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真・最終章 七魔将編

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「それに問題は黒雲だけではないぞ、先ほどから街の方が騒がしい」
「えっ!?」
「恐らく、既に敵は街中に侵入しているだろう」
「そんなっ!?」


ゴウライの言葉にレミアとジャンヌは驚き、黒雲に注目し過ぎて他の異変に気付かなかった。しかし、ここでジャンヌはゴウライが自分達に異変を伝えに来た事に違和感を感じた。いつもの彼女ならば異変が起きれば真っ先に動くはずだが、わざわざ自分が出向かずに他の人間に伝えに動いた事に彼女は不思議に思う。


「ゴウライ様は私達に知らせるためにわざわざここに?」
「うむ、本当の所は吾輩も侵入者を探そうかと思ったが、このデュランダルが騒がしくてな」
「デュランダル?」


レミアとジャンヌはゴウライの愛剣であるデュランダルに視線を向けるが、特に変わった様子はない。だが、デュランダルの所有者であるゴウライによると、レミアが聖剣を使用していた時にデュランダルが反応した事を話す。


「恐らく、この聖剣はお前を止めてほしくて私に訴えていたんだろう。同じ聖剣同士、何か感じたのかもしれん」
「……まるで聖剣に意思があるような言い方ですね」
「何を言うか、武器に意思がないと思っているのか?吾輩はあると思うぞ」
「意思?」


レミアはゴウライの言葉を聞いて自分の聖剣に手を伸ばし、不思議と彼女の言葉が分かるような気がした。もしも聖剣に本当の意思があるのならば、聖剣エクスカリバーは自分の所有者のレミアの危機を聖剣デュランダルの所有者であるゴウライに伝えたのかもしれない。

聖剣は普通の武器とは違い、この世界を救った勇者が作り出したと言われる特別な武器である。全ての聖剣は同じ製作者に作り出されたはずのため、他の聖剣と何らかの繋がりがあってもおかしくはない。そう考えるとゴウライの言う通りに聖剣に意思があるという考えも有り得ないとは言い切れなかった。


「では、吾輩は行くぞ!!恐らく、あの男がここへ乗り込んでいるはずだ!!」
「あの男?」
「まさか、鬼人将の事ですか?」
「そうだ!!あの男は何故か吾輩には本気を出して戦おうとしないからな!!だから今回は正体がバレないように行くぞ!!」
「えっ……」


ゴウライは何処から取り出したのか甲冑を用意すると、その場で装着を行う。全身を甲冑で覆い隠したゴウライは外見では性別は分からず、この状態ならば鬼人将オウガも彼女の正体に気付かないかもしれない。


『ふははははっ!!やはり、鎧がある方が調子が出るな!!』
「そ、そうですか……」
『ジャンヌ!!吾輩は鬼人将の相手をするが、お前は他の侵入者の対処を頼むぞ!!恐らくだが敵は鬼人将だけではない!!』
「ということは……まさか、紅血将も!?」
『うむ!!街中で女性陣が苦しんでいる姿を見かけた!!恐らくは奴もこの街の何処かに居るはずだ!!では先に行くぞ!!』


ジャンヌの言葉にゴウライは頷き、彼女は直感で街中には既に鬼人将オウガ紅血将アルドラが乗り込んでいる事を察知すると、自分は真っ先に城壁を飛び越えて街へ降り立つ。


『待っていろ鬼人将!!うおおおおっ!!』
「ゴ、ゴウライ様!?」
「くっ……七魔将が乗り込んでいるのならば我々も放置はできません!!それに住民の避難勧告もしなければ!!」


先に向かったゴウライにレミアとジャンヌも慌てて準備を整え、二人は馬に乗り込むと彼女の後を追って街中の人間の避難勧告と同時に七魔将の捜索を開始する。既に七魔将が街中に入り込んでいるのならば油断はできず、黒雲が冒険都市に到達する前に二人は行動を開始した――





――同時刻、ダインとレナを乗せたウルは冒険都市の城門に到達していた。見張りの兵士達はレナ達に気付くと慌てて城門を開き、状況の説明を行う。既に城壁が突破されて七魔将のオウガが侵入している事は伝達されていた。


「先ほど東門の城壁に鬼の様な大男が現れ、城門を破壊して街に侵入したという報告が届いています!!」
「鬼の様な大男!?」
「鬼人将か……もう街に侵入されたのか」
「クゥ~ンッ……」


ここまで移動するのにウルは無理をしてしまい、到着した途端にへたり込んでしまう。予定の到着時間よりも大分早く辿り着く事ができたのはウルのお陰であり、レナは彼を兵士に任せてダインに伝える。


「すぐに皆を呼び出すからダインは冒険者ギルドに先に向かって!!」
「えっ!?僕が!?」
「皆を呼び出すにしても時間が掛かるし、それにここからなら氷雨のギルドまでそんなに遠くない!!一刻も早く他の冒険者に事態を知らせないと!!」
「わ、分かったよ!!おい、誰か馬を貸してくれよ!!」
「分かりました!!すぐに用意を……うわっ!?」


ダインが兵士から馬を借りようとした時、突如として彼等の足元に矢が射抜かれた。驚いたレナ達は近くの建物を見上げると、そこには屋根の上に立つ人影が見えた。
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