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弱肉強食の島編

竜人族との連絡手段

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「それでどうやって竜人族と連絡を取り合ってるんですか?食料と酒を渡しているという事は、何らかの移動手段があるんでしょう?」
「うむ、竜人族は飛竜という竜種を飼っておる」
「えっ!?竜種を!?」
「竜種といっても飛竜は小さくてそれほど力が強い生き物ではない」


竜人族が飼育している飛竜とは竜種の中では比較的に力が弱く、卵から育てれば人に懐いて躾ける事が出来る生き物だと長は伝える。ヨツバ王国で管理されている甲殻獣のような生き物らしく、竜種の中では力は弱いが、他の魔物と比べても戦闘力は高い存在だった。


「飛竜は普通の竜種と比べても小さいが、力は強くて空を飛ぶ事も出来る。夜の間、飛竜に乗り込んだが竜人族が訪れ、食料と酒を回収していく。一か月に一度の割合で奴等はここへやってくる」
「そうだったのか……」
「全然気づかなかったぜ」
「この秘密は代々の長と側近にしか話してはならぬ秘密じゃ。黒牛将や白牛将すらも知らん」
「そういえば白牛将の奴はどうした?レナに負けた後、置いて来たから死んだか?」
「勝手に殺すな!!白牛将は連れ帰って今は檻の中に閉じ込めている」


白牛将はレナに敗れた後、檻の中に入れられて現在も監視されており、もう彼に付き従っていた者達も今は完全に長の配下に収まった。彼等は白牛将に憧れて従っていたが、勝負に敗れた以上は潔く彼等は従う。


「ハルナの姐さん、俺達は姐さんに惚れたぜ!!」
「どうか俺達を子分にしてくれ!!」
「え?やだよ、牛と結婚する趣味何てないぞ」
「ハルナ……同族だぞ、そいつら」
「いや、惚れたというのはそういう意味じゃなくてですね……」


スカーを倒し、更には黒龍を打ち倒したハルナの強さに惚れ込んだ牛人族の戦士達は彼女の配下になろうとするが、当のハルナは面倒そうに拒否する。しかし、ハルナは元々はこの島の生まれであり、彼女は覚えていないだろうがここは彼女と両親の故郷である。

長はハルナの正体を薄々と勘付いてはいるが、敢えて何も話さずにハルナの好きなようにさせる。彼女の両親を庇い切れなかった負い目を感じており、それにハルナ本人も昔の事など覚えておらず、今更両親を追い詰めた相手に復讐するなど考えてもいなかった。


「次に竜人族がこの島に来るのはいつ頃ですか?」
「明日の夜じゃ、それまでの間はお前達もこの島で身体を休めるがいい……下手に外に出れば黒龍に襲われる可能性もあるからな」
「食料は大丈夫なのか?」
「こんな時のために我々は常に地下に食料を保存している。この湖では水属性の魔石も取れるからな、それを利用して温度を下げて食べ物を冷やしておる。それにこの湖には食べられる魔物や魚も豊富だから食料に困る事はない」


湖や川などでは水属性の魔石が採取できるため、牛人族の長は魔石を利用して地下を掘って冷凍庫代わりに食料を保存している事を告げる。湖には魚や食用の魔物も豊富らしく、ダークエルフを受け入れてもしばらくの間は食料に困る事はない。


「だが、黒龍が本格的に動き出せば奴はこの周辺一帯の獲物を狩りつくすだろう。そうなれば我々も危機に陥る……早急に何とかせねばならん」
「黒龍が湖を越えてこの島に襲い掛かる可能性もあるか?」
「十分に有り得る……この湖の主はあのクラーケンじゃった。そのクラーケンが居なくなった以上、奴を遮る存在はおらん」


伝説の海の魔物と恐れられたクラーケンでさえも黒龍には及ばず、黒龍が島へ乗り込む可能性も否定はできない。そのため、早急に竜人族と連絡を取って彼等と強力して戦う必要があった。


「ハルナ、お前の力でこの腕輪は何とか壊せない?」
「多分、無理だと思う。それに触れると魔力が吸収されるから力ずくで壊す事も無理だよ」


駄目元でレナはハルナに自分の魔封じの腕輪の解除が出来ないのかを尋ねるが、聖痕の力を取り戻したハルナでも腕輪の破壊は不可能だと告げる。当然の話であり、仮に腕輪を破壊できるのならば最初からハルナは破壊している。

この腕輪の厄介な点は腕輪を嵌め込まれた人間以外でも触れるだけで魔力を奪う点であり、聖痕の力を宿すハルナでも魔力を奪われてしまう。ならばレナの腕輪を解除するためにも竜人族が暮らす里へ向かい、彼等が所有する魔法腕輪を回収しなければならない。


『アイリス、俺の腕輪を解除する対の腕輪は竜人族が持ってるんだよな』
『ええ、そうですよ。だから竜人族に話を通して腕輪を解除する必要があります。それと、朗報です。どうやら竜人族の元にレナさんのお仲間がいますよ』
『仲間?誰の事?』
『レミアです。彼女もこの島に飛ばされていたようですね』
『レミア……あのレミアが?』


聖剣エクスカリバーの使い手にして聖属性の聖痕の所有者でもあるレミアがこの島に居る事にレナは初めて知り、彼女もこの島に転移していた事も驚きだが、竜人族の里にレミアが受け入れられる事に戸惑う。
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