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真・最終章 七魔将編
アリアという存在の大きさ
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――ロウガがレナを快く思わない理由、それは彼が「剣鬼」である事が原因だった。ロウガはかつて剣鬼の力を持つ吸血鬼と戦った事があり、彼は剣鬼がどれほど恐ろしい存在なのかを知っていた。
剣聖とは違って剣鬼は特殊な存在であり、和国では「同じ時代に二人の剣鬼は存在しない」とまで言われている。理由としては剣鬼の場合は人を斬れば斬る程により大きな力を求める様になって歯止めが効かなくなる。剣鬼は戦う事で成長するため、激しい戦いを繰り広げる度に強さを増す。
歴史に名を刻んだ大量殺人鬼の殆どは剣鬼だと信じる者も多く、剣聖と違って剣鬼は異質な存在だった。それでもレナの場合は暴走する事はあっても好き好んで人殺しを行った事はない。仮に相手を殺す場合も止む無くの場合のみであり、少なくとも自分の私利私欲のために人を殺めた事はない。
剣鬼でありながらレナがその力に溺れずに普通の人間のように生活できるのはアリアのお陰であり、彼女を殺めた事はレナは一生後悔している。彼女を倒すしか生き残る方法はなかったとは分かっていたが、それでもレナはアリアの事は一生忘れる事はできない大切な人だった。
アリアという存在が居たからこそレナは剣鬼の力に溺れる事はなく、殺人鬼の人生を歩まずに生きていくことができた。もうレナが剣鬼として暴走する事は有り得ず、剣鬼の能力のみを使いこなして生きていけるだけの力を彼は持っていた。
それでもロウガはレナの力を危険視して彼にだけは心を開かず、未だにレナの事をこの世に生きていてはいけない存在だと認識していた。レナも自分の事を危険視しているロウガに対して警戒心を抱かずにはいられず、お互いに警戒しながらも目的のために力を合わせるだけに過ぎない。
――その日の晩、雨が止む気配もないのでレナ達は洞窟の中で過ごす事にした。見張り役は交代で行い、この時にレナとハルナはウルの暖かな毛皮を毛布代わりにして暖を取って眠っていた。スラミンはホネミンの枕代わりに利用され、シュンも壁に背中を預けて眠っていた。
ロウガは最初の見張り役として洞窟の出入口に立っていたが、彼は全員が寝入った事を確認すると短剣を取り出してウルの傍に眠るレナの元へ向かう。彼は呑気そうに眠っているレナを見て短剣を握りしめるが、即座にレナは目を開いてロウガに尋ねた。
「そんなに俺を殺したいわけ?」
「……やはり、起きていたか」
「そんな殺気を向けられたら俺でなくても気付くよ」
「グルルルッ……!!」
短剣を手にしたロウガに対してレナは起き上がるとウルも目を開いて唸り声をあげる。深淵の森に暮らしていたレナとウルは常に他の魔物に警戒しながら生きていたため、殺気に対しては敏感に感じ取る事ができた。そんなレナとウルに対してロウガは黙って短剣を元に戻すと、彼は思いがけぬ提案を行う。
「表へ出ろ、話がある」
「話?どんな話?」
「……待っているぞ」
「ウォンッ……」
ロウガはレナの質問に答えずに雨が降っているにも関わらずに外に出ると、ウルが心配するようにレナの背中に鼻先を擦りつける。そんなウルに対してレナは頭を撫でて落ち着かせると、ロウガの言う通りに彼の後に続いて雨が降りしきる草原へと移動する。
「話ってなに?まさか、決闘でも申し込むつもり?」
「決闘ではない、ただの手合わせだ」
「とてもそんな風には見えないけど……」
既に外に移動するとロウガは待ち構えており、彼は両手に剣を構えていた。彼が手にする剣はミスリル製で形状はカトラスと似ている。ナオもカトラスの使い手だがロウガの場合は逆手に持ち替えて構えると、レナの返事を聞く前に彼に斬りかかってきた。
「参る!!」
「…………」
問答無用で斬りかかってきたロウガに対してレナは退魔刀に手を伸ばそうとしたが、背中から大剣を抜く前にロウガの攻撃が先に届くと判断して腰に装着している鏡刀を引き抜く。
二人の剣の刃が交わうと金属音と火花が散り、お互いに鍔迫り合いの状態に陥る。単純な身体能力は支援魔法で強化したレナの方が上らしく、ロウガの手にする二つの剣を弾いて蹴り飛ばす。
「はあっ!!」
「ぐふっ!?」
腹部を蹴りつけられたロウガは苦痛の表情を浮かべながらも寸前に後ろに跳んでいた事で衝撃を和らげる。それでもレナの蹴りを受けた箇所は鈍い痛みが走って表情を歪ませ、まるで巨人族に蹴り込まれたような感覚だった。
