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真・最終章 七魔将編
オウガの目的
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「オウガ……どうして?」
「勘違いするな、別にお前を救うために来たわけではない。それにしてもまさか人間如きにやられるとはな」
「くっ……」
アルドラは自分の今の姿をオウガに見られた事に屈辱を覚えるが、バルの大剣を片手で受け止めるオウガを見て心強い味方が戻ってきてくれたとも思う。バルの方は大剣を掴まれた状態でびくともせず、どれだけ力を込めようとまるで万力のような握力で止められて微動だにしない。
(何だい、この馬鹿げた力は……!?)
バルも人間の中では腕力に優れた剣士ではあるが、オウガに掴まれた大剣はどれだけ彼女が力を込めようと引き剥がせず、それどころか指に掴まれている刃の部分に罅割れが生じる。
「この程度の武器では俺を倒せん」
「なっ!?」
「危ない!!」
「わあっ!?」
オウガは力ずくで大剣を握りしめて破壊すると、それを見たバルは驚愕の声を上げてコトミンは咄嗟にティナを庇う。大剣の破片が周囲に散らばり、その様子を見ていた者達は冷や汗を流す。
この状況下でオウガが現れた事は正に最悪としか言いようがなく、この状況でまともに戦えるのはバルだけである。ハルナの方はいつもの彼女ならば真っ先にオウガに殴り掛かっていてもおかしくはないが、現在の彼女は疲れ切った表情で膝を着いて動かない。
「はあっ、はあっ……」
「……さっきまでの威勢はどうした小娘?」
「このっ……くぅっ!?」
ハルナはオウガの挑発の言葉に反射的に立ち上がろうとしたが、身体の方は言う事を聞かずに膝を崩す。ここまでの戦闘でハルナも限界を迎え、その様子を見てオウガは抱えていたミレトを放り投げる。
「受け止めろ」
「うわっ!?ミ、ミレト!?あんた、ミレトに何を……」
「気を失っているだけだ……その小僧が起きたら伝えろ、いずれ貴様を殺すとな」
「何だと……待てっ!!」
ミレトをバルに投げ渡したオウガはアルドラの元へ歩き、倒れている彼女を片腕で抱えるとその場を離れようとした。だが、その様子を見ていたハルナは止めようとするがバルは咄嗟に彼女の肩を掴む。
「駄目だ!!行かせてやりな!!」
「な、何を言ってるんだ!?あいつらを逃がすわけには……」
「いいから止めるんだ!!今のあんたとあたしにあいつらを倒せると思ってるのかい?あいつらが退くならここは見逃すしかないんだよ……!!」
「……悔しいけど今はどうしようもできない」
「ううっ……怖かったよ」
残念ながらアルドラはともかく、オウガの方は今のバルたちが相手にするのは分が悪い。そのためにここは彼等を見逃すしかなく、立ち去っていくアルドラとオウガを見届ける――
――試合場を離れていくアルドラはオウガに抱えられた状態で無言で過ごし、彼の行動に対してアルドラは疑問を抱く。彼が女には何があろうと直接的に手を出さない事は知っているが、それでもミレトをわざわざ連れてきてバルに任せた事に彼女は違和感を抱く。
「オウガ……貴方、あれは何の真似?」
「…………」
「あの少年を生かした理由、それにわざわざ私を助けに来るなんて何を考えているの?」
「……お前の力が必要だからだ。それ以外に俺がお前を助ける理由などない」
アルドラはオウガの発言に疑問を抱き、今までアルドラはオウガと協力体制を組んでいたが、彼が自分の力を必要だと断言した事など今までに一度もなかった。しかし、オウガは自分の目的のどうしてもアルドラの力を借りる必要があった。
「お前から渡された毒……あの小僧にも飲ませてやった。あの毒を飲ませれば小僧はお前の意のままに操れるはずだ」
「毒……まさか、あれを飲ませたの?どうしてあんな子供に……」
「子供とはいえ、あの呪われた魔槍に気に入られていた。何時の日かこの俺を脅かす存在として成長するかもしれん……その時が来たらお前にも協力してもらうぞ」
「……そう言う事ね」
オウガの言葉を聞いてアルドラは彼が自分の事を救ったのはあくまでも自分のためであり、決してアルドラに対して仲間感情を抱いた上での行動ではない事を悟る。しかし、それを知ってアルドラは逆に安心した。
お互いに利用する立場となった事でアルドラは安心感を抱き、同時に彼女はこれ以上に冒険都市に潜むのは危険だと判断すると、彼女はオウガに一刻も早く都市を離れるように促す。
「オウガ、ここは離れましょう……癪だけど私達はここにいられないわ」
「ほう、珍しく弱気だな。配下にした奴等はどうする?奴等も永遠にお前の操り人形というわけでもあるまい」
アルドラの血を分け与えられた存在は彼女の命じるままに従うが、実を言えば時間経過によって血の効力が弱まる。アルドラが側にいれば効力が弱まる事はないが、彼女と離れて一か月も経過すれば効力はほぼ完全に失われてしまう。
「勿論、連れて行ける子は連れて行くわ。貴方も同行してもらうわよ、今度は勝手な行動は許さないわ」
「ちっ……」
冒険都市から脱出するためにアルドラはオウガと共に内密に抜け出し、この時に彼女は冒険都市の冒険者の中でも有能な人材を引き抜いて退散しようとした時、ここで二人の前に思いもよらぬ人物が現れた。
「勘違いするな、別にお前を救うために来たわけではない。それにしてもまさか人間如きにやられるとはな」
「くっ……」
アルドラは自分の今の姿をオウガに見られた事に屈辱を覚えるが、バルの大剣を片手で受け止めるオウガを見て心強い味方が戻ってきてくれたとも思う。バルの方は大剣を掴まれた状態でびくともせず、どれだけ力を込めようとまるで万力のような握力で止められて微動だにしない。
(何だい、この馬鹿げた力は……!?)
