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真・最終章 七魔将編
死操術
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『ギャアアアアッ!?』
「うおっ!?な、何だ!?」
「これはいったい……!?」
「うわ、気持ち悪い!?近づかない方がいいですよ!!」
カラドボルグを通じて地竜の体内に聖属性と雷属性の魔力が合わさった雷光が放たれた瞬間、地竜の肉体から黒色の煙のような物が一気に噴き出す。その煙の正体は闇属性の魔力であり、そして地竜の体内から人の形をした黒色の塊のような物が出現する。
いち早くにレナは人型の塊の正体がブラクが切り離した影だと見抜き、先ほどの悲鳴の正体は地竜ではなくて影から発せられたと気付く。地竜の肉体から逃げる様に影は出てきたが、それを見逃さずにレナは反鏡剣を抜いて振りかざす。
「だああっ!!」
『ガハァッ!?』
首元に目掛けてレナは反鏡剣を振り抜くと首を切り裂かれた影は消散して完全に消え去る。その途端に黒色化していた地竜の肉体は崩れ去り、粉々に砕けて地面に散らばった。
「ふうっ……」
「た、倒したのか?」
「何だったのだ今のは……」
「クゥンッ……」
レナが倒した人型の形をした影の塊に全員が戸惑う中、ホネミンは崩れた地竜の死骸を確認して死後からどれくらい経過しているのかを把握する。彼女の見立てでは地竜は死亡してから数日程は経過していると見抜いた。
「この地竜、やっぱり死体だったようですね。レナさんが言っていたブラクとやらの死霊術……いえ、死操術とでも言えばいいんですかね。さっき倒したのは死体を操っていた本体でしょうか」
「多分、影魔法の一種だと思う。影が体内に入り込んで死体を無理やりに操作していた。でも、さっきの奴は悲鳴を上げてたけど……まさか、影に意思があったのかな?」
「そこは分かりませんね。でも、影魔法は自分の影を利用して物体を動かします。だから基本的には本体の影が届かない場所では影魔法の発動は不可能なはずですが……影の一部を切り離して操るなんて影魔法は聞いた事もありませんね。そこら辺はダインさんが詳しいかもしれません」
「なら今度ダインに会った時に教えてもらうよ。ふうっ……それにしても大変な事になったな」
地竜が飲み込んでいた狼車は吐き出されたが、地竜に飲み込まれた時とウルの体当たりによって破損が酷く、これを修復するには時間が掛かりそうだった。しかし、錬金術師であるレナならば時間は掛かるが元通りに修復できる。
狼車の修理の方はレナに任せてホネミンは地竜の死骸を確認した後、彼女は地図を開いて自分達の現在位置を確認する。現在の居場所は王都と冒険都市の中間に位置しており、もしかしたらこの地竜は冒険都市の人間が王都に向かう事を予想して配置されていた罠の可能性も出てきた。
「まるで私達が王都へ向かう事を予想して配置したかのように現れましたね。ここから先も他に罠があるかもしれません」
「ちっ……なら、奴等の次の狙いは王都か?」
「その可能性もありますね」
「奴等め、いったい何が目的だ!?冒険都市だけではなく、今度は王都まで襲うつもりか!?」
「どうでもいいけどこいつ……食えるのか?あたし、倒した魔物はできるだけ食うようにしてるんだけど」
「地竜を食べようとする人なんて初めて見ましたよ。まあ、生身の部分は調理すれば食べられるかもしれませんけど……死後から数日は経過してるので腐ってるかもしれませんね」
「じゃあ、食えないのか……残念だな」
「ウォンッ(腹壊すぞ)」
「ぷるんっ(もう出てきていい?)」
地竜の死骸を見て残念そうに呟くハルナにウルは呆れる中、ホネミンの鞄の中からスラミンが顔を出す。どうやら地竜が襲ってきた時に咄嗟に彼女の鞄の中に隠れていたらしく、これで全員の無事が確認したのでレナは修理を急ぐ。
(物質変換と形状高速変化を使えば壊れた物も元通りに治せるけど……まさか地中から現れるとはな。完全に油断してた)
死霊人形と違って死体人形の場合は気配感知や魔力感知などの技能でも神経を集中させなければ感じとる事は難しく、その理由は死霊人形の場合は闇属性の魔力を死体に宿す事で死者を蘇生させて蘇らせる。しかし、死操術の場合は死体に影の一部を封じて内側から死体を操る。この二つは闇属性の魔力で死体を操るという点は共通しているが、大きく違う点は消費する魔力である。
死霊術の場合は蘇らせる対象が強大な力を持つ存在の場合、それ相応の魔力を死体に宿らせなければならない。しかし、ブラクの死操術は力や大きさに関係なく、自分の影の一部を送り込めば竜種のような巨体の生物でも操作できる。ブラクの影自体も闇属性の魔力で構成されているがそれほど大きな魔力ではないので魔力感知も上手く反応しない。
(それにしても地竜の死骸なんてよく見つけたな……いや、こいつは殺されたのか?七魔将の誰かが地竜を殺してブラクが操った?)
