不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません？

カタナヅキ

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弱肉強食の島編

目覚めたレナ

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――時は遡り、王都の地下にて転移魔法の暴走に巻き込まれたレナは目を覚ますと、自分が薄暗い場所に立っている事に気付く。何が起きたのかとレナは理解するのに時間は掛かったが、手元の方に違和感を感じとる。

「あれ……何だ、これ？」

何時の間にかレナの腕には金色に光り輝く腕輪が装着されており、試しに外そうとしてみるが何故か接合部が見当たらず、力ずくで外そうとしてもびくともしない。いったい何が起きているのかと思ったレナだが、ここで自分の周囲を見てみると檻のような場所に閉じ込められている事に気付く。

「何だ、これ……普通の鉄じゃないな」

レナは自分が檻に閉じ込められ、日の光の当たらない地下のような場所で放置されている事に気付く。檻の中に閉じ込められた動物のような気分を味わいながらも「暗視」の技能を発動させて周囲の状況を把握した。

現在閉じ込められている場所には複数の檻が存在し、気配感知を発動させるとレナ以外にも檻に閉じ込められている生物の気配を感じ取れた。但し、その殆どが人間ではなく、動物や魔物の類である事が判明する。

(どうなってるんだ……まさか、奴隷商でも捕まったのか)

前回にも転移した時に似たような覚えがあり、以前は転移した直後にレナは不慮の事故で気絶してしまい、その間に捕まってしまった。だが、今回は転移した際に強い衝撃というか、意識が混濁したような気がした。前回の時よりも転移の影響が強く、頭が痛い。

(とりあえず、ここから抜け出すか……)

レナは檻に手を伸ばして適当に錬金術師の「物質変換」や「形状高速変化」の能力で檻を破壊して出て行こうとした。だが、どういうわけか魔法が発動せず、正確に言えば魔法を発動しようとすると右腕に装着した腕輪が反応して魔力を吸い取られてしまう。

「何だ？これ……魔法が使えない！？」

腕輪が魔力を吸い取るせいでレナは魔法の類が扱えず、何度か別の魔法も試そうとしたが、結局は初級魔法も支援魔法も合成魔術も発動出来ない事が発覚した。単純に魔法を封じるだけの魔道具ならば錬金術師の物質変換の能力でなんとかできるのだが、レナが装着したのは魔法の源である魔力を吸い上げる魔道具だった。

魔法耐性だけが高い拘束具ならば錬金術師の能力でどうにか出来るが、魔力その物を吸い上げる魔道具となるとレナでもどうしようもなく、しかも鍵穴の類がないので開錠ピッキングなどの技術でも外す事は出来ない。どうするべきかとレナは悩んでいると、隣の方から声が聞こえてくる。

「う～んっ……腹減ったなぁっ」
「うわっ！？その声……まさか、ハルナか！？」
「ん？誰だ……ああ、何だレナか」

声が聞こえたレナは驚いて隣の檻に視線を向けると、そこにはボロボロの布切れをまとったハルナの姿が存在し、彼女も今目を覚ましたのか眠たそうに身体を起き上げる。すぐに彼女は周囲の様子の異変に気付き、何が起きたのかと不思議そうな声を上げた。

「何だここ……あれ、檻？どうして捕まってるんだ、俺達？」
「こっちが聞きたいぐらいだよ……ハルナ、魔法は使える？」
「魔法？何言ってんだ……うわ、何だこれ！？」

どうやらハルナも右腕にレナと同じように魔力を吸い上げる腕輪を装着しており、彼女は慌てて腕輪を取り外そうとするが、力ずくでは引き剥がせないのかいくら踏ん張っても腕輪が外れる様子がない。雷の聖痕を所持しているハルナでさえも魔法を封じられるらしく、彼女は苛立ちながらも鉄格子に腕輪を叩きつける。

「くそっ、何だよこれ！！外れろ、外れろ！！」
「無理だよ、相当頑丈みたいだから魔法の力無しでは壊せないと思う」
「畜生……！！」

ハルナは諦めずに腕輪に噛みつくが、そんな事をしても壊れるはずがなく、一方でレナの方は知り合いがいた事に少しだけ落ち着く。だが、落ち着いたところで状況は変わらず、まずはこの腕輪と檻から脱する必要があった。

とりあえずは腕輪の事を後回しにしてレナは檻の鍵を調べ、今は錬金術師の能力が扱えないので解除する事は出来ないが、鍵穴の類を確認した。どうやら何者かがレナとハルナを運び込み、この檻の中に閉じ込めたのは間違いない。

(誰が俺達を閉じ込めたんだ？まさか、七魔将？いや……その前に確認しておくか)

困った時はアイリスに相談するのが一番であり、レナは頭を抑えて彼女と交信を行う。いつもならば肝心な時に連絡が取れない事が多い彼女だが、今回は何事もなく無事に連絡を取る事が出来た。

『アイリス大佐、こちらは黒蛇。聞こえるか？』
『聞こえますよ。というか、こういうネタも久しぶりですね』
『おおっ、良かった。なら、早速だけど状況説明を頼める？』

無事にアイリスと交信出来た事にレナは安堵し、まずは彼女の状況確認を行う。どうして自分とハルナがこんな場所に捕まっているのかを問うと、アイリスは説明を行う。

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