1,298 / 2,085
弱肉強食の島編
交渉の余地
しおりを挟む
「お前等の名前も知ってるぞ。タタン、カルビン、レバーン、ハラミンだろ?美味しそうな名前だな」
「く、くそっ……あいつ、何が拷問に屈しないだ!!」
「俺達の名前までバラしやがったのか!!」
「あの野郎、ぶっ殺す!!」
「騒ぐんじゃねえよ!!自分達の立場が分かってるのか!?」
名前を告げられた4匹のミノタウロスは憤るが、ハルナが一括すると黙り込む。これで完全に彼等はギュウカクが拷問を受けて白状したと思い込む。そんな彼らに対してレナは畳みかけた。
「お前等の目的も何もかも教えてもらったぞ。今回の作戦はギュウカクともう一人の将が結託して勝手に動いた事もな……この事を長に知られたらまずいんじゃないのか?」
「く、くそっ……」
「長は関係ないだろ!!これは俺達がやった事だ!?」
「馬鹿だろ、一番偉い人間に何も報告せずに行動している時点で大問題なんだよ」
長の話となると流石の彼等も顔色を変え、いくら他の二人の将と比べれば影響力は低下しているとはいえ、牛人族の長に勝手に行動している点では彼等は後ろめたさを感じている様子だった。
ギュウカクが音を上げて自分達の情報を吐いたと思い込んだミノタウロス達は先補までの威勢は消え失せ、彼等は顔色が悪くなっていた。いくら捕まっても情報を吐かなければ問題ないと思い込んでいたようだが、よりにもよって黒牛将を名乗るギュウカクが拷問に屈したなど夢にも思わなかったのだろう。
「お前等からも色々と教えてもらうぞ。ギュウカクが味わった以上の拷問を受けてもらう」
「ひいっ!?」
「や、止めろ!!何をする気だ!?」
「頼む、俺達は許してくれ」
「何だこいつ等……急に弱気になったな」
ミノタウロス達はレナの言葉を聞いて震え上がり、あのギュウカクが屈した拷問を受けると聞いて怯えてしまう。ギュウカクは性格はともかく、強さだけならば牛人族の中でも三本指に入る。そんな強い男が屈する拷問など受けたら自分達では耐え切れないと判断した。
怯えているミノタウロス達に対してレナは笑みを浮かべ、これならば交渉の余地があると判断し、彼等の1匹の肩を掴んで無理やりに持ち上げる。そして威圧の技能を発動させ、問い質す。
「お前等の住処を教えろ……いや、そこまで俺達を案内すれば許してやる」
「なっ!?そ、それは……」
「嫌とは言わせないぞ……もしもお前等が教えてくれなくてもギュウカクをまた痛めつけて場所を吐かせるだけだ。族長からはギュウカクだけは殺すなと言われているけど、お前等は別だ。白牛将だって捕まるような部下なんていらないだろう?」
「ひいいっ!?」
「た、助けてくれぇっ!!」
「ちょ、抱きついてくんなよ!!ぶっ飛ばすぞ!?」
レナの脅しに対してミノタウロス達は震え上がり、彼の気迫だけで今にも失禁しそうな様子だった。そんな彼らに対してレナはもう一度言葉を掛ける。
「三度目は言わない……お前等の住処まで俺達を案内しろ」
「ひうっ……」
首根っこを掴まれたミノタウロスはレナの迫力に屈し、従うしかなかった――
――ミノタウロス達から情報を聞き出したレナは族長たちの元へ戻り、アイリスを通じて得た情報を話す。彼等はこんな短時間で牛人族の目的を見抜いたレナに驚くが、アンジュとサーシャは信じられない様子でレナがどうやってミノタウロス達を脅したのかを聞く。
「旦那様、どうやってあいつらからそんな事を聞き出した?」
「どんな拷問をしたの?」
「えっと……頭を小突いたらすぐに吐いたよ、あいつら」
「馬鹿な……いや、敢えて何も聞かない。お主の言う事が嘘とは思えんからのう」
族長はレナの言葉を聞いた時は最初は信じられなかったが、彼のこれまでの功績を思い出し、更に詳細な情報を聞かされて信じざるを得ない。レナがこの状況下でダークエルフに嘘の情報を流す理由もなく、彼女は信じてくれた。
今回の襲撃は牛人族の黒牛将と白牛将が手を組み、長の許可もなく独断で行った事、つまり残された敵は白牛将とその配下という事になる。これだけを知れただけでも大収穫であり、族長はどうにか牛人族の長と交渉を考える。
「やはり牛人族の長は関わっておらんかったか……ならば牛人族の長と掛け合い、話し合いの場を設けるべきじゃな」
「そんな事が出来るんですか?」
「幸いにも黒牛将は我等の手にある。あやつを人質にすれば牛人族も話を聞いてくれるであろう。最も問題なのは白牛将じゃが……」
「もう牛人族の長よりも白牛将の方が影響力があるらしいから、最悪の場合は白牛将が強硬手段を取る可能性もあります」
「ふんっ、そうなったら望むところだ!!全員、ぶっ潰してやる!!」
レナの言葉を聞いてアンジュは鼻を鳴らし、彼女は牛人族と全面抗争になっても構わない様子だった。しかし、現実に現在のダークエルフの戦力では牛人族には及ばない。レナとハルナを加えたとしても確実に勝てる保証はなかった。
