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真・最終章 七魔将編
聖水香
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「おいおい、いきなり現れて何を言い出すんだ嬢ちゃん。あんた、見た所だとまだガキじゃねえか」
「失礼な、確かに若い時の肉体を再生してもらいましたが私の実年齢は貴方の何倍も生きてるんですよ」
「あん?何言ってんだ、俺はこう見えても100才近くだぞ」
「シュン……彼女の言っている事は本当です。この御方は私たちよりも年上ですよ」
「んな馬鹿な……」
ホネミンとは初対面のシュンは彼女の言葉が信じられず、外見だけを見るとホネミンはまだレナ達とそう変わらない年齢の少女にしか見えない。尤もシュンの師匠であるハヤテは彼よりも年上なのにホネミンよりも幼い容姿であるため、彼女が自分よりも年上である可能性は否定する事はできない。
しかし、いくらエルフといっても数百歳も年齢を重ねれば容姿も老いるのは避けられない。だからこそホネミンの場合も本当にシュンよりも何倍もの時を生きていれば容姿は年老いているはずだが、彼女の場合は特殊な事情で若い肉体を保っている。
「私の場合は色々とあって肉体は若くなりましたが、こう見えてもここにいる誰よりも年上なんですよ。ほらほら、目上の人に対して敬意を表してください。肩揉んでお茶を用意して貰いましょうか」
「な、何だこの図々しい嬢ちゃんは……」
「言動はどう見ても子供にしか思えんが……」
「ま、まあ……性格はともかく、彼女の言う言葉は嘘ではありません。この御方の腕は確かです」
自己紹介を終えたホネミンは偉そうにふんぞり返るが、その態度にシュンとロウガは胡散臭い表情を抱くが慌ててリンダが間に割って入る。彼女はティナの護衛役としてレナの屋敷に共に暮らしており、時々遊びに訪れるホネミンとも対話した事があった。
彼女の事情はレナから直接聞かされており、最初の頃はリンダもまさかエルフ王国(ヨツバ王国が建国される前の時代に存在した国家)の英雄として歴史に名前を刻んでいた人物がホネミンだと知った時は衝撃を受けた。正直に言えば最初の頃はほら吹きの少女だとしか思えなかったが、レナが嘘を吐く理由はないし彼女が骸骨姿だった時の姿もリンダは知っているため、認めざるを得なかった。
ちなみにホネミンが肉体を取り戻したのは彼女自身が肉体を再生させる薬を使用したと説明し、巨塔の大迷宮に存在するアンドロイドに強力して貰って肉体を再生した事は伏せている。話した所で信じて貰える内容ではなく、この世界の人間にはそもそもアンドロイドの存在を説明する方が難しい。
「まあ、おふざけはここまでにしておいて……怪我人の治療のためには聖水を必要としているんでしょう?微力ながら私も聖水の生産を手伝いますよ」
「そいつは有難いけど……聖水を作れるのは教会の人間だけじゃないのかい?」
「私が作るのはただの聖水ではありません、従来の聖水よりも効果の高い聖水……その名前も聖花香です」
「せ、聖……花香?」
聞いた事もない名前の薬に全員が戸惑うが、ホネミンによれば現在の聖水を利用した怪我人の治療はあまりにも非効率らしく、単純に聖水を浸らせた包帯を呪詛で侵された人間に巻き付けるだけでは完治まで時間が掛かり過ぎる事を指摘する。
「今の治療法だと呪詛を浄化する前に必ず体力が持たずに大半の人間が死んでしまいます。既に死亡者もいるのでは?」
「……ああ、あんたの言う通りだよ。治療中だった人間も何人か死んでいる、体力が持たなかったんだろうね」
「聖水を利用して呪詛を浄化させるまでは良いんです。ですけど、その肝心の呪詛を祓う方法が問題があるんですよ。包帯をただ巻き付けるだけで呪詛を完全に浄化するには時間が掛かり過ぎますし、何よりも無駄に聖水を消費します」
「そこまで言うのなら嬢ちゃんは何かいい方法があるのかよ?」
「私の話をちゃんと聞いてたんですか?あるからこうして偉そうに振舞ってるんですよ」
「お、おう……それ、自分で言うのか?」
胸を張ってあからさまに偉そうな態度を取るホネミンにシュンはたじたじであり、何故だか知らないが彼はホネミンに強く出る事はできなかった。普段の彼ならばこの緊迫した状況で偉そうに語り掛ける少女を見れば流石に苦言の一つや二つは告げるのだが、ホネミンの場合は異様な雰囲気を纏っていてどうにも逆らえない。
「話を戻しますが私がこれから作り出す聖水香は文字通りにただの薬ではありません。聖水を原料とした香薬です」
「香薬?」
「この世界には……あ、いや、この国では馴染みのない薬かもしれませんが、聖水さえ用意してくれるのであればすぐに製作できます」
「は、はあ……その薬はどれくらいで造り出せるんですか?」
「聖水と私が用意した特別な薬草を利用すれば1日で作り上げる事はできます。後は大勢の患者を集められる場所を用意して下さい、大丈夫ですか?」
「……分かった、ならうちのギルドを好きに使っていいよ」
「ギルドマスター!?本気ですか!?」
