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真・最終章 七魔将編
手負いの獣ほど恐ろしい存在はいない
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「グギャアアアッ!?」
「あちちっ!?ちょ、僕も燃えちゃう~!!」
「あ、すいません……忘れてました」
狼男の肉体が火炎に飲み込まれると足元を拘束していた蔓も燃えてしまい、樹精霊は慌てて地面から掌を離す。どうやら掌から直接に蔓を出していたらしく、彼女は蔓を切り取って自分の身体が燃えないようにする。
火達磨とかした狼男は必死に炎を消そうと地面に転がり込むが、ただの炎ならばともかく魔石の粉末を利用した炎は簡単に消えはしない。仮に水に飛び込んだとしても同じ事であり、魔法の力が込められた炎は簡単に消えはしない。
「グゥウウッ……!?」
「ぐっ……おのれ、よくもやってくれたな」
「いててっ……回復超強化」
「ウォンッ……」
ミイネとリボンが狼男に火を仕掛けてくれたお陰で他の者たちも態勢を整える時間を稼ぎ、ロウガは両手に短剣を構えて飛び掛かる。レナも回復魔法で自分とウルの怪我の治療を同時に行い、その間にミレトの方も起き上がってロンギヌスを手にした。
「和風牙!!」
「ガアアッ!?」
ロウガは空中で高速回転しながら、両手の短剣を獣の牙の如く狼男に目掛けて突き刺す。全身に回った炎のせいで狼男は彼の攻撃に反応ができず、背中に刃が食い込んで悲鳴を漏らす。
「乱れ突き!!」
「グハァッ!?」
攻撃を受けて狼男が怯んだ隙を逃さずにミレトは駆けつけ、ロンギヌスを突き刺す。父親譲りの槍捌きで適確に急所に目掛けて槍を幾度も突き刺し、この時に狼男は後退る。
「ガアアッ……!!」
「よし、この調子で行くぞ!!」
「はいっ!!」
「待ってください、何か様子が……」
ロウガとミレトは狼男を追い詰めたと判断し、各自で止めを刺すために武器を振りかざす。しかし、ミイネは直感で狼男が何か仕掛ける事に気付き、二人に注意した。彼女は監獄都市で常日頃から他の囚人たちに隙を見せないように生きてきたため、危機を察知する能力に長けていた。
ミイネの予想通りに狼男は全身が燃えながらも意識を失う様子はなく、前後から迫りくるミレトとロウガに対して咄嗟に上空に跳躍を行う。互いに攻撃を仕掛けようとしていたミレトとロウガは中間に存在した狼男が消えた事でお互いに攻撃を繰り出してしまう。
「うわっ!?」
「ぬおっ!?」
「ガアアアッ!!」
突き出された槍と剣が交わって金属音が鳴り響き、慌ててミレトとロウガは武器を引いて体勢を整えようとしたが、その前に上空から降りてきた狼男が両腕を伸ばす。二人の頭に炎を纏った狼男の手が伸びると、そのまま顔面を掴まれて地面に叩き付けられる。
「グガァアアアッ!!」
「がはぁっ!?」
「ぐああっ!?」
「そんな!?」
「うわぁっ……あれはやばいかも」
自分に纏った炎を逆に利用して狼男はミレトとロウガの顔面を掴み、地面に叩き付けるのと同時に炎が二人の顔面を襲う。このままでは二人とも顔面が焼けてしまうかと思われた時、突風が発生して狼男を吹き飛ばす。
「風圧!!」
「ガアアッ!?」
「ぐはぁっ!?」
「あぐぅっ!?」
レナが両手を構えて風属性の初級魔法を発動させ、この際に錬金術師の付与強化も利用して威力を底上げする。強烈な突風が発生した事で狼男の身体は吹き飛ばされ、炎に襲われていたミレトとロウガも救う。
