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真・最終章 七魔将編
剣鬼とレナ ※不遇職第七巻発売します!!
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「……シュン、お前は奴を認めているのか?」
「認めているさ、二度目に負けた時からな」
シュンはレナの実力を高く買っている事を告げ、実際にシュンは幾度もレナに挑んでは負けている。もしも自分が認めなければ彼は自分の器が小さい事を認める事になると思っていた。
「まあ、その性格をすぐに切り替えろなんて言わねえよ。けど、これだけは覚えてろよ。坊主はその気になればお前なんていつでも殺す事ができた」
「ぐっ……」
「こうしてお前が生きているのは坊主が手加減したからだ。それだけは忘れるなよ」
ロウガはシュンの言葉に言い返す事ができず、仮にレナが最初から剣鬼の能力を発揮して戦っていればロウガは勝てる要素はなかった。彼の奥の手である「獣化」も結局はレナには通じずに敗れてしまった。
先に洞窟に向かうシュンに対してロウガは何も言い返す事ができず、かといってのこのこと洞窟に戻る事もできない。今ここで洞窟にもどればレナと顔合わせする事になり、未だにロウガはレナの事を素直に認められない。
(奴の実力は確かだ。だが、それでも剣鬼という危うい存在を認めろだと……簡単に言うな)
レナ以外の剣鬼と対峙した事があるロウガだからこそ剣鬼がどれほど恐ろしい存在なのかは理解している。彼はかつて吸血鬼の剣鬼と戦った事があり、危うく殺されかけた過去もあった。しかし、彼が戦った吸血鬼とレナは全く雰囲気は大きく違う。
(器、か……)
シュンの自分の器の話を聞いた時にロウガは自分がレナの事を認められない事を自覚した時、自分の器が唐突に小さく感じられた。意固地になってレナを認めないのはロウガの個人的な感情に過ぎず、実際の所はレナの実力だけはロウガも高く買っていた。
(マリア殿の甥とはいえ、剣鬼を信じるなど……いや、この考え方自体が間違っているのか?シュン、お前はそれを伝えたかったのか?)
剣鬼である前にレナという人間を見極めろとシュンは暗に伝え、ロウガは自分の生涯の主人と認めたマリアがレナを信じている事は理解している。そんな彼女の信じるレナをシュンに信じてみろと伝えられ、彼の心に迷いが生じた――
――その後、雨が上がるとレナ達は王都へ向けて再出発した。雨が降っている間に身体を休める事ができたのでウルは張り切って王都へ向かって直行する。この調子ならば今日中に辿り着けそうではあるが、その前にレナはある事を試していた。
「う~ん……」
「ん?どうかしたのか坊主?さっきから唸ってるぞ」
「腹でも痛いのか?」
「いや、違うけど……ちょっと、考え事がありまして」
「ぷるんっ?」
狼車の中でレナはかつて自分が装着していた「魔法腕輪」を取り出し、それを見つめながら考え込む。魔法腕輪は魔術師が魔法を扱う際に利用する魔道具の一種だが、基本的には魔法腕輪に魔石を装着した状態で身に付ける。
かつてはレナは色々な人から貴重な魔石を貰い、それを魔法腕輪に嵌め込んで身に付けていた。しかし、退魔刀の強化のために魔法腕輪に装着していた魔石は全て退魔刀に埋め込まれ、現在は魔法腕輪には何も魔石は装着していない。
(昔は魔法腕輪で魔力を上げて魔法を使っていたけど、今は剣で戦う事が多いから殆ど使う機会がなくなったんだよな)
最初の頃はレナは初級魔法と支援魔法を組み合わせた合成魔術を多用していたが、剣鬼になってからは魔法剣で戦う事が多くなり、魔法腕輪を利用して合成魔術を発動する機会は格段に減った。一応は今でも合成魔術を扱う時はあるが、やはり本職の魔術師の砲撃魔法と比べると威力は劣る。
レナの初級魔法は攻撃には向いておらず、支援魔法でなんとか強化する事で実戦にも使える程度の威力は引き出してきた。しかし、現在のレナの場合は魔法剣で対処する方が確実に敵を倒せるため、合成魔術を使う機会は殆どない。
(この魔法腕輪、魔石を嵌め込むんだよな。そして魔法を発動する時に魔石から魔力を引き出して触媒にする。そうする事で魔法を発動するときに威力も上昇するし、魔力の消費もある程度は抑えられるらしいけど……もっと別の使い道はないのかな?)
魔法腕輪を除きながらレナは何か思いつきそうだったが、考えがまとまる前に狼車を引っ張るウルが何かに気付いた様に鳴き声を上げる。
「ウォンッ!!ウォンッ!!」
「うわっ!?どうしたウル!?」
「ぷるんっ!?」
「敵か!?」
狼車の中に居た者達は即座にウルに顔を向けると、前方に存在する丘から煙のような物が舞い上がっていた何事かと思ったレナ達は狼車を一旦止めて丘へ駆け上がると、そこにはとんでもない光景が映し出されていた。
「あれは……王都!?」
「おいおい、どうなってやがんだ!?」
「何だ、あの煙は……!?」
「まさか、もう七魔将が攻めてきたのか!?」
「……これはかなりまずそうですね」
丘の先には目的地である王都が遂にレナ達の視界に映し出されるが、いったい何が起きたのか王都のあちこちで煙が舞い上がっていた――
※不遇職の第七巻が2月に販売されます!!( ゚Д゚)ヤッタアアアッ!!
