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真・最終章 七魔将編

年季?んなもん知るか馬鹿っ!!

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「うおおおおっ!!」
「ふんっ……その程度の力で私に勝てると思ってるのか?」
「何がだ、この爺っ!!」


二人の作り出した影人形は組み合い、お互いに押し切ろうとする。影魔法は物理攻撃の影響を受けないが、同じ影人形同士の場合は術者の魔力によって力関係は大きく変わる。ダインの作り出した影人形はブラクの作り出した影人形に押し負け、影人形を扱う時に今まで一度も力負けしてなかっただけにダインは戸惑う。


「う、くぅっ……!?」
「ふんっ……貴様とは年季が違う!!」
「うわぁっ!?」


ブラクの影人形はダインの影人形を押し倒すと、そのまま本体の彼に目掛けて腕を伸ばす。影人形は自由自在に形を変形させるため、そのままダインを拘束しようとした。

しかし、ダインの影人形は押し倒された状態ながらもブラクの影に組み付き、後ろから羽交い締めにして抑えつける。ブラクはそんなダインの影人形に対して煩わしく思うが、闇属性の魔法では影人形を倒す手段はない。


「ちぃっ……離れろ!!」
「くっ……まだまだ!!」


ブラクの影人形がダインの影人形を振りほどいて投げ飛ばす。ダインの影人形は壁際に叩き付けられるが、いくら傷つけられようとダインには影響はない。だが、ここでダインの集中力が途切れて影人形が解除されてしまう。


「はあっ、はあっ……」
「苦しそうだなダイン?お前と儂では年季が違う。同じ影魔法でも儂の方が精度が優れておるという事だ」
「うるさいんだよ……何が年季だ、知るか馬鹿っ!!」


何百年も生きてきたブラクと20年にも満たない時しか生きていないダインでは大きな差があり、ブラクは死霊使いの術だけではなく、影魔法を極めた存在だった。それでもダインは負けるわけにはいかず、影魔法しか扱えない彼が頼れるのは当然影魔法だけである。


「負けるかぁっ!!シャドウ・バインド!!」
「その程度の魔法、こうしてやるわ!!」


自分の影を伸ばして拘束しようとしてくるダインに対し、事前に作り出した影人形でブラクはダインの影を掴むと、強制的に引き寄せる。ダインは影を引き寄せられて慌てて床の煉瓦の隙間に杖を突き刺し、引っ張られないように抗う。


「うわわっ!?」
「馬鹿がっ……力で勝てると思っているのか!?」


影人形相手に力比べで勝てるはずもなく、抵抗虚しくダインは引き寄せられる。このまま彼を捕まえようとブラクが考えた時、不意に彼はダインの杖を見て違和感を抱く。

煉瓦の隙間にダインが杖を突き刺した時、彼は影魔法を発動させて隙間を通して別方向から影を伸ばしていた。ダインが操れるのは自分自身の影だけではなく、自分の手にした道具の影も操れた。


「喰らえっ!!」
「ぐおっ!?」


杖の影を利用してダインは壁を伝ってブラクの元に影を送り込み、そのまま彼を拘束した。思いもよらぬダインの反撃にブラクは戸惑うが、ダインは拘束を強めて無理やりにブラクの杖を地面から引き剥がす。

杖が地面から離れた途端にブラクの影人形は消え去り、その隙を逃さずにダインは立ち上がると拘束したブラクを操作して下水道の左右に存在する壁に叩き付ける。


「おらおらおらおらっ!!」
「ぐふぅっ!?ぬあっ!?このっ……図に乗るな!?」


幾度も壁に身体を叩き付けられたブラクは怒りの表情を浮かべ、杖を壁に目掛けて伸ばすと今度は複数の影の触手を作り出し、それを通路全体に伸ばしてダインを拘束しようとした。


「これで貴様に逃げ場はないぞ!!」
「くっ……負けるかぁっ!!シャドウ・ウォール!!」


自分に向かってきた影の触手に対してダインは杖を地面に下ろすと、通路全体を覆い込む「漆黒の壁」を作り出す。この壁の正体はダインの影であり、触手は壁に阻まれてしまう。


「ちっ、悪あがきを……それならばこうしてやる!!」
『うわぁっ!?』


漆黒の壁にブラクが放った影の触手が張り付き、力ずくで引き寄せようとする。壁の向こう側のダインの驚いた声が上がり、無数の触手がダインの作り出した影を無理やりに引き寄せる。

このままではダインはブラクの元まで引き寄せられてしまうが、彼はこの状況を打破する方法を考え、ある方法を思いつく。相手の方から引き寄せるぐらいならば、自分の方から仕掛ける好機だと彼は考えた。


「行くぞっ……シャドウ・ブルドーザー!!」
「ぬおおおおっ!?」


ダインは漆黒の壁を自ら動かし、まるでブルドーザーの如く押し寄せてブラクの元に向かう。思いもよらぬ行動にブラクは意表を突かれ、彼はダインが押し付けた漆黒の壁によって吹き飛ばされる。

ちなみにダインは「ブルドーザー」の存在は知らず、名前を付けたのもなんとなくニュアンスでしかない。それでもブラクを追い詰める事に成功し、予想外の反撃を受けたブラクは集中力が乱れて通路内の影の触手が消え去った。


「これで止めだ、爺っ!!」
「な、舐めるなガキがっ!!」


隙を見せたブラクにダインは駆けつけ、そんな彼にブラクは杖を構えるが、この時にダインは自分自身の肉体に影を纏って無理やりに身体を動かし、本来の彼の限界を超えた速度で突っ込む。
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