「く、くそっ……あいつ、何が拷問に屈しないだ!!」
「俺達の名前までバラしやがったのか!!」
「あの野郎、ぶっ殺す!!」
「騒ぐんじゃねえよ!!自分達の立場が分かってるのか!?」
名前を告げられた4匹のミノタウロスは憤るが、ハルナが一括すると黙り込む。これで完全に彼等はギュウカクが拷問を受けて白状したと思い込む。そんな彼らに対してレナは畳みかけた。
「お前等の目的も何もかも教えてもらったぞ。今回の作戦はギュウカクともう一人の将が結託して勝手に動いた事もな……この事を長に知られたらまずいんじゃないのか?」
「く、くそっ……」
「長は関係ないだろ!!これは俺達がやった事だ!?」
「馬鹿だろ、一番偉い人間に何も報告せずに行動している時点で大問題なんだよ」
長の話となると流石の彼等も顔色を変え、いくら他の二人の将と比べれば影響力は低下しているとはいえ、牛人族の長に勝手に行動している点では彼等は後ろめたさを感じている様子だった。
ギュウカクが音を上げて自分達の情報を吐いたと思い込んだミノタウロス達は先補までの威勢は消え失せ、彼等は顔色が悪くなっていた。いくら捕まっても情報を吐かなければ問題ないと思い込んでいたようだが、よりにもよって黒牛将を名乗るギュウカクが拷問に屈したなど夢にも思わなかったのだろう。
「お前等からも色々と教えてもらうぞ。ギュウカクが味わった以上の拷問を受けてもらう」
「ひいっ!?」
「や、止めろ!!何をする気だ!?」
「頼む、俺達は許してくれ」
「何だこいつ等……急に弱気になったな」
ミノタウロス達はレナの言葉を聞いて震え上がり、あのギュウカクが屈した拷問を受けると聞いて怯えてしまう。ギュウカクは性格はともかく、強さだけならば牛人族の中でも三本指に入る。そんな強い男が屈する拷問など受けたら自分達では耐え切れないと判断した。
怯えているミノタウロス達に対してレナは笑みを浮かべ、これならば交渉の余地があると判断し、彼等の1匹の肩を掴んで無理やりに持ち上げる。そして威圧の技能を発動させ、問い質す。
「お前等の住処を教えろ……いや、そこまで俺達を案内すれば許してやる」
「なっ!?そ、それは……」
「嫌とは言わせないぞ……もしもお前等が教えてくれなくてもギュウカクをまた痛めつけて場所を吐かせるだけだ。族長からはギュウカクだけは殺すなと言われているけど、お前等は別だ。白牛将だって捕まるような部下なんていらないだろう?」
「ひいいっ!?」
「た、助けてくれぇっ!!」
「ちょ、抱きついてくんなよ!!ぶっ飛ばすぞ!?」
レナの脅しに対してミノタウロス達は震え上がり、彼の気迫だけで今にも失禁しそうな様子だった。そんな彼らに対してレナはもう一度言葉を掛ける。
「三度目は言わない……お前等の住処まで俺達を案内しろ」
「ひうっ……」
首根っこを掴まれたミノタウロスはレナの迫力に屈し、従うしかなかった――
――ミノタウロス達から情報を聞き出したレナは族長たちの元へ戻り、アイリスを通じて得た情報を話す。彼等はこんな短時間で牛人族の目的を見抜いたレナに驚くが、アンジュとサーシャは信じられない様子でレナがどうやってミノタウロス達を脅したのかを聞く。
「旦那様、どうやってあいつらからそんな事を聞き出した?」
「どんな拷問をしたの?」
「えっと……頭を小突いたらすぐに吐いたよ、あいつら」
「馬鹿な……いや、敢えて何も聞かない。お主の言う事が嘘とは思えんからのう」
族長はレナの言葉を聞いた時は最初は信じられなかったが、彼のこれまでの功績を思い出し、更に詳細な情報を聞かされて信じざるを得ない。レナがこの状況下でダークエルフに嘘の情報を流す理由もなく、彼女は信じてくれた。
今回の襲撃は牛人族の黒牛将と白牛将が手を組み、長の許可もなく独断で行った事、つまり残された敵は白牛将とその配下という事になる。これだけを知れただけでも大収穫であり、族長はどうにか牛人族の長と交渉を考える。
「やはり牛人族の長は関わっておらんかったか……ならば牛人族の長と掛け合い、話し合いの場を設けるべきじゃな」
「そんな事が出来るんですか?」
「幸いにも黒牛将は我等の手にある。あやつを人質にすれば牛人族も話を聞いてくれるであろう。最も問題なのは白牛将じゃが……」
「もう牛人族の長よりも白牛将の方が影響力があるらしいから、最悪の場合は白牛将が強硬手段を取る可能性もあります」
「ふんっ、そうなったら望むところだ!!全員、ぶっ潰してやる!!」
レナの言葉を聞いてアンジュは鼻を鳴らし、彼女は牛人族と全面抗争になっても構わない様子だった。しかし、現実に現在のダークエルフの戦力では牛人族には及ばない。レナとハルナを加えたとしても確実に勝てる保証はなかった。
10
お気に入りに追加
16,615
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。