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真・最終章 七魔将編
剣鬼同士の戦闘
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――剣鬼に関わる伝説はいくつも残されているが、最も有名な話は「同じ時代に剣鬼は二人と存在しない」という言葉だった。この言葉の意味は剣鬼は剣聖とは異なり、己以外の剣鬼と遭遇した場合はどちらかが互いに相手を殺すまで戦闘を辞めないからだと言われている。
無論、この言葉は迷信である事に変わりはなく、実際に同じ時代に剣鬼が二人以上も存在した事もある。しかし、ひとたび剣鬼同士が接触した場合、己の中の「鬼」を覚醒させて凄まじい戦闘を繰り広げる。レナとアルドラの戦闘は正に人の領域を越えた激しい剣戟を繰り広げた。
「がぁあああっ!!」
「あぁあああっ!!」
「くぅっ……!?」
部屋の中で剣鬼の力を発揮させたレナは本気でアルドラに攻撃を繰り出し、その攻撃をアルドラは七大魔剣「夜叉」を使用して受け流す。室内では大剣などの武器は扱いにくいはずだが、レナは一度として壁や天井に刃をぶつけず、アルドラに目掛けて全力で剣を振り下す。
七魔将のアルドラはその美貌と吸血鬼の能力を利用して他者を操り、滅多に前線で戦う事はない。しかし、彼女は当時の時代の「剣鬼」であり、その戦闘力は他の七魔将にも劣らない。
「疾風撃!!」
「遅いっ!!」
レナが大剣から繰り出した一撃さえも獣の様な動きでアルドラは回避すると、触れてもいないのにレナの剣圧だけで壁に亀裂が生じた。一方でアルドラの方もシズネの如く鋭き突きを放つ。
「はあっ!!」
「くぅっ!?」
「うわっ!?」
アルドラの放った突きをレナが交わした途端、彼の後方に存在した壁を突き刺す。その威力はまともに受ければ致命傷は避けられず、シズネ並の突き技をアルドラは繰り出す。
「中々やるわね、それならこれならどう!?刺突・散!!」
「なっ!?」
アルドラはレナに向けて剣を繰り出した瞬間、刃がぶれて攻撃範囲が広がり、それを完全には避け切れずにレナの身体に掠り傷が走る。刺突の戦技は文字通りに剣を突き出す技であり、複数の種類も存在する事はレナも知っていた。
しかし、アルドラが突き出した剣技は彼も始めて見る技であり、これまでに彼は威力を強化させた「刺突・閃」や乱れ突きの戦技を組み合わせた「刺突・乱」なる剣技を見た事はある。前者の場合は威力を高めた突き、後者の場合は高速で幾度も刃を突き出す技である。
しかし、アルドラが使用した戦技は刀身を振動させて放ち、攻撃が広範囲にぶれてしまう。そのせいでアルドラ本人も上手く調整はできず、狙いがぶれてしまうが逆にそれが功を奏す。達人同士の決闘ならば相手の行動を先読みして行動するのだが、この「刺突・散」は狙いがアルドラ本人も分からないため、レナは動きを呼んで避ける事ができない。
(くそっ、こんな技はシズネも使った事もないぞ!?)
何百年前の世代の剣士であるアルドラは現在の時代では廃れた剣技も習得しており、更に彼女は夜叉の能力を発揮させてレナを追い詰める。
「良い事を教えてあげるわね……この夜叉は切りつけられた相手は血を流す事はないわ。但し、傷口に闇属性の魔力を送り込んで相手の攻め威力を削り取るのよ」
「何だって……!?」
「レナさん、傷口が!?」
ミレトの言葉を聞いてレナは先ほど攻撃を受けた傷口を確認すると、いつの間にか斬られた箇所から血は止まり、代わりに皮膚が黒色化していた。それを確認した途端にレナは力が抜ける感覚に襲われ、傷口越しに夜叉の放つ闇属性の魔力が流し込まれてたらしい。
魔剣が作り出した魔力がレナの身体に入った途端に力が抜け、生命力が消耗する感覚に襲われたレナは膝を着く。まさかアルドラがここまでの実力者とは思わず、事前にアイリスから聞いていたとはいえ、彼女の強さにレナは驚く。
(くそっ……アイリスから注意されていたのに!!)
