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真・最終章 七魔将編
大被害
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七魔将のオウガとアルドラの撃破は失敗に終わり、被害者の救出を優先しなければならない状況のために捜索もできなかった。それほどまでにブラクが繰り出した黒雲による被害者は多く、その数は数千人にも登る。
被害を受けたのは外に出て戦っていた者達だけではなく、屋内に避難していた人間の中にも被害を受けた人間は居た。建物の中に入っていれば雨の影響は受けないと思われたが、雨が降り注いだ建物内にも実は闇属性の魔力が滲み出し、体調不良を起こす人間が大勢居た。特にレベルが低い生産職の人間の被害が酷く、彼等の治療のために各ギルドの冒険者は動く。
アルドラを取り逃がしたので彼女に操られていた冒険者達はまだ洗脳された状態のはずだが、雨が降り注いだ際に操られていた人間達の中にも雨の被害を受けた者も居た。その者達は不思議な事にアルドラの洗脳から解除され、どうやら闇属性の魔力がアルドラの能力さえも無効化したと思われた。
「どうだい気分は?またあたし達を襲いたいとは思ってないだろうね」
「……最悪な気分ね、だけど今は貴女達に何かするつもりはないわ」
「ううっ……ご、ごめんなさい」
冒険都市内に存在する監獄の牢獄の中でシズネとミナが檻越しにバルに話しかけられ、二人とも表面上は正気を取り戻している様子だった。だが、彼女達の中にはまだアルドラの血が流れているはずであり、今しばらくの間は監獄内で過ごしてもらうしかない。
高レベルの冒険者や傭兵は素手の状態でも危険なため、いくら武器を取り上げたからと言っても安心する事はできない。二人ともアルドラの一件が解決するまでの間は牢獄に閉じ込める事が決まった。この二人だけではなく、他にも暴れまわっていた大勢の女性冒険者や兵士や傭兵も投獄されている。
「全く、あんた達が操られるなんてね……けど、今の所は正気を取り戻した様子だね」
「きっと、これのせいね……忌々しい」
「うえぇっ……気持ち悪いよ」
シズネは右腕、ミナは左腕に黒色化した皮膚を見て眉をしかめる。実はこの二人も雨に打たれており、そのせいなのか他に操られた人間達と比べて冷静に話す事ができた。
どうやらブラクが作り出した「黒雨」を受けた人間は体内に闇属性の魔力が流し込まれ、そのせいで体調不良を起こす反面にアルドラの能力も同時に解除された。理由は不明だが雨に打たれた人間の殆どはアルドラの洗脳が解かれた状態であり、シズネの方も吸血鬼の能力は使えなくなっていた。
「これのせいで気分は最悪ね……まるで力が抜けていくような気分だわ」
「今の所は聖水を浸した包帯を巻けば黒色化した皮膚も元に戻っていく事だけが発覚しているよ。といっても元に戻るまでかなりの時間が掛かるし、数千人分の人間の治療のための聖水をいっぺんに用意するのは無理だからね……生命力が高いあんた等の治療は後回しにさせてもらうよ」
「ええ、仕方ないわね……色々と迷惑を掛けたわ」
「ごめんなさい……」
シズネもミナも正気を取り戻した事で自分達がとんでもない事を仕出かした事は自覚し、反省はしているがそもそも悪いのはアルドラである。アルドラに洗脳されていた者達はあくまでも彼女の命令で動いていただけであり、この事でバルは彼女達を責めるつもりはない。
尤も表面上は普通に接していてもアルドラの血は未だにシズネとミナの体内に混じっている事に変わりはなく、二人が完全に洗脳が解かれたとは言い切れない。だからこそアルドラに操られていた者達は全員を監獄に送り込み、牢獄内で監視しながら治療を行うしかなかった。衛生的にはあまりいい環境ではないが、もしも彼女達にまた暴れられたら場合を想定して外に出すわけにはいかなかった。
「レナは……レナはどうしてるの?噂によると倒れたと聞いているけど……」
「安心しな、医者の話によると魔力を使いすぎたせいで倒れただけだよ。今はゆっくりと休ませているよ」
「ううっ……レナ君に迷惑を掛けちゃった」
「…………」
洗脳されている間もシズネもミナはしっかりと記憶が残っており、自分達が想い人であるレナに大変な迷惑を掛けた事に落ち込む。その様子を見てバルは言いにくそうな表情を浮かべ、彼女達を心配させないように告げたが実を言えば今のレナも危篤状態だった。
(もう倒れてから2日も経過しているのに目が覚ます様子がないなんて言えないね……)
騒動から既に2日は経過しているがレナは一向に目覚める様子はなく、医者からの話によれば魔力を失いすぎて現在の彼は予断を許さない状況だった。普通の人間ならば魔力を失えば身体を休ませるか魔力回復薬などを飲めばいいのだが、レナの場合は元々の魔力容量が大きすぎたせいで魔力を枯渇すると回復までに時間が掛かり過ぎる。
