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真・最終章 七魔将編
王城への襲撃
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「なっ!?そ、その怪我は……いったい何があった!?」
「はあっ、はあっ……じょ、女王陛下にご報告を……」
「衛生兵!!すぐに彼の怪我の治療をしろ!!」
玉座の間に訪れた兵士は全身が血塗れの状態であり、誰が見てもまともな状態ではなかった。ナオはすぐに報告を受ける前に兵士の治療を指示するが、アイラはこの時に違和感を感じ取った。
(この兵士……どういう事?)
血塗れの兵士を見てアイラは違和感を覚え、優れた格闘家でもある彼女は違和感の正体が彼の身体から生きた人間の気配を感じ取れなかった。その事に気付いたアイラは兵士をナオに近づけさせないように指示を出す。
「止まりなさい!!それ以上に近付く事は許しません!!」
「アイラさん!?」
「い、いったい何を!?」
「急にどうされたのですか!?」
突如としてアイラはナオを庇うように前に立つと、玉座の間に集まっていた家臣達は戸惑いの表情を浮かべる。しかし、すぐに血塗れの兵士は舌打ちして本性を露にする。
「気付かれたか……血の臭いで誤魔化したつもりだが、死臭がまだ残っていたか?」
「な、何だと!?」
「貴様、何者だ!!」
「取り押さえろ!!」
兵士の言葉を聞いて他の者たちも警戒心を露にすると、槍を構えた近衛兵が兵士を取り囲む。そんな彼等に対して血塗れの兵士は笑みを浮かべ、その場で胸元の鎧を剥いで信じられない物を見せつける。
鎧の内側の兵士の肉体は明らかに腐り果てており、皮膚が落ちて内部の骨まで見えていた。そのおぞましい姿に玉座の間の人間達は思考が一瞬だけ停止してしまい、その隙を逃さずに兵士は自分の胸元に埋め込まれた黒色の魔石に手を伸ばす。
「くたばれ、人間共!!」
「いけない!?すぐに離れて!!」
「全員、下がれ!!」
胸元に闇属性の魔石を取りつけていた兵士は魔石を掴み取ると、掌に仕込んでいた鋭利な針で魔石を突き刺す。針に貫かれた瞬間に魔石から黒色の煙が噴き出し、その煙の正体が闇属性の魔力だと気付いたアイラは口元を抑え込む。
魔石から漏れ出した闇属性の魔力は瞬く間に玉座の間に広がり、その煙を浴びた者達は苦悶の表情を浮かべて倒れ込む。闇属性の魔力を直に浴びると普通の人間は体内の聖属性の魔力がかき乱されてしまう。聖属性の魔力は生命力といっても過言ではなく、玉座の間に集まっていた家臣や兵士は毒ガスを吸い込んだかのように苦しみ悶える。
「がはぁっ!?」
「うぐぐっ……!?」
「ち、力が……おええっ!!」
玉座の間の殆どの人間が闇属性の魔力を吸い込んだ事で倒れる中、いち早く危険に勘付いたアイラとナオは魔力を吸い込まないように口元を塞ぐ。この時にアイラは魔鎧術を発動させ、闇属性の魔力を遮断する。
(このままだと全員死んでしまうわ。すぐに窓を開いて魔力を外に出さないとナオちゃんも危ない!!)
アイラは魔鎧術を纏う事で闇属性の魔力を完全に遮断する事はできるが、ナオの場合は彼女のように闇属性の魔力を防ぐ手段はない。口元を塞いでいるとはいえ、このままでは酸欠を起こして倒れてしまう。そうなる前にアイラは玉座の間の窓を破壊して魔力を外部に放出させようとする。
既に玉座の間の全体に闇属性の魔力が拡散し、視界も悪い状態だったがアイラは「心眼」を発動させて周囲の状況を把握する。視覚以外の感覚を研ぎ澄ませて彼女は玉座の間の状況を確認すると、先ほどの兵士がナオに近付こうとしている事に気付いた。
「さあ、王女……一緒に付いて来てもらうぞ」
「っ……!?」
「させないわ!!」
兵士は膝を着いたナオの元に駆けつけると、彼女の腕を掴もうとしてきた。しかし、アイラは窓を破壊する前に兵士に近付くと彼に向けて拳を放つ。
「拳打!!」
「がはぁっ!?」
「っ……!!」
兵士の腹部に強烈な衝撃が走るとアイラの一撃で兵士は壁際まで吹き飛ばされ、この際に偶然にも兵士は窓を突き破って外に転がり込む。窓が破壊された事で玉座の間に拡散していた闇属性の魔力が外部に放出されていき、やがて魔力が薄まるとナオも他の者たちも顔色が戻っていく。
「げほっ、げほっ……た、助かりました。アイラさん」
「いいえ……安心するのはまだ早いわ」
「えっ?」
ナオは自分を助けてくれたアイラに礼を継げたが、当のアイラ本人は警戒心を緩めずに破壊した窓を見つめていた。やがて窓の外側に人影が現れると、先ほどの兵士が窓を乗り越えてきた。
「ちぃっ……まさか、魔鎧術の使い手が紛れていたとはな」
「な、何だ!?こいつは……」
「死霊人形……いえ、雰囲気が違うわね」
アイラの攻撃で吹き飛ばされたはずの兵士が再び玉座の間に乗り込み、先ほどのアイラの一撃で男の身体はあちこちの骨が折れて立っているのがやっとの状態だった。しかし、男の胸元の部分に人の形をした黒色の紋様が浮き上がると、やがて全身に紋様が広がって男の身体は全身が黒に染まる。
「はあっ、はあっ……じょ、女王陛下にご報告を……」
「衛生兵!!すぐに彼の怪我の治療をしろ!!」
玉座の間に訪れた兵士は全身が血塗れの状態であり、誰が見てもまともな状態ではなかった。ナオはすぐに報告を受ける前に兵士の治療を指示するが、アイラはこの時に違和感を感じ取った。
(この兵士……どういう事?)
