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真・最終章 七魔将編

やったらぁあああっ!!(やけくそ)

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『ッ……!!』
「くっ……こっちですよ!!」


ミイネは戦人形の攻撃を躱しながら走り続け、老朽化した建物へと入り込む。彼女の後を追って戦人形が入り込むと、建物の陰に隠れていたダインが飛び出す。彼は事前に準備しておいた瓦礫の元へ向かい、影魔法を発動させて準備を行う。


「おい、こっちだ化物!!僕の事を覚えてるか!?」
『ッ……!?』
「今です!!」


ダインは建物の中に声をかけると、ミイネを追いかけていた戦人形はダインの方へと振り返る。この一瞬の隙を逃さずにミイネは建物の窓に目掛けて飛び込むと、ダインは影魔法を利用して瓦礫を投げ飛ばす。

影魔法を利用すれば本来ならばダインの筋力では持ち上げられない物も動かす事ができる。今回の場合はダインは自分の影をロープのように変化させ、瓦礫に巻き付けた状態で引き寄せる。自分の影を投石器代わりに利用してダインは建物の中に投げ込む。


「喰らえっ!!」
『ッ……!?』


建物の出入口から投げ込まれた瓦礫は戦人形の元へ向かうが、咄嗟に戦人形は身体を反らして瓦礫を回避した。しかし、攻撃を回避した戦人形の姿にダインは笑みを浮かべ、彼が投げつけた瓦礫は建物を支える柱に衝突した。


「よし、崩れろ!!」
『ッ……!!』


瓦礫が柱に衝突した瞬間に激しい振動が建物内に襲い掛かり、柱が崩れると同時に建物が瓦解して天井から大量の瓦礫が降り注ぐ。戦人形は逃げる暇もなく、大量の瓦礫に埋もれてしまう。

作戦通りに建物を崩壊させて戦人形を瓦礫の山で押し潰す事に成功し、すぐにダインはミイネの元へ向かう。彼女は事前に窓から飛び出していたので瓦礫に埋もれる事はなく、相棒のリボンと共に地面の上に寝転がっていた。


「はあっ、はあっ……さ、流石に死ぬかと思いましたね」
「チュチュッ……(囮役はもう懲り懲り)」
「大丈夫か、二人とも!?」
「性格には一人と一匹ですけどね……手を貸してください」


ミイネはダインに手を貸して貰って起き上がると、リボンは彼女の頭の上に移動して改めて三人は瓦礫の山に視線を向けた。戦人形は完全に瓦礫に埋まって姿は見えず、これでしばらくの間は動けないのは間違いなかった。


「やりましたね、作戦成功です」
「ふうっ……上手くいって良かった」
「チュチュッ(手強い奴だったぜ)」


勝利を確信したダイン達は額の汗を拭い、改めて転移門へと向かおうとした。邪魔者が居ない内に転移門を起動させて王国領地へ戻ろうとした時、不意に3人の背後に不穏な物音が鳴り響く。


「……なあ、今何か聞こえなかったか?」
「……後ろから聞こえてきましたね」
「……チュチュッ(振り返るのが怖い)」


三人は恐る恐る後方を振り返ると、そこには瓦礫の山から蛇のように細長い物体が出てきた。最初にそれを見た時はダイン達は正体が分からずに唖然とするが、やがて蛇のような形をした物体は瓦礫の山から抜け出すと、徐々にとぐろを巻いて身体を膨らませていく。

最終的には岩ほどの大きさにまで膨らむと、形を徐々に変形させて人間の「騎士」を想像させる姿へと変貌する。この時点でダイン達は瓦礫の山から抜け出した物体の正体が戦人形だと気付き、どうやら形を蛇のように変化させて瓦礫の隙間から抜け出してきた事を理解する。


『ッ……!!』
「に、逃げろぉおおっ!!」
「わあっ!?」
「チュチュッ!?」


ダインはミイネの腕を掴んで駆け出すと戦人形は怒りを露わにするように彼等の後を追いかけ、両腕を刃物に変形させる。完全に戦人形を怒らせてしまったらしく、ダインは無我夢中に駆け出す。


『ッ……!!』
「こ、言葉は話せないようですが……どうやら凄く怒ってるみたいですね!!」
「そんな事を言っている場合か!!逃げるんだよぉおおっ!!」
「チュチュッ(すもーきんっ!!)」


自分達を追いかけてくる戦人形に対してダインは全速力で駆け出し、その後にリボンを頭に乗せたミイネが後に続く。戦人形の移動速度はそれほど早くはなく、徐々にダイン達との距離が開いていく。

戦人形は戦闘能力は高いが移動速度に関してはそれほど早くはなく、実際に前の時もダインは戦人形を目覚めさせてからしばらくの間は逃げ回りながらレナ達と合流するまで生き延びていた。このまま逃げ続ければ戦人形を巻けるのも時間の問題だと思われたが、逃走の際中にダイン達の前に人影が現れる。


『ッ……!!』
「うわぁっ!?な、何で先回りしてるんだよ!?」
「違います、ダインさん!!後ろからも来てます!!そいつは別の奴です!!」
「チュチュッ!?」
『ッ……!!』


ダイン達の進行方向の先にも戦人形が現れ、慌ててダイン達は立ち止まると後ろからも追跡してきた戦人形が追いつく。どうやら遺跡を守護する戦人形は1体だけではなかったらしく、前後を塞がれたダイン達は背中を合わせて身構える。
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