レナの魔力容量はマリアにも迫り、世界中を探しても彼以上の魔力を持ち合わせる魔術師はそうはいない。しかし、容量が大きすぎるせいで魔力を大量に失うと回復までに時間が掛かってしまう。市販の魔力回復薬では回復が追いつかず、しかも気絶した状態では碌に薬を飲ませる事もできない。回復までには相当な時間が掛かると思われ、しばらくの間はレナは目が覚める事はない。
被害を受けたのは外に出て戦っていた者達だけではなく、屋内に避難していた人間の中にも被害を受けた人間は居た。建物の中に入っていれば雨の影響は受けないと思われたが、雨が降り注いだ建物内にも実は闇属性の魔力が滲み出し、体調不良を起こす人間が大勢居た。特にレベルが低い生産職の人間の被害が酷く、彼等の治療のために各ギルドの冒険者は動く。
アルドラを取り逃がしたので彼女に操られていた冒険者達はまだ洗脳された状態のはずだが、雨が降り注いだ際に操られていた人間達の中にも雨の被害を受けた者も居た。その者達は不思議な事にアルドラの洗脳から解除され、どうやら闇属性の魔力がアルドラの能力さえも無効化したと思われた。
「どうだい気分は?またあたし達を襲いたいとは思ってないだろうね」
「……最悪な気分ね、だけど今は貴女達に何かするつもりはないわ」
「ううっ……ご、ごめんなさい」
冒険都市内に存在する監獄の牢獄の中でシズネとミナが檻越しにバルに話しかけられ、二人とも表面上は正気を取り戻している様子だった。だが、彼女達の中にはまだアルドラの血が流れているはずであり、今しばらくの間は監獄内で過ごしてもらうしかない。
高レベルの冒険者や傭兵は素手の状態でも危険なため、いくら武器を取り上げたからと言っても安心する事はできない。二人ともアルドラの一件が解決するまでの間は牢獄に閉じ込める事が決まった。この二人だけではなく、他にも暴れまわっていた大勢の女性冒険者や兵士や傭兵も投獄されている。
「全く、あんた達が操られるなんてね……けど、今の所は正気を取り戻した様子だね」
「きっと、これのせいね……忌々しい」
「うえぇっ……気持ち悪いよ」
シズネは右腕、ミナは左腕に黒色化した皮膚を見て眉をしかめる。実はこの二人も雨に打たれており、そのせいなのか他に操られた人間達と比べて冷静に話す事ができた。
どうやらブラクが作り出した「黒雨」を受けた人間は体内に闇属性の魔力が流し込まれ、そのせいで体調不良を起こす反面にアルドラの能力も同時に解除された。理由は不明だが雨に打たれた人間の殆どはアルドラの洗脳が解かれた状態であり、シズネの方も吸血鬼の能力は使えなくなっていた。
「これのせいで気分は最悪ね……まるで力が抜けていくような気分だわ」
「今の所は聖水を浸した包帯を巻けば黒色化した皮膚も元に戻っていく事だけが発覚しているよ。といっても元に戻るまでかなりの時間が掛かるし、数千人分の人間の治療のための聖水をいっぺんに用意するのは無理だからね……生命力が高いあんた等の治療は後回しにさせてもらうよ」
「ええ、仕方ないわね……色々と迷惑を掛けたわ」
「ごめんなさい……」
シズネもミナも正気を取り戻した事で自分達がとんでもない事を仕出かした事は自覚し、反省はしているがそもそも悪いのはアルドラである。アルドラに洗脳されていた者達はあくまでも彼女の命令で動いていただけであり、この事でバルは彼女達を責めるつもりはない。
尤も表面上は普通に接していてもアルドラの血は未だにシズネとミナの体内に混じっている事に変わりはなく、二人が完全に洗脳が解かれたとは言い切れない。だからこそアルドラに操られていた者達は全員を監獄に送り込み、牢獄内で監視しながら治療を行うしかなかった。衛生的にはあまりいい環境ではないが、もしも彼女達にまた暴れられたら場合を想定して外に出すわけにはいかなかった。
「レナは……レナはどうしてるの?噂によると倒れたと聞いているけど……」
「安心しな、医者の話によると魔力を使いすぎたせいで倒れただけだよ。今はゆっくりと休ませているよ」
「ううっ……レナ君に迷惑を掛けちゃった」
「…………」
洗脳されている間もシズネもミナはしっかりと記憶が残っており、自分達が想い人であるレナに大変な迷惑を掛けた事に落ち込む。その様子を見てバルは言いにくそうな表情を浮かべ、彼女達を心配させないように告げたが実を言えば今のレナも危篤状態だった。
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レナの魔力容量はマリアにも迫り、世界中を探しても彼以上の魔力を持ち合わせる魔術師はそうはいない。しかし、容量が大きすぎるせいで魔力を大量に失うと回復までに時間が掛かってしまう。市販の魔力回復薬では回復が追いつかず、しかも気絶した状態では碌に薬を飲ませる事もできない。回復までには相当な時間が掛かると思われ、しばらくの間はレナは目が覚める事はない。
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