レナ達が倒した地竜はまだ幼体だが、それでも戦闘力は他の魔物と比べても相当に高い。恐らくは七魔将の誰かが地竜を殺した事になるが、オウガとアルドラは他の七魔将と敵対しているという話はアイリスから聞いているので他の四人の七魔将の誰かが地竜を殺した事になる。
「うおっ!?な、何だ!?」
「これはいったい……!?」
「うわ、気持ち悪い!?近づかない方がいいですよ!!」
カラドボルグを通じて地竜の体内に聖属性と雷属性の魔力が合わさった雷光が放たれた瞬間、地竜の肉体から黒色の煙のような物が一気に噴き出す。その煙の正体は闇属性の魔力であり、そして地竜の体内から人の形をした黒色の塊のような物が出現する。
いち早くにレナは人型の塊の正体がブラクが切り離した影だと見抜き、先ほどの悲鳴の正体は地竜ではなくて影から発せられたと気付く。地竜の肉体から逃げる様に影は出てきたが、それを見逃さずにレナは反鏡剣を抜いて振りかざす。
「だああっ!!」
『ガハァッ!?』
首元に目掛けてレナは反鏡剣を振り抜くと首を切り裂かれた影は消散して完全に消え去る。その途端に黒色化していた地竜の肉体は崩れ去り、粉々に砕けて地面に散らばった。
「ふうっ……」
「た、倒したのか?」
「何だったのだ今のは……」
「クゥンッ……」
レナが倒した人型の形をした影の塊に全員が戸惑う中、ホネミンは崩れた地竜の死骸を確認して死後からどれくらい経過しているのかを把握する。彼女の見立てでは地竜は死亡してから数日程は経過していると見抜いた。
「この地竜、やっぱり死体だったようですね。レナさんが言っていたブラクとやらの死霊術……いえ、死操術とでも言えばいいんですかね。さっき倒したのは死体を操っていた本体でしょうか」
「多分、影魔法の一種だと思う。影が体内に入り込んで死体を無理やりに操作していた。でも、さっきの奴は悲鳴を上げてたけど……まさか、影に意思があったのかな?」
「そこは分かりませんね。でも、影魔法は自分の影を利用して物体を動かします。だから基本的には本体の影が届かない場所では影魔法の発動は不可能なはずですが……影の一部を切り離して操るなんて影魔法は聞いた事もありませんね。そこら辺はダインさんが詳しいかもしれません」
「なら今度ダインに会った時に教えてもらうよ。ふうっ……それにしても大変な事になったな」
地竜が飲み込んでいた狼車は吐き出されたが、地竜に飲み込まれた時とウルの体当たりによって破損が酷く、これを修復するには時間が掛かりそうだった。しかし、錬金術師であるレナならば時間は掛かるが元通りに修復できる。
狼車の修理の方はレナに任せてホネミンは地竜の死骸を確認した後、彼女は地図を開いて自分達の現在位置を確認する。現在の居場所は王都と冒険都市の中間に位置しており、もしかしたらこの地竜は冒険都市の人間が王都に向かう事を予想して配置されていた罠の可能性も出てきた。
「まるで私達が王都へ向かう事を予想して配置したかのように現れましたね。ここから先も他に罠があるかもしれません」
「ちっ……なら、奴等の次の狙いは王都か?」
「その可能性もありますね」
「奴等め、いったい何が目的だ!?冒険都市だけではなく、今度は王都まで襲うつもりか!?」
「どうでもいいけどこいつ……食えるのか?あたし、倒した魔物はできるだけ食うようにしてるんだけど」
「地竜を食べようとする人なんて初めて見ましたよ。まあ、生身の部分は調理すれば食べられるかもしれませんけど……死後から数日は経過してるので腐ってるかもしれませんね」
「じゃあ、食えないのか……残念だな」
「ウォンッ(腹壊すぞ)」
「ぷるんっ(もう出てきていい?)」
地竜の死骸を見て残念そうに呟くハルナにウルは呆れる中、ホネミンの鞄の中からスラミンが顔を出す。どうやら地竜が襲ってきた時に咄嗟に彼女の鞄の中に隠れていたらしく、これで全員の無事が確認したのでレナは修理を急ぐ。
(物質変換と形状高速変化を使えば壊れた物も元通りに治せるけど……まさか地中から現れるとはな。完全に油断してた)
死霊人形と違って死体人形の場合は気配感知や魔力感知などの技能でも神経を集中させなければ感じとる事は難しく、その理由は死霊人形の場合は闇属性の魔力を死体に宿す事で死者を蘇生させて蘇らせる。しかし、死操術の場合は死体に影の一部を封じて内側から死体を操る。この二つは闇属性の魔力で死体を操るという点は共通しているが、大きく違う点は消費する魔力である。
死霊術の場合は蘇らせる対象が強大な力を持つ存在の場合、それ相応の魔力を死体に宿らせなければならない。しかし、ブラクの死操術は力や大きさに関係なく、自分の影の一部を送り込めば竜種のような巨体の生物でも操作できる。ブラクの影自体も闇属性の魔力で構成されているがそれほど大きな魔力ではないので魔力感知も上手く反応しない。
(それにしても地竜の死骸なんてよく見つけたな……いや、こいつは殺されたのか?七魔将の誰かが地竜を殺してブラクが操った?)
レナ達が倒した地竜はまだ幼体だが、それでも戦闘力は他の魔物と比べても相当に高い。恐らくは七魔将の誰かが地竜を殺した事になるが、オウガとアルドラは他の七魔将と敵対しているという話はアイリスから聞いているので他の四人の七魔将の誰かが地竜を殺した事になる。
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