上 下
1,397 / 2,083
真・最終章 七魔将編

オウガVSゴウライ

しおりを挟む
オウガは外に出た理由は強い気配を複数名感じたからだが、その気配の正体がバルたちだと知ると彼はあからさまにやる気をなくし、そのまま立ち去ろうとした。彼の目的は強者との戦闘だが、相手が女だと知ると途端にやる気を失せてしまう。


「お前は……思い出したぞ、あの時の男か!!」
「な、何なんだいこいつは……」
「……只者ではありませんね」
「ふんっ……失せろ、女を殺す趣味はない」


オウガの放つ威圧に対してバルたちは冷や汗を流し、一目見ただけで彼の力を思い知らされる。まるで大型の肉食獣に遭遇した小動物のような気分に陥り、バルたちは冷や汗を流す。だが、ゴウライだけは違った。


「待て!!吾輩との決着はまだついてないぞ!!」
「決着だと……何度も言わせるな、俺は女と戦う気はない」
「そうはいかん!!今度は逃がさんぞ、あの面倒な女はいないから心置きなく戦える!!」
「ちっ……」


ゴウライはオウガと以前に戦った事があり、シズネと共に彼とアルドラに挑んだ。だが、アルドラに不意を突かれて彼女の血を飲まされた事で戦闘は中断された。その事がゴウライにとっては気に入らなかった。

今回こそ戦いの決着をつけるためにゴウライはオウガへと挑み、彼女は手にしていたデュランダルを構えて突進する。その攻撃に対してオウガは両腕を重ね合わせると、真正面から逃げずにゴウライの一撃を受ける。


「兜割りぃっ!!」
「ふんっ!!」


闘技場の頑丈な石畳の試合場を真っ二つに破壊するほどの威力を誇るゴウライの一撃に対し、オウガはあろう事から正面から彼女の攻撃を受け止めた。普通の人間どころか巨人族であろうとゴウライの一撃を受ければ無事では済まないはずだが、オウガは生身の肌でゴウライの攻撃を受けた。


「そんな馬鹿なっ!?」
「腕が……切れてない!?」
「嘘だ!?あの一撃を受けてなんで無事なんだ!?」


ゴウライの振り下ろした刃に対してオウガは両腕で防ぐと、金属音と共にゴウライの刃が弾かれてしまう。その光景を見た者達は信じられず、生身でゴウライの刃を受け切ったオウガの肉体の硬さが信じられない。

巨人族が覚える技能の中に「硬皮」という能力があるが、この硬皮は文字通りに肉体を硬くさせる技術である。原理としては筋肉を凝縮させて硬質化させる事だが、オウガの場合も似たような能力を扱い、ゴウライの攻撃を受け止めたとしか考えられない。

しかし、ゴウライはこの世界において最強の剣士といっても過言ではなく、その攻撃を正面から受け止められる存在など滅多に存在しない。しかも彼女が扱う武器は聖剣デュランダルであり、この世界に存在する全ての聖剣の中でも一番の硬度の高さを誇る。



――オウガは世界最強の剣士と、世界最硬の聖剣の一撃を受けても立っており、その肉体の硬度はギガンやゴンゾウが「鬼人化」を発動させた時よりも上回る。しかも彼は二人と違って素の状態であり、その肉体の強さは世界最強といっても過言ではない。



「……これで気は済んだか?」
「ぐぬぬっ……吾輩の一撃を受けて顔色一つ変えぬ奴は久しぶりだ」
「ふんっ……退け!!」


オウガはデュランダルの刃を押し退けようと力を込めると、この時にゴウライは刃を弾かれた瞬間、今度はオウガの脇腹に目掛けて次の戦技を叩き込む。


「回転!!」
「ぐふぅっ!?」
「き、効いた!?」
「やったのかい!?」


ゴウライは回転を加えた一撃をオウガの脇腹に叩き込むと、ここで初めてオウガは苦痛の表情を浮かべ、それを見た他の者達は攻撃が通じたのかと思った。だが、オウガの身体に叩き込まれた刃は弾かれてしまい、せいぜい軽い痣を作る程度だった。

異様なまでの肉体の硬さを誇るオウガにゴウライも戸惑いを隠せず、以前との戦闘でも彼女の攻撃は通じなかった。オウガの肉体の硬度はアダマンタイトさえも上回るかもしれず、彼女の聖剣の一撃さえも通さない。だが、攻撃を加える際にゴウライは妙な感覚を覚える。


(何だ、こいつの身体は……今の感触、何かがおかしい)


オウガを斬りつける際にゴウライは手元の感触に違和感を覚え、オウガを斬りつける際に彼の身体に膜の様な物が存在し、それに阻まれてしまってゴウライはオウガを傷つけられないように覚えた。

しかし、ゴウライがオウガの肉体の秘密に気付く前にオウガはゴウライに視線を向け、彼は拳を振りかざす。だが、決して女には手を出さない主義のオウガはゴウライの足元に目掛けて拳を叩き込む。


「埋まっていろ!!」
「ぬおっ!?」
「うわぁっ!?」
「な、何だ!?」


オウガの拳が地面に叩き込まれた瞬間、地割れが発生してゴウライの身体が大地の裂け目に落ちてしまい、慌てて彼女はデュランダルを利用して地割れの隙間から落ちないようにする。幸いにもデュランダルの刀身よりも裂け目が小さかったため、どうにかデュランダルは割れ目に落下する事はなく、まるで懸垂のような体制でゴウライはデュランダルにしがみついて落下は免れた。
しおりを挟む
感想 5,089

あなたにおすすめの小説

最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された「霧崎ルノ」彼を召還したのはバルトロス帝国の33代目の皇帝だった。現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が帝国領土に出現し、数多くの人々に被害を与えていた。そのために皇帝は魔王軍に対抗するため、帝国に古から伝わる召喚魔法を利用して異世界から「勇者」の素質を持つ人間を呼び出す。しかし、どういう事なのか召喚されたルノはこの帝国では「最弱職」として扱われる職業の人間だと発覚する。 彼の「初級魔術師」の職業とは普通の魔術師が覚えられる砲撃魔法と呼ばれる魔法を覚えられない職業であり、彼の職業は帝国では「最弱職」と呼ばれている職業だった。王国の人間は自分達が召喚したにも関わらずに身勝手にも彼を城外に追い出す。 だが、追い出されたルノには「成長」と呼ばれる能力が存在し、この能力は常人の数十倍の速度でレベルが上昇するスキルであり、彼は瞬く間にレベルを上げて最弱の魔法と言われた「初級魔法」を現実世界の知恵で工夫を重ねて威力を上昇させ、他の職業の魔術師にも真似できない「形態魔法」を生み出す―― ※リメイク版です。付与魔術師や支援魔術師とは違う職業です。前半は「最強の職業は付与魔術師かもしれない」と「最弱職と追い出されたけど、スキル無双で生き残ります」に投稿していた話が多いですが、後半からは大きく変わります。 (旧題:最弱職の初級魔術師ですが、初級魔法を極めたら何時の間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。)

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。