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真・最終章 七魔将編
各地の激戦
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「ここから先は……」
「通さぬでござるよ!!」
「ジャンヌ……」
「ハンゾウちゃん!?どうしてここに!?」
立ちはだかったジャンヌとハンゾウを見てシズネ達は驚いた表情を浮かべるが、すぐにシズネの方は既にレナ達が侵入してきたと判断する。彼女は雪月花と白百合を抜き、ジャンヌとハンゾウに対して刀を構えた。
「貴方達がここにいるという事は……レナもいるのね」
「ジャンヌちゃん、どうして……僕達を裏切るの!?」
「裏切るも何も……私達は操られていたんです。あの女に……」
「レナ殿がアルドラを倒すまでここは誰も通さぬでござるよ!!」
行方不明のジャンヌが現れた事にミナは衝撃を受けるが、シズネの方は動揺は少ない。仮にも剣聖であるジャンヌが敵に回ったのだから普通の人間ならば戸惑うだろうが、青の剣聖の異名を持つシズネは動じたりはしない。
シズネの職業は傭兵であり、彼女は冒険者はではない。傭兵稼業では共に戦っていた人間が敵に回る事は珍しくもなく、ジャンヌが相手側に回っても彼女は取り乱さない。むしろ剣聖であるジャンヌと戦える事に彼女は嬉しく思う。
「ジャンヌ、貴女は私に勝った事は一度もないわね」
「それは……あくまでも練習試合だけです」
「試合でなければ私に勝てると思ってるの?」
「勝って見せます……レナ様のためにも」
ジャンヌの言葉を聞いてシズネは眉をしかめ、彼女もレナの事を想っている事は気付いているが、こうもはっきりと言われると彼女も覚悟を決めた事を悟る。シズネはジャンヌが本気で自分を止めるために来たのだと判断すると、自分も本気で戦う事を決め、アルドラから受け継いだ力を解放する事にした。
「ねえ、ジャンヌ……貴女はこの事を知っているかしら。あの御方から直接に血を受けた人間には特殊な力が宿る事を……」
「えっ……」
「急に何の話でござるか?」
「私はあの御方から直々に血を飲ませてもらったの。他の奴等は水で血を薄めて飲ませていたけど、私は直に血を飲んだわ……吸血鬼が他に吸血鬼を増やす方法を知っている?」
「まさか……!?」
この世界の吸血鬼は他の人間に自分の血を与える事で同様に吸血鬼に変異させる事ができる。そしてシズネは吸血鬼の血を飲まされたと語り、他の者達はまさか彼女が吸血鬼になり果てたのかと同様する。
「安心しなさい、私の場合は半分は人魚族の血が流れているせいか完全な吸血鬼には至る事ができなかった。けど、それが都合が良かったわ。そのお陰で人の姿を保ちながら吸血鬼の能力を扱えるようになったのよ」
「な、何を言っているのでござる!?」
「これから見せる姿……しっかりと覚えておきなさい!!」
シズネは胸元に手を押し当てると、徐々に瞳の色が変化して犬歯が伸びていく。そして彼女の体型が変化を始め、その姿を見た人間は全員が驚愕した――
――同時刻、シノビの方はハヤテを捜索していた。彼の役目はハヤテの足止めであり、剣聖の中でもシズネやゴウライに次ぐ実力者のハヤテは見逃す事はできなかった。そして彼は屋根の上を移動中、誰かに見られているような感覚を覚える。
(これは……精霊か!!)
シノビは視線の正体を精霊だと悟り、彼は周囲を振り返って辺りを見渡す。風の精霊を通して何者かが自分を見張っている事を直感で見抜いたシノビは両手に短刀を握りしめると、やがて風を纏いながらハヤテが姿を現す。
ハヤテの姿を見てもシノビは動揺はせず、それでも冷や汗を流す。これから自分一人で彼女を足止めしなければならず、はっきりと言えば分が悪い。シノビは隠密行動を得意とするが、力は妹のハンゾウと大して変わらない。
『シノビ……私を探していたのか?』
「……参る!!」
現れたハヤテに対してシノビは短刀を両手に彼女の元へ向かい、そんな彼に対してハヤテは容赦なく七大魔剣「青嵐」を構え、引き抜くのと同時に風の斬撃を放つ――
――その頃、ハルナの方は氷雨のギルドの中を駆け回っていた。彼女は電流を帯びた状態で走り抜け、その余波で建物内の窓が振動し、地面に焦げ跡が生まれる。彼女の役目は屋敷内の何処かに存在するオウガを倒す事であり、ハルナは気配を感じる方角へと向かう。
「ここかぁっ!!」
誰よりも気配に敏感なハルナはオウガの居場所が地下だと見抜くと、彼女は氷雨の地下に存在する訓練場へ乗り込む。すると、そこにはオウガの姿があった。オウガの周りには巨人族用の鍛錬器具が置かれており、どうやらこの場所で鍛錬していたらしい。
ハルナはオウガの姿を発見すると、ゴウライにも匹敵する気迫を放つ彼を見て笑みを浮かべる。直感でハルナはオウガの強さを見抜き、彼女はオウガを指差して怒鳴りつける。
「お前が七魔将のオウガだな!?あたしが相手だ!!」
「……また小娘か」