血塗れの兵士を見てアイラは違和感を覚え、優れた格闘家でもある彼女は違和感の正体が彼の身体から生きた人間の気配を感じ取れなかった。その事に気付いたアイラは兵士をナオに近づけさせないように指示を出す。
「止まりなさい!!それ以上に近付く事は許しません!!」
「アイラさん!?」
「い、いったい何を!?」
「急にどうされたのですか!?」
突如としてアイラはナオを庇うように前に立つと、玉座の間に集まっていた家臣達は戸惑いの表情を浮かべる。しかし、すぐに血塗れの兵士は舌打ちして本性を露にする。
「気付かれたか……血の臭いで誤魔化したつもりだが、死臭がまだ残っていたか?」
「な、何だと!?」
「貴様、何者だ!!」
「取り押さえろ!!」
兵士の言葉を聞いて他の者たちも警戒心を露にすると、槍を構えた近衛兵が兵士を取り囲む。そんな彼等に対して血塗れの兵士は笑みを浮かべ、その場で胸元の鎧を剥いで信じられない物を見せつける。
鎧の内側の兵士の肉体は明らかに腐り果てており、皮膚が落ちて内部の骨まで見えていた。そのおぞましい姿に玉座の間の人間達は思考が一瞬だけ停止してしまい、その隙を逃さずに兵士は自分の胸元に埋め込まれた黒色の魔石に手を伸ばす。
「くたばれ、人間共!!」
「いけない!?すぐに離れて!!」
「全員、下がれ!!」
胸元に闇属性の魔石を取りつけていた兵士は魔石を掴み取ると、掌に仕込んでいた鋭利な針で魔石を突き刺す。針に貫かれた瞬間に魔石から黒色の煙が噴き出し、その煙の正体が闇属性の魔力だと気付いたアイラは口元を抑え込む。
魔石から漏れ出した闇属性の魔力は瞬く間に玉座の間に広がり、その煙を浴びた者達は苦悶の表情を浮かべて倒れ込む。闇属性の魔力を直に浴びると普通の人間は体内の聖属性の魔力がかき乱されてしまう。聖属性の魔力は生命力といっても過言ではなく、玉座の間に集まっていた家臣や兵士は毒ガスを吸い込んだかのように苦しみ悶える。
「がはぁっ!?」
「うぐぐっ……!?」
「ち、力が……おええっ!!」
玉座の間の殆どの人間が闇属性の魔力を吸い込んだ事で倒れる中、いち早く危険に勘付いたアイラとナオは魔力を吸い込まないように口元を塞ぐ。この時にアイラは魔鎧術を発動させ、闇属性の魔力を遮断する。
(このままだと全員死んでしまうわ。すぐに窓を開いて魔力を外に出さないとナオちゃんも危ない!!)
アイラは魔鎧術を纏う事で闇属性の魔力を完全に遮断する事はできるが、ナオの場合は彼女のように闇属性の魔力を防ぐ手段はない。口元を塞いでいるとはいえ、このままでは酸欠を起こして倒れてしまう。そうなる前にアイラは玉座の間の窓を破壊して魔力を外部に放出させようとする。
既に玉座の間の全体に闇属性の魔力が拡散し、視界も悪い状態だったがアイラは「心眼」を発動させて周囲の状況を把握する。視覚以外の感覚を研ぎ澄ませて彼女は玉座の間の状況を確認すると、先ほどの兵士がナオに近付こうとしている事に気付いた。
「さあ、王女……一緒に付いて来てもらうぞ」
「っ……!?」
「させないわ!!」
兵士は膝を着いたナオの元に駆けつけると、彼女の腕を掴もうとしてきた。しかし、アイラは窓を破壊する前に兵士に近付くと彼に向けて拳を放つ。
「拳打!!」
「がはぁっ!?」
「っ……!!」
兵士の腹部に強烈な衝撃が走るとアイラの一撃で兵士は壁際まで吹き飛ばされ、この際に偶然にも兵士は窓を突き破って外に転がり込む。窓が破壊された事で玉座の間に拡散していた闇属性の魔力が外部に放出されていき、やがて魔力が薄まるとナオも他の者たちも顔色が戻っていく。
「げほっ、げほっ……た、助かりました。アイラさん」
「いいえ……安心するのはまだ早いわ」
「えっ?」
ナオは自分を助けてくれたアイラに礼を継げたが、当のアイラ本人は警戒心を緩めずに破壊した窓を見つめていた。やがて窓の外側に人影が現れると、先ほどの兵士が窓を乗り越えてきた。
「ちぃっ……まさか、魔鎧術の使い手が紛れていたとはな」
「な、何だ!?こいつは……」
「死霊人形……いえ、雰囲気が違うわね」
アイラの攻撃で吹き飛ばされたはずの兵士が再び玉座の間に乗り込み、先ほどのアイラの一撃で男の身体はあちこちの骨が折れて立っているのがやっとの状態だった。しかし、男の胸元の部分に人の形をした黒色の紋様が浮き上がると、やがて全身に紋様が広がって男の身体は全身が黒に染まる。
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