「どうせこのまま治療を続けても助かるのか分からないんだ、なら賭けてみるしかないだろう?」
バルの言葉に受付嬢は驚くが、彼女はレナの仲間であるホネミンを信じて彼女に呪詛に侵された人間達の治療を託した――
「失礼な、確かに若い時の肉体を再生してもらいましたが私の実年齢は貴方の何倍も生きてるんですよ」
「あん?何言ってんだ、俺はこう見えても100才近くだぞ」
「シュン……彼女の言っている事は本当です。この御方は私たちよりも年上ですよ」
「んな馬鹿な……」
ホネミンとは初対面のシュンは彼女の言葉が信じられず、外見だけを見るとホネミンはまだレナ達とそう変わらない年齢の少女にしか見えない。尤もシュンの師匠であるハヤテは彼よりも年上なのにホネミンよりも幼い容姿であるため、彼女が自分よりも年上である可能性は否定する事はできない。
しかし、いくらエルフといっても数百歳も年齢を重ねれば容姿も老いるのは避けられない。だからこそホネミンの場合も本当にシュンよりも何倍もの時を生きていれば容姿は年老いているはずだが、彼女の場合は特殊な事情で若い肉体を保っている。
「私の場合は色々とあって肉体は若くなりましたが、こう見えてもここにいる誰よりも年上なんですよ。ほらほら、目上の人に対して敬意を表してください。肩揉んでお茶を用意して貰いましょうか」
「な、何だこの図々しい嬢ちゃんは……」
「言動はどう見ても子供にしか思えんが……」
「ま、まあ……性格はともかく、彼女の言う言葉は嘘ではありません。この御方の腕は確かです」
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彼女の事情はレナから直接聞かされており、最初の頃はリンダもまさかエルフ王国(ヨツバ王国が建国される前の時代に存在した国家)の英雄として歴史に名前を刻んでいた人物がホネミンだと知った時は衝撃を受けた。正直に言えば最初の頃はほら吹きの少女だとしか思えなかったが、レナが嘘を吐く理由はないし彼女が骸骨姿だった時の姿もリンダは知っているため、認めざるを得なかった。
ちなみにホネミンが肉体を取り戻したのは彼女自身が肉体を再生させる薬を使用したと説明し、巨塔の大迷宮に存在するアンドロイドに強力して貰って肉体を再生した事は伏せている。話した所で信じて貰える内容ではなく、この世界の人間にはそもそもアンドロイドの存在を説明する方が難しい。
「まあ、おふざけはここまでにしておいて……怪我人の治療のためには聖水を必要としているんでしょう?微力ながら私も聖水の生産を手伝いますよ」
「そいつは有難いけど……聖水を作れるのは教会の人間だけじゃないのかい?」
「私が作るのはただの聖水ではありません、従来の聖水よりも効果の高い聖水……その名前も聖花香です」
「せ、聖……花香?」
聞いた事もない名前の薬に全員が戸惑うが、ホネミンによれば現在の聖水を利用した怪我人の治療はあまりにも非効率らしく、単純に聖水を浸らせた包帯を呪詛で侵された人間に巻き付けるだけでは完治まで時間が掛かり過ぎる事を指摘する。
「今の治療法だと呪詛を浄化する前に必ず体力が持たずに大半の人間が死んでしまいます。既に死亡者もいるのでは?」
「……ああ、あんたの言う通りだよ。治療中だった人間も何人か死んでいる、体力が持たなかったんだろうね」
「聖水を利用して呪詛を浄化させるまでは良いんです。ですけど、その肝心の呪詛を祓う方法が問題があるんですよ。包帯をただ巻き付けるだけで呪詛を完全に浄化するには時間が掛かり過ぎますし、何よりも無駄に聖水を消費します」
「そこまで言うのなら嬢ちゃんは何かいい方法があるのかよ?」
「私の話をちゃんと聞いてたんですか?あるからこうして偉そうに振舞ってるんですよ」
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胸を張ってあからさまに偉そうな態度を取るホネミンにシュンはたじたじであり、何故だか知らないが彼はホネミンに強く出る事はできなかった。普段の彼ならばこの緊迫した状況で偉そうに語り掛ける少女を見れば流石に苦言の一つや二つは告げるのだが、ホネミンの場合は異様な雰囲気を纏っていてどうにも逆らえない。
「話を戻しますが私がこれから作り出す聖水香は文字通りにただの薬ではありません。聖水を原料とした香薬です」
「香薬?」
「この世界には……あ、いや、この国では馴染みのない薬かもしれませんが、聖水さえ用意してくれるのであればすぐに製作できます」
「は、はあ……その薬はどれくらいで造り出せるんですか?」
「聖水と私が用意した特別な薬草を利用すれば1日で作り上げる事はできます。後は大勢の患者を集められる場所を用意して下さい、大丈夫ですか?」
「……分かった、ならうちのギルドを好きに使っていいよ」
「ギルドマスター!?本気ですか!?」
「どうせこのまま治療を続けても助かるのか分からないんだ、なら賭けてみるしかないだろう?」
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