バルも人間の中では腕力に優れた剣士ではあるが、オウガに掴まれた大剣はどれだけ彼女が力を込めようと引き剥がせず、それどころか指に掴まれている刃の部分に罅割れが生じる。
「この程度の武器では俺を倒せん」
「なっ!?」
「危ない!!」
「わあっ!?」
オウガは力ずくで大剣を握りしめて破壊すると、それを見たバルは驚愕の声を上げてコトミンは咄嗟にティナを庇う。大剣の破片が周囲に散らばり、その様子を見ていた者達は冷や汗を流す。
この状況下でオウガが現れた事は正に最悪としか言いようがなく、この状況でまともに戦えるのはバルだけである。ハルナの方はいつもの彼女ならば真っ先にオウガに殴り掛かっていてもおかしくはないが、現在の彼女は疲れ切った表情で膝を着いて動かない。
「はあっ、はあっ……」
「……さっきまでの威勢はどうした小娘?」
「このっ……くぅっ!?」
ハルナはオウガの挑発の言葉に反射的に立ち上がろうとしたが、身体の方は言う事を聞かずに膝を崩す。ここまでの戦闘でハルナも限界を迎え、その様子を見てオウガは抱えていたミレトを放り投げる。
「受け止めろ」
「うわっ!?ミ、ミレト!?あんた、ミレトに何を……」
「気を失っているだけだ……その小僧が起きたら伝えろ、いずれ貴様を殺すとな」
「何だと……待てっ!!」
ミレトをバルに投げ渡したオウガはアルドラの元へ歩き、倒れている彼女を片腕で抱えるとその場を離れようとした。だが、その様子を見ていたハルナは止めようとするがバルは咄嗟に彼女の肩を掴む。
「駄目だ!!行かせてやりな!!」
「な、何を言ってるんだ!?あいつらを逃がすわけには……」
「いいから止めるんだ!!今のあんたとあたしにあいつらを倒せると思ってるのかい?あいつらが退くならここは見逃すしかないんだよ……!!」
「……悔しいけど今はどうしようもできない」
「ううっ……怖かったよ」
残念ながらアルドラはともかく、オウガの方は今のバルたちが相手にするのは分が悪い。そのためにここは彼等を見逃すしかなく、立ち去っていくアルドラとオウガを見届ける――
――試合場を離れていくアルドラはオウガに抱えられた状態で無言で過ごし、彼の行動に対してアルドラは疑問を抱く。彼が女には何があろうと直接的に手を出さない事は知っているが、それでもミレトをわざわざ連れてきてバルに任せた事に彼女は違和感を抱く。
「オウガ……貴方、あれは何の真似?」
「…………」
「あの少年を生かした理由、それにわざわざ私を助けに来るなんて何を考えているの?」
「……お前の力が必要だからだ。それ以外に俺がお前を助ける理由などない」
アルドラはオウガの発言に疑問を抱き、今までアルドラはオウガと協力体制を組んでいたが、彼が自分の力を必要だと断言した事など今までに一度もなかった。しかし、オウガは自分の目的のどうしてもアルドラの力を借りる必要があった。
「お前から渡された毒……あの小僧にも飲ませてやった。あの毒を飲ませれば小僧はお前の意のままに操れるはずだ」
「毒……まさか、あれを飲ませたの?どうしてあんな子供に……」
「子供とはいえ、あの呪われた魔槍に気に入られていた。何時の日かこの俺を脅かす存在として成長するかもしれん……その時が来たらお前にも協力してもらうぞ」
「……そう言う事ね」
オウガの言葉を聞いてアルドラは彼が自分の事を救ったのはあくまでも自分のためであり、決してアルドラに対して仲間感情を抱いた上での行動ではない事を悟る。しかし、それを知ってアルドラは逆に安心した。
お互いに利用する立場となった事でアルドラは安心感を抱き、同時に彼女はこれ以上に冒険都市に潜むのは危険だと判断すると、彼女はオウガに一刻も早く都市を離れるように促す。
「オウガ、ここは離れましょう……癪だけど私達はここにいられないわ」
「ほう、珍しく弱気だな。配下にした奴等はどうする?奴等も永遠にお前の操り人形というわけでもあるまい」
アルドラの血を分け与えられた存在は彼女の命じるままに従うが、実を言えば時間経過によって血の効力が弱まる。アルドラが側にいれば効力が弱まる事はないが、彼女と離れて一か月も経過すれば効力はほぼ完全に失われてしまう。
「勿論、連れて行ける子は連れて行くわ。貴方も同行してもらうわよ、今度は勝手な行動は許さないわ」
「ちっ……」
冒険都市から脱出するためにアルドラはオウガと共に内密に抜け出し、この時に彼女は冒険都市の冒険者の中でも有能な人材を引き抜いて退散しようとした時、ここで二人の前に思いもよらぬ人物が現れた。
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