じられていた。その中には他の七魔将も何人かいた」
「どうして魔眼将は同じ七魔将を石化させたのかな?」
「そこは別に重要じゃないと思う。問題は七魔将が復活したせいで色々な人たちに迷惑をかけている」
「コトミンの言う通りね」


魔眼将メドゥーサが同じ七魔将を石化させた理由は判明していないが、問題なのは現代の時代に復活した七魔将をどのように対処するべきかである。尤も既に6名の七魔将は討伐され、残りの七魔将はラストしか残っていない。

メドゥーサの石化を逃れた七魔将はガイアとブラクの2名であり、こちらの二人は長い時を生きてきた。特にブラクの場合は「呪術師」という職業を利用して王国に取り込み、シャドウ家という貴族の位を与えられて暮らしていた。


「ダインの家系……シャドウ家の先祖がブラクというのは驚きね」
「うっ……」
「シャドウ家の事は私も知っていたけれど、まさか七魔将のブラクが作り出したというのは初耳ね……」
「あんまりその話はしないでくれよ……あんな爺の血が流れていると思うだけで落ち込むからさ」


ダインはブラクの話題に入るとあからさまに落ち込み、彼にとってブラクが自分の先祖というだけで恥ずかしい話だった。しかし、ダインがブラクの血を継いでいようとレナ達は気にしない。どんな人物の子孫であろうとダインが「良い子」なのは皆が知っていた。
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