アルドラが強い事も夜叉の能力も頭に入っていたが、戦闘に熱中し過ぎて忘れていた。剣鬼の状態だと興奮状態に陥って冷静に考える事ができないのが仇となった。
レナが身に付けている退魔刀は彼の作り出した武器であり、魔剣や聖剣の類ではない。しかし、幾たびも改造を加えた事で聖剣や魔剣にも劣らぬ力を誇り、退魔刀を抱えたレナは魔剣に刻まれた紋様に視線を向け、魔力を流し込む。
「これならどうだ!!」
「きゃっ!?」
「うわっ!?」
退魔刀の刃にレナは聖属性の魔力を送り込んだ瞬間、刀身が光り輝いて閃光が部屋の中を包み込む。滅多にレナは魔法剣を発動させないが、今回は退魔刀のお陰で窮地を脱する。
閃光によってアルドラの視界を一時的に奪い、それと同時に身体の傷口に纏わりついた闇属性の魔力を聖属性の魔力で浄化させて消し去る。傷口から黒い煙のような魔力が噴出すると、レナは体勢を整えてアルドラと向かい合う。
「はあっ……はあっ……」
「こざかしい真似を……でも、随分とお疲れの様ね」
「レナさん!!」
「ミレト、お前は動くなといっただろ!!」
激しい戦闘と夜叉から受けた傷の影響でレナは想像以上に魔力と体力を消耗しており、その姿を見たミレトは自分も戦おうとするが、そんな彼をレナは注意した。その様子を見てアルドラは笑みを浮かべ、ミレトに顔を向けて話しかける。
無論、この言葉は迷信である事に変わりはなく、実際に同じ時代に剣鬼が二人以上も存在した事もある。しかし、ひとたび剣鬼同士が接触した場合、己の中の「鬼」を覚醒させて凄まじい戦闘を繰り広げる。レナとアルドラの戦闘は正に人の領域を越えた激しい剣戟を繰り広げた。
「がぁあああっ!!」
「あぁあああっ!!」
「くぅっ……!?」
部屋の中で剣鬼の力を発揮させたレナは本気でアルドラに攻撃を繰り出し、その攻撃をアルドラは七大魔剣「夜叉」を使用して受け流す。室内では大剣などの武器は扱いにくいはずだが、レナは一度として壁や天井に刃をぶつけず、アルドラに目掛けて全力で剣を振り下す。
七魔将のアルドラはその美貌と吸血鬼の能力を利用して他者を操り、滅多に前線で戦う事はない。しかし、彼女は当時の時代の「剣鬼」であり、その戦闘力は他の七魔将にも劣らない。
「疾風撃!!」
「遅いっ!!」
レナが大剣から繰り出した一撃さえも獣の様な動きでアルドラは回避すると、触れてもいないのにレナの剣圧だけで壁に亀裂が生じた。一方でアルドラの方もシズネの如く鋭き突きを放つ。
「はあっ!!」
「くぅっ!?」
「うわっ!?」
アルドラの放った突きをレナが交わした途端、彼の後方に存在した壁を突き刺す。その威力はまともに受ければ致命傷は避けられず、シズネ並の突き技をアルドラは繰り出す。
「中々やるわね、それならこれならどう!?刺突・散!!」
「なっ!?」
アルドラはレナに向けて剣を繰り出した瞬間、刃がぶれて攻撃範囲が広がり、それを完全には避け切れずにレナの身体に掠り傷が走る。刺突の戦技は文字通りに剣を突き出す技であり、複数の種類も存在する事はレナも知っていた。
しかし、アルドラが突き出した剣技は彼も始めて見る技であり、これまでに彼は威力を強化させた「刺突・閃」や乱れ突きの戦技を組み合わせた「刺突・乱」なる剣技を見た事はある。前者の場合は威力を高めた突き、後者の場合は高速で幾度も刃を突き出す技である。
しかし、アルドラが使用した戦技は刀身を振動させて放ち、攻撃が広範囲にぶれてしまう。そのせいでアルドラ本人も上手く調整はできず、狙いがぶれてしまうが逆にそれが功を奏す。達人同士の決闘ならば相手の行動を先読みして行動するのだが、この「刺突・散」は狙いがアルドラ本人も分からないため、レナは動きを呼んで避ける事ができない。
(くそっ、こんな技はシズネも使った事もないぞ!?)
何百年前の世代の剣士であるアルドラは現在の時代では廃れた剣技も習得しており、更に彼女は夜叉の能力を発揮させてレナを追い詰める。
「良い事を教えてあげるわね……この夜叉は切りつけられた相手は血を流す事はないわ。但し、傷口に闇属性の魔力を送り込んで相手の攻め威力を削り取るのよ」
「何だって……!?」
「レナさん、傷口が!?」
ミレトの言葉を聞いてレナは先ほど攻撃を受けた傷口を確認すると、いつの間にか斬られた箇所から血は止まり、代わりに皮膚が黒色化していた。それを確認した途端にレナは力が抜ける感覚に襲われ、傷口越しに夜叉の放つ闇属性の魔力が流し込まれてたらしい。
魔剣が作り出した魔力がレナの身体に入った途端に力が抜け、生命力が消耗する感覚に襲われたレナは膝を着く。まさかアルドラがここまでの実力者とは思わず、事前にアイリスから聞いていたとはいえ、彼女の強さにレナは驚く。
(くそっ……アイリスから注意されていたのに!!)
アルドラが強い事も夜叉の能力も頭に入っていたが、戦闘に熱中し過ぎて忘れていた。剣鬼の状態だと興奮状態に陥って冷静に考える事ができないのが仇となった。
レナが身に付けている退魔刀は彼の作り出した武器であり、魔剣や聖剣の類ではない。しかし、幾たびも改造を加えた事で聖剣や魔剣にも劣らぬ力を誇り、退魔刀を抱えたレナは魔剣に刻まれた紋様に視線を向け、魔力を流し込む。
「これならどうだ!!」
「きゃっ!?」
「うわっ!?」
退魔刀の刃にレナは聖属性の魔力を送り込んだ瞬間、刀身が光り輝いて閃光が部屋の中を包み込む。滅多にレナは魔法剣を発動させないが、今回は退魔刀のお陰で窮地を脱する。
閃光によってアルドラの視界を一時的に奪い、それと同時に身体の傷口に纏わりついた闇属性の魔力を聖属性の魔力で浄化させて消し去る。傷口から黒い煙のような魔力が噴出すると、レナは体勢を整えてアルドラと向かい合う。
「はあっ……はあっ……」
「こざかしい真似を……でも、随分とお疲れの様ね」
「レナさん!!」
「ミレト、お前は動くなといっただろ!!」
激しい戦闘と夜叉から受けた傷の影響でレナは想像以上に魔力と体力を消耗しており、その姿を見たミレトは自分も戦おうとするが、そんな彼をレナは注意した。その様子を見てアルドラは笑みを浮かべ、ミレトに顔を向けて話しかける。
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