この時に魔法の効果が切れたのか突風で吹き飛ばされた狼男の身体から火炎が消え去り、顔面を掴まれたミレトとロウガは思っていたよりも怪我は負っておらず、それでも視力を奪われてしばらくは動けそうにない。レナは立ち上がると怪我の治療を終えたウルと共に牙人将と向かい合う。
「たくっ……いい加減にしろよ!!」
「グルルルッ……!!」
ここまでの戦闘で相当な深手を負わせたにも関わらず、狼男は自分を攻撃したレナに対して牙を剥きだしにして睨みつける。文字通りに手負いの獣と化した狼男に対してレナは退魔刀を握りしめた。
牙人将ガオウは元々は死人将ブラクに見捨てられ、死にかけていた所を偶然にも満月の光を浴びた事で狼男の血が目覚めて奇跡の生還を果たした。狼男の最も恐ろしいのは桁外れの生命力であり、致命傷を負ったとしても構わずに動いて戦い続ける。
(こいつの生命力は異常だ……普通なら死ぬような怪我を負っても生きている。となると、こいつを倒すには首を切り落とすか心臓を貫くしかないか……)
確実に狼男を倒すためにレナは自分の誇る最強の剣技「一刀両断」を繰り出そうとするが、この時に狼男はレナから発する殺気を感じ取ったのか、警戒するように距離を置く。
――グゥウウウッ……!!
レナと狼男は向かい合い、距離を置かれたレナは面倒そうな表情を浮かべる。彼が扱おうとした「一刀両断」の戦技は凄まじい威力の斬撃を繰り出せるが、敵が攻撃の間合いに存在しなければ発動しても避けられてしまう。しかも発動するためには集中力を極限まで高める必要があり、相手に近付きながら攻撃を仕掛ける余裕はない。
相手が近付いてこなければ一刀両断は放つ事はできず、だからといって他の技で確実に狼男を倒せる攻撃をレナは持ち合わせていない。しかも顔面を焼かれたミレトとロウガの治療を急がねばならず、迷っている暇はないのでレナは自ら仕掛ける事にした。
「あちちっ!?ちょ、僕も燃えちゃう~!!」
「あ、すいません……忘れてました」
狼男の肉体が火炎に飲み込まれると足元を拘束していた蔓も燃えてしまい、樹精霊は慌てて地面から掌を離す。どうやら掌から直接に蔓を出していたらしく、彼女は蔓を切り取って自分の身体が燃えないようにする。
火達磨とかした狼男は必死に炎を消そうと地面に転がり込むが、ただの炎ならばともかく魔石の粉末を利用した炎は簡単に消えはしない。仮に水に飛び込んだとしても同じ事であり、魔法の力が込められた炎は簡単に消えはしない。
「グゥウウッ……!?」
「ぐっ……おのれ、よくもやってくれたな」
「いててっ……回復超強化」
「ウォンッ……」
ミイネとリボンが狼男に火を仕掛けてくれたお陰で他の者たちも態勢を整える時間を稼ぎ、ロウガは両手に短剣を構えて飛び掛かる。レナも回復魔法で自分とウルの怪我の治療を同時に行い、その間にミレトの方も起き上がってロンギヌスを手にした。
「和風牙!!」
「ガアアッ!?」
ロウガは空中で高速回転しながら、両手の短剣を獣の牙の如く狼男に目掛けて突き刺す。全身に回った炎のせいで狼男は彼の攻撃に反応ができず、背中に刃が食い込んで悲鳴を漏らす。
「乱れ突き!!」
「グハァッ!?」
攻撃を受けて狼男が怯んだ隙を逃さずにミレトは駆けつけ、ロンギヌスを突き刺す。父親譲りの槍捌きで適確に急所に目掛けて槍を幾度も突き刺し、この時に狼男は後退る。
「ガアアッ……!!」
「よし、この調子で行くぞ!!」
「はいっ!!」
「待ってください、何か様子が……」