オウガは現れたハルナを見てため息を吐き出し、そのオウガの態度にハルナは自分の事を舐めているのかと思い、最初から全力で戦う事を決めた。
「通さぬでござるよ!!」
「ジャンヌ……」
「ハンゾウちゃん!?どうしてここに!?」
立ちはだかったジャンヌとハンゾウを見てシズネ達は驚いた表情を浮かべるが、すぐにシズネの方は既にレナ達が侵入してきたと判断する。彼女は雪月花と白百合を抜き、ジャンヌとハンゾウに対して刀を構えた。
「貴方達がここにいるという事は……レナもいるのね」
「ジャンヌちゃん、どうして……僕達を裏切るの!?」
「裏切るも何も……私達は操られていたんです。あの女に……」
「レナ殿がアルドラを倒すまでここは誰も通さぬでござるよ!!」
行方不明のジャンヌが現れた事にミナは衝撃を受けるが、シズネの方は動揺は少ない。仮にも剣聖であるジャンヌが敵に回ったのだから普通の人間ならば戸惑うだろうが、青の剣聖の異名を持つシズネは動じたりはしない。
シズネの職業は傭兵であり、彼女は冒険者はではない。傭兵稼業では共に戦っていた人間が敵に回る事は珍しくもなく、ジャンヌが相手側に回っても彼女は取り乱さない。むしろ剣聖であるジャンヌと戦える事に彼女は嬉しく思う。
「ジャンヌ、貴女は私に勝った事は一度もないわね」
「それは……あくまでも練習試合だけです」
「試合でなければ私に勝てると思ってるの?」
「勝って見せます……レナ様のためにも」
ジャンヌの言葉を聞いてシズネは眉をしかめ、彼女もレナの事を想っている事は気付いているが、こうもはっきりと言われると彼女も覚悟を決めた事を悟る。シズネはジャンヌが本気で自分を止めるために来たのだと判断すると、自分も本気で戦う事を決め、アルドラから受け継いだ力を解放する事にした。
「ねえ、ジャンヌ……貴女はこの事を知っているかしら。あの御方から直接に血を受けた人間には特殊な力が宿る事を……」
「えっ……」
「急に何の話でござるか?」
「私はあの御方から直々に血を飲ませてもらったの。他の奴等は水で血を薄めて飲ませていたけど、私は直に血を飲んだわ……吸血鬼が他に吸血鬼を増やす方法を知っている?」
「まさか……!?」
この世界の吸血鬼は他の人間に自分の血を与える事で同様に吸血鬼に変異させる事ができる。そしてシズネは吸血鬼の血を飲まされたと語り、他の者達はまさか彼女が吸血鬼になり果てたのかと同様する。
「安心しなさい、私の場合は半分は人魚族の血が流れているせいか完全な吸血鬼には至る事ができなかった。けど、それが都合が良かったわ。そのお陰で人の姿を保ちながら吸血鬼の能力を扱えるようになったのよ」
「な、何を言っているのでござる!?」
「これから見せる姿……しっかりと覚えておきなさい!!」
シズネは胸元に手を押し当てると、徐々に瞳の色が変化して犬歯が伸びていく。そして彼女の体型が変化を始め、その姿を見た人間は全員が驚愕した――
――同時刻、シノビの方はハヤテを捜索していた。彼の役目はハヤテの足止めであり、剣聖の中でもシズネやゴウライに次ぐ実力者のハヤテは見逃す事はできなかった。そして彼は屋根の上を移動中、誰かに見られているような感覚を覚える。
(これは……精霊か!!)
シノビは視線の正体を精霊だと悟り、彼は周囲を振り返って辺りを見渡す。風の精霊を通して何者かが自分を見張っている事を直感で見抜いたシノビは両手に短刀を握りしめると、やがて風を纏いながらハヤテが姿を現す。
ハヤテの姿を見てもシノビは動揺はせず、それでも冷や汗を流す。これから自分一人で彼女を足止めしなければならず、はっきりと言えば分が悪い。シノビは隠密行動を得意とするが、力は妹のハンゾウと大して変わらない。
『シノビ……私を探していたのか?』
「……参る!!」
現れたハヤテに対してシノビは短刀を両手に彼女の元へ向かい、そんな彼に対してハヤテは容赦なく七大魔剣「青嵐」を構え、引き抜くのと同時に風の斬撃を放つ――
――その頃、ハルナの方は氷雨のギルドの中を駆け回っていた。彼女は電流を帯びた状態で走り抜け、その余波で建物内の窓が振動し、地面に焦げ跡が生まれる。彼女の役目は屋敷内の何処かに存在するオウガを倒す事であり、ハルナは気配を感じる方角へと向かう。
「ここかぁっ!!」
誰よりも気配に敏感なハルナはオウガの居場所が地下だと見抜くと、彼女は氷雨の地下に存在する訓練場へ乗り込む。すると、そこにはオウガの姿があった。オウガの周りには巨人族用の鍛錬器具が置かれており、どうやらこの場所で鍛錬していたらしい。
ハルナはオウガの姿を発見すると、ゴウライにも匹敵する気迫を放つ彼を見て笑みを浮かべる。直感でハルナはオウガの強さを見抜き、彼女はオウガを指差して怒鳴りつける。
「お前が七魔将のオウガだな!?あたしが相手だ!!」
「……また小娘か」
オウガは現れたハルナを見てため息を吐き出し、そのオウガの態度にハルナは自分の事を舐めているのかと思い、最初から全力で戦う事を決めた。
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