種族的には獣人族は人間よりも運動能力は高いがレナの場合は普通の人間とは到底かけ離れた身体能力を誇り、そもそも彼の場合は戦闘には適していない魔法職の人間でありながら数々の強敵を倒した事で「英雄」の領域にまで辿り着いた人間である。最早その力は「超人」と表現しても過言ではなく、正攻法ではロウガにレナを倒す事はできない。それでも彼は勝ち目がないとは思っておらず、奥の手を繰り出す。
剣聖とは違って剣鬼は特殊な存在であり、和国では「同じ時代に二人の剣鬼は存在しない」とまで言われている。理由としては剣鬼の場合は人を斬れば斬る程により大きな力を求める様になって歯止めが効かなくなる。剣鬼は戦う事で成長するため、激しい戦いを繰り広げる度に強さを増す。
歴史に名を刻んだ大量殺人鬼の殆どは剣鬼だと信じる者も多く、剣聖と違って剣鬼は異質な存在だった。それでもレナの場合は暴走する事はあっても好き好んで人殺しを行った事はない。仮に相手を殺す場合も止む無くの場合のみであり、少なくとも自分の私利私欲のために人を殺めた事はない。
剣鬼でありながらレナがその力に溺れずに普通の人間のように生活できるのはアリアのお陰であり、彼女を殺めた事はレナは一生後悔している。彼女を倒すしか生き残る方法はなかったとは分かっていたが、それでもレナはアリアの事は一生忘れる事はできない大切な人だった。
アリアという存在が居たからこそレナは剣鬼の力に溺れる事はなく、殺人鬼の人生を歩まずに生きていくことができた。もうレナが剣鬼として暴走する事は有り得ず、剣鬼の能力のみを使いこなして生きていけるだけの力を彼は持っていた。
それでもロウガはレナの力を危険視して彼にだけは心を開かず、未だにレナの事をこの世に生きていてはいけない存在だと認識していた。レナも自分の事を危険視しているロウガに対して警戒心を抱かずにはいられず、お互いに警戒しながらも目的のために力を合わせるだけに過ぎない。
――その日の晩、雨が止む気配もないのでレナ達は洞窟の中で過ごす事にした。見張り役は交代で行い、この時にレナとハルナはウルの暖かな毛皮を毛布代わりにして暖を取って眠っていた。スラミンはホネミンの枕代わりに利用され、シュンも壁に背中を預けて眠っていた。
ロウガは最初の見張り役として洞窟の出入口に立っていたが、彼は全員が寝入った事を確認すると短剣を取り出してウルの傍に眠るレナの元へ向かう。彼は呑気そうに眠っているレナを見て短剣を握りしめるが、即座にレナは目を開いてロウガに尋ねた。
「そんなに俺を殺したいわけ?」
「……やはり、起きていたか」
「そんな殺気を向けられたら俺でなくても気付くよ」
「グルルルッ……!!」
短剣を手にしたロウガに対してレナは起き上がるとウルも目を開いて唸り声をあげる。深淵の森に暮らしていたレナとウルは常に他の魔物に警戒しながら生きていたため、殺気に対しては敏感に感じ取る事ができた。そんなレナとウルに対してロウガは黙って短剣を元に戻すと、彼は思いがけぬ提案を行う。
「表へ出ろ、話がある」
「話?どんな話?」
「……待っているぞ」
「ウォンッ……」
ロウガはレナの質問に答えずに雨が降っているにも関わらずに外に出ると、ウルが心配するようにレナの背中に鼻先を擦りつける。そんなウルに対してレナは頭を撫でて落ち着かせると、ロウガの言う通りに彼の後に続いて雨が降りしきる草原へと移動する。
「話ってなに?まさか、決闘でも申し込むつもり?」
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「とてもそんな風には見えないけど……」
既に外に移動するとロウガは待ち構えており、彼は両手に剣を構えていた。彼が手にする剣はミスリル製で形状はカトラスと似ている。ナオもカトラスの使い手だがロウガの場合は逆手に持ち替えて構えると、レナの返事を聞く前に彼に斬りかかってきた。
「参る!!」
「…………」
問答無用で斬りかかってきたロウガに対してレナは退魔刀に手を伸ばそうとしたが、背中から大剣を抜く前にロウガの攻撃が先に届くと判断して腰に装着している鏡刀を引き抜く。
二人の剣の刃が交わうと金属音と火花が散り、お互いに鍔迫り合いの状態に陥る。単純な身体能力は支援魔法で強化したレナの方が上らしく、ロウガの手にする二つの剣を弾いて蹴り飛ばす。
「はあっ!!」
「ぐふっ!?」
腹部を蹴りつけられたロウガは苦痛の表情を浮かべながらも寸前に後ろに跳んでいた事で衝撃を和らげる。それでもレナの蹴りを受けた箇所は鈍い痛みが走って表情を歪ませ、まるで巨人族に蹴り込まれたような感覚だった。
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