「認めているさ、二度目に負けた時からな」
シュンはレナの実力を高く買っている事を告げ、実際にシュンは幾度もレナに挑んでは負けている。もしも自分が認めなければ彼は自分の器が小さい事を認める事になると思っていた。
「まあ、その性格をすぐに切り替えろなんて言わねえよ。けど、これだけは覚えてろよ。坊主はその気になればお前なんていつでも殺す事ができた」
「ぐっ……」
「こうしてお前が生きているのは坊主が手加減したからだ。それだけは忘れるなよ」
ロウガはシュンの言葉に言い返す事ができず、仮にレナが最初から剣鬼の能力を発揮して戦っていればロウガは勝てる要素はなかった。彼の奥の手である「獣化」も結局はレナには通じずに敗れてしまった。
先に洞窟に向かうシュンに対してロウガは何も言い返す事ができず、かといってのこのこと洞窟に戻る事もできない。今ここで洞窟にもどればレナと顔合わせする事になり、未だにロウガはレナの事を素直に認められない。
(奴の実力は確かだ。だが、それでも剣鬼という危うい存在を認めろだと……簡単に言うな)
レナ以外の剣鬼と対峙した事があるロウガだからこそ剣鬼がどれほど恐ろしい存在なのかは理解している。彼はかつて吸血鬼の剣鬼と戦った事があり、危うく殺されかけた過去もあった。しかし、彼が戦った吸血鬼とレナは全く雰囲気は大きく違う。
(器、か……)
シュンの自分の器の話を聞いた時にロウガは自分がレナの事を認められない事を自覚した時、自分の器が唐突に小さく感じられた。意固地になってレナを認めないのはロウガの個人的な感情に過ぎず、実際の所はレナの実力だけはロウガも高く買っていた。
(マリア殿の甥とはいえ、剣鬼を信じるなど……いや、この考え方自体が間違っているのか?シュン、お前はそれを伝えたかったのか?)
剣鬼である前にレナという人間を見極めろとシュンは暗に伝え、ロウガは自分の生涯の主人と認めたマリアがレナを信じている事は理解している。そんな彼女の信じるレナをシュンに信じてみろと伝えられ、彼の心に迷いが生じた――
――その後、雨が上がるとレナ達は王都へ向けて再出発した。雨が降っている間に身体を休める事ができたのでウルは張り切って王都へ向かって直行する。この調子ならば今日中に辿り着けそうではあるが、その前にレナはある事を試していた。
「う~ん……」
「ん?どうかしたのか坊主?さっきから唸ってるぞ」
「腹でも痛いのか?」
「いや、違うけど……ちょっと、考え事がありまして」
「ぷるんっ?」
狼車の中でレナはかつて自分が装着していた「魔法腕輪」を取り出し、それを見つめながら考え込む。魔法腕輪は魔術師が魔法を扱う際に利用する魔道具の一種だが、基本的には魔法腕輪に魔石を装着した状態で身に付ける。
かつてはレナは色々な人から貴重な魔石を貰い、それを魔法腕輪に嵌め込んで身に付けていた。しかし、退魔刀の強化のために魔法腕輪に装着していた魔石は全て退魔刀に埋め込まれ、現在は魔法腕輪には何も魔石は装着していない。
(昔は魔法腕輪で魔力を上げて魔法を使っていたけど、今は剣で戦う事が多いから殆ど使う機会がなくなったんだよな)
最初の頃はレナは初級魔法と支援魔法を組み合わせた合成魔術を多用していたが、剣鬼になってからは魔法剣で戦う事が多くなり、魔法腕輪を利用して合成魔術を発動する機会は格段に減った。一応は今でも合成魔術を扱う時はあるが、やはり本職の魔術師の砲撃魔法と比べると威力は劣る。
レナの初級魔法は攻撃には向いておらず、支援魔法でなんとか強化する事で実戦にも使える程度の威力は引き出してきた。しかし、現在のレナの場合は魔法剣で対処する方が確実に敵を倒せるため、合成魔術を使う機会は殆どない。
(この魔法腕輪、魔石を嵌め込むんだよな。そして魔法を発動する時に魔石から魔力を引き出して触媒にする。そうする事で魔法を発動するときに威力も上昇するし、魔力の消費もある程度は抑えられるらしいけど……もっと別の使い道はないのかな?)
魔法腕輪を除きながらレナは何か思いつきそうだったが、考えがまとまる前に狼車を引っ張るウルが何かに気付いた様に鳴き声を上げる。
「ウォンッ!!ウォンッ!!」
「うわっ!?どうしたウル!?」
「ぷるんっ!?」
「敵か!?」
狼車の中に居た者達は即座にウルに顔を向けると、前方に存在する丘から煙のような物が舞い上がっていた何事かと思ったレナ達は狼車を一旦止めて丘へ駆け上がると、そこにはとんでもない光景が映し出されていた。
「あれは……王都!?」
「おいおい、どうなってやがんだ!?」
「何だ、あの煙は……!?」
「まさか、もう七魔将が攻めてきたのか!?」
「……これはかなりまずそうですね」
丘の先には目的地である王都が遂にレナ達の視界に映し出されるが、いったい何が起きたのか王都のあちこちで煙が舞い上がっていた――
※不遇職の第七巻が2月に販売されます!!( ゚Д゚)ヤッタアアアッ!!
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