ロウガとミレトは狼男を追い詰めたと判断し、各自で止めを刺すために武器を振りかざす。しかし、ミイネは直感で狼男が何か仕掛ける事に気付き、二人に注意した。彼女は監獄都市で常日頃から他の囚人たちに隙を見せないように生きてきたため、危機を察知する能力に長けていた。
ミイネの予想通りに狼男は全身が燃えながらも意識を失う様子はなく、前後から迫りくるミレトとロウガに対して咄嗟に上空に跳躍を行う。互いに攻撃を仕掛けようとしていたミレトとロウガは中間に存在した狼男が消えた事でお互いに攻撃を繰り出してしまう。
「うわっ!?」
「ぬおっ!?」
「ガアアアッ!!」
突き出された槍と剣が交わって金属音が鳴り響き、慌ててミレトとロウガは武器を引いて体勢を整えようとしたが、その前に上空から降りてきた狼男が両腕を伸ばす。二人の頭に炎を纏った狼男の手が伸びると、そのまま顔面を掴まれて地面に叩き付けられる。
「グガァアアアッ!!」
「がはぁっ!?」
「ぐああっ!?」
「そんな!?」
「うわぁっ……あれはやばいかも」
自分に纏った炎を逆に利用して狼男はミレトとロウガの顔面を掴み、地面に叩き付けるのと同時に炎が二人の顔面を襲う。このままでは二人とも顔面が焼けてしまうかと思われた時、突風が発生して狼男を吹き飛ばす。
「風圧!!」
「ガアアッ!?」
「ぐはぁっ!?」
「あぐぅっ!?」
レナが両手を構えて風属性の初級魔法を発動させ、この際に錬金術師の付与強化も利用して威力を底上げする。強烈な突風が発生した事で狼男の身体は吹き飛ばされ、炎に襲われていたミレトとロウガも救う。
この時に魔法の効果が切れたのか突風で吹き飛ばされた狼男の身体から火炎が消え去り、顔面を掴まれたミレトとロウガは思っていたよりも怪我は負っておらず、それでも視力を奪われてしばらくは動けそうにない。レナは立ち上がると怪我の治療を終えたウルと共に牙人将と向かい合う。
「たくっ……いい加減にしろよ!!」
「グルルルッ……!!」
ここまでの戦闘で相当な深手を負わせたにも関わらず、狼男は自分を攻撃したレナに対して牙を剥きだしにして睨みつける。文字通りに手負いの獣と化した狼男に対してレナは退魔刀を握りしめた。
牙人将ガオウは元々は死人将ブラクに見捨てられ、死にかけていた所を偶然にも満月の光を浴びた事で狼男の血が目覚めて奇跡の生還を果たした。狼男の最も恐ろしいのは桁外れの生命力であり、致命傷を負ったとしても構わずに動いて戦い続ける。
(こいつの生命力は異常だ……普通なら死ぬような怪我を負っても生きている。となると、こいつを倒すには首を切り落とすか心臓を貫くしかないか……)
確実に狼男を倒すためにレナは自分の誇る最強の剣技「一刀両断」を繰り出そうとするが、この時に狼男はレナから発する殺気を感じ取ったのか、警戒するように距離を置く。
――グゥウウウッ……!!
レナと狼男は向かい合い、距離を置かれたレナは面倒そうな表情を浮かべる。彼が扱おうとした「一刀両断」の戦技は凄まじい威力の斬撃を繰り出せるが、敵が攻撃の間合いに存在しなければ発動しても避けられてしまう。しかも発動するためには集中力を極限まで高める必要があり、相手に近付きながら攻撃を仕掛ける余裕はない。
相手が近付いてこなければ一刀両断は放つ事はできず、だからといって他の技で確実に狼男を倒せる攻撃をレナは持ち合わせていない。しかも顔面を焼かれたミレトとロウガの治療を急がねばならず、迷っている暇はないのでレナは自ら仕掛ける事にした。
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