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ダイン 監獄都市編

終わらせてやる!!これが僕の……新必殺技だぁあああっ!!

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「くたばりやがれっ!!」
「うわぁっ!?」
「ダインさん!?」
「ギギィッ!?」


迫りくる拳の形をした衝撃波に対してダインは吹き飛ばされ、地面に倒れ込む。それを見たミイネとゴブが駆けつけようとしたが、それをギルが引き留めた。


「駄目だ、迂闊に近づくな!!殺されちまうぞ!!」
「離してください!!ダインさんが、ダインさんがっ!!」
「ギギィッ!!(離せ、こらっ!!)」


ダインが倒れたのを見てミイネとゴブは取り乱し、慌ててギルは二人を抱きとめる。その様子を見ていたガルルは鼻を鳴らし、一方でグシャスの方も安堵した。厄介な能力を持っているだけにグシャスが最も警戒していたのはダインだったのだが、そのダインを仕留めればもう恐れる相手はいない。


(裏でガルルを解放するのはやり過ぎたかと思ったが、やはりこいつを連れてきて良かったな。だが、これで三巨頭の時代は終わる)


ガルルと最初の約束はダインを引き渡した方の派閥に加わるという条件であり、状況的に考えればガルルにダインを始末させる舞台を用意したのはグシャスである。これで晴れてガルルはグシャスの傘下に入るだろう。

仮に彼が反抗する様ならばグシャスはギルと共闘を申し出てここでガルルを始末するだけであった。ギルの立場からすればガルルとグシャスを相手にするよりはガルルを共に始末する方が利益が大きい。ガルルを始末すれば残りの派閥はグシャスとギルとなり、戦力的に考えてもグシャスが有利である。


(これで監獄都市の囚人は全て我が配下となる。そうなればいずれは看守共に反旗を翻し、この都市を乗っ取ってやろう。厄介な看守長も監獄所長もミイネを抑えれば何とでもなる)


ミイネさえ拘束すれば監獄所長は手を出す事が出来ず、厄介な看守長も動く事は出来ない。なにしろミイネは監獄所長とパール看守長の大切な存在であるため、もしもミイネを捕まえれば二人を抑えるのは難しくはない。


(さあ、ガルルよ。お主はどうする?儂に従うか、それともここで死ぬか、答えて貰おうか……くくくっ)


勝利を確信したグシャスはガルルに話しかけようとした時、ここである異変に気付く。それはガルルの背後から文字通り「人影」のような物が出現し、その人の形をした影はガルルを羽交い締めした。


「うおっ!?な、何だっ!?」
「馬鹿なっ!?何をしておるかガルル!!」
「これは……まさか、ダインさん!?」
「……いっ、今のは流石に死ぬかと思ったよ」
「ギギィッ!!」
「生きておったのか!?」
「坊主!!」


ガルルを拘束した「影人形シャドウマン」を作り出したのは当然ながらダインであり、彼はゆっくりと起き上がる。見た所は外傷はなく、口元から少しだけ血を流しているが、せいぜい口の中を少し切った程度で致命傷ではない。

起き上がったダインは杖を頼りに立ち上がると、改めてガルルを睨みつける。ガルルは油断していたために影人形に気付く事が出来ず、松明も落としてしまう。彼は必死に影人形を引き剥がそうとするが、どれだけ力を込めても振りほどく事が出来なかった。


「ぐぐぐっ!?馬鹿な、何故生きている……!?」
「流石に遠当てまで使えるとは思わなかったけどさ……僕が何の対策もしないでお前に戦うと思ってたの?服の下に影を仕込ませて戦ってたんだよ」
「何だと!?」


ダインは舌を出しながら服を捲ると、いつの間にかダインの胴体には黒腕と同じ要領で影が覆い込んでおり、先ほどの遠当ての時も服の下に影を纏っていた事で防ぐ事が出来た。

普通の風属性の魔法攻撃ならば影を突破してダインに損傷を与える事は出来たかもしれない。しかし、遠当てはあくまでも格闘家が扱う戦技のため、ただの打撃技にしか過ぎない。物理攻撃に対しては影魔法は無敵を誇るため、先ほどの攻撃を受けた時にダインはほぼ損傷は負わずに済む。

口を切ったのは流石に顔面までは影で覆い込む事が出来なかったためであり、それ以外の箇所は無傷である。地面に倒れたのもガルルの油断を誘う演技でしかなく、この全身を覆い込む影魔法をダインは名付けた。


影鎧シャドウアーマー……これが僕の奥の手だ!!」
「影鎧……格好いい響きですね!!(←中二病)」
「ギギィッ(イカした名前だぜ!!)」
『ええっ……』


堂々と自分の影魔法の名づけを行うダインに対して周囲の者達はそれぞれの反応を示す中、松明を落として完全に影人形の拘束を振りほどく術を失ったガルルは血走った目でダインを睨みつける。一瞬でも影人形の拘束が緩めばガルルはダインの首を引き千切りかねない。


「殺してやる……殺してやるぞ!!」
「往生際が悪いんだよ……もう勝負は終わったんだ。僕達の勝ちだ」
「まだだ、まだ終わっていないぞ!!グシャス!!」
「むっ……」


ガルルはグシャスに助けを求める様に彼に振り返ると、仕方なくグシャスは彼を助けるために動き出そうとした時、ここで遠方から多数の足音が鳴り響く。
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