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真・最終章 七魔将編

レナVSガオウ

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「こ、この私よりも早いだと……ふざけるなぁっ!!」
「ガオウ、落ち着け!!ここは力を合わせて……」
「くたばれぇっ!!」


レナの言葉を挑発だと判断したガオウは彼に目掛けて突っ込み、それを見たブラクは咄嗟に止めようとしたが既にレナは反撃の態勢を取っていた。ここでレナは剣鬼の能力を発動させ、この時にレナの身体が纏う蒼炎が紅色の炎と化す。

炎のように見えるが実際にはレナが纏ったのは地属性の魔力であり、それを見たオウガは驚愕の表情を浮かべた。オウガも地属性の魔力の使い手だが、レナの場合は蒼炎だけではなく地属性の魔力の魔鎧術を発動できる事に動揺する。


(馬鹿な!!こいつ、いくつの魔法の適性を持っている!?)


蒼炎を見た時点でオウガはレナが火属性の適性があると思っていたが、自分のように地属性の魔力の魔鎧術を発動した事に驚きを隠せない。通常は魔鎧術の使い手は一つの属性の魔鎧術しか扱えず、蒼炎のような複数の属性を組み合わせた魔鎧術の使い手も稀に登場するが、それでも二つの属性の魔鎧術を扱い分ける人間などいなかった。

オウガでさえも地属性の魔力の魔鎧術を発動する事ができず、他の魔力で形成した魔鎧など作り出す事はできない。しかし、レナの場合は蒼炎だけではなく地属性の魔力で構築した魔鎧術も扱い、ここで彼は迫りくるガオウに向けて退魔刀を構える。


(ハルナと比べたら遅いな……)


剣鬼の状態だとレナは思考能力が加速し、更に肉体の方も地属性の魔力を利用して素早く動く事ができる。この時のレナの動きに対応できる人間は世界中を探したとしても片手の人数分ぐらいしか存在せず、彼は迫りくるガオウに向けて退魔刀を振りかざす。


「兜砕き!!」
「ぐぅっ!?」


全力でレナは上段から剣を振り下ろすと、その攻撃に対してガオウは咄嗟に鏡刀で受け流そうとした。しかし、あまりの剣圧にガオウは衝撃を完全に受け流す事ができず、鏡刀が弾かれて彼は武器を失う。


「ぐあっ!?」
「……弾撃!!」


退魔刀で鏡刀を上空に弾き返したレナは退魔刀を手放してガオウに向けて踏み込み、右拳を固めて全力の一撃を繰り出す。地面を強く踏み込み、足の裏から足首、膝、股関節、腹部、胸、肩、肘、腕の順番に身体を回転及び加速させ、勢い良く拳を撃ち込む。

レナが最初に編み出した格闘用の戦技であり、子供の頃のレナでさえも巨人族級の防御力を誇るバルに傷を負わせた。しかも現在のレナは地属性の魔力を纏った状態であり、その威力は子供の頃の数倍どころか数十倍の威力を誇る。


「うおおおおっ!!」
「ぐはぁあああっ!?」
「ガオウ!?」
「何だと……!?」


ガオウはレナの拳を腹部に受けて悲鳴を上げ、口元から血を吐き出しながら吹き飛ぶ。確実にあばら骨を粉砕し、内臓に骨が突き刺さった。殴り飛ばされたガオウは地面に転がり、身体を痙攣しながら呻き声を漏らす。


「がはぁっ……あっ、ああっ……」
「ば、馬鹿な……何をしているガオウ!!立て!!」
「次はお前の番だ……前の時はよくもやってくれたな」
「ぐうっ!?」


落ちていた退魔刀と鏡刀を拾い上げたレナはブラクに視線を向け、このブラクにはレナは借りがあった。以前にレナはブラクに不意を突かれて痛い目に遭った事を思い出し、その屈辱を晴らすために彼に退魔刀と奪い返した鏡刀を構えた。

ガオウを一撃で戦闘不能に追い込んだレナに対してブラクは警戒心を抱き、彼はこの時に剣だけではなく杖を構える。しかし、この時にレナはブラクの身体の変化に気付き、若返った彼を見て驚きの声を上げる。


「えっ……ダイン?いや、違うのか」
「ちっ……あんな失敗作と見間違えるな!!」
「失敗作、だと……」


ブラクはダインの名前を耳にした途端に不機嫌そうな表情を浮かべるが、それが逆にレナの逆鱗に触れた。よりにもよってレナの前でダインを失敗作扱いしたため、親友を馬鹿にされた彼は怒りを露にして二つの剣を重ね合わせる。


「もう一度言ってみろ……誰が失敗作だ」
「ぐっ……あ、あのガキは儂に逆らった!!だから失敗作なのだ!!」
「ふんっ……随分と余裕がなさそうだな、声が震えているぞブラク」
「黙れ!!」


オウガが口を挟むとブラクは怒鳴り散らし、そんな彼等を見てレナは疑問を抱く。どうして同じ七魔将であるはずのオウガとブラクが争っているのかと思うが、今はそんな事よりも親友を馬鹿にしたブラクを倒そうと集中力を高める。しかし、この時にブラクの足元に誰かが縋りつく。


「ブ、ブラク殿……どうか、お助け下さい……!!」
「ぬおっ!?は、離せっ!!」
「ガオウ……まだ生きていたか」


ガオウはレナの攻撃を受けて瀕死の状態に陥ったが、それでもブラクに助けを求めて彼の足に縋りつく。自分の身体に縋りついて来たガオウに対してブラクは蹴飛ばそうとしたが、ガオウは必死に彼に縋りついて決して離れようとしない。
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