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ダイン 監獄都市編
隠れ家とか秘密基地とか聞くとわくわくしない?(´・ω・)
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「はあっ、はあっ……た、助かった」
「あ、ありがとうございます。流石に僕も今のは肝が冷え増したよ」
「ギギィッ(死ぬかと思ったぜ)」
どうにか扉を締め切る事に成功した3人は冷や汗を流しながらも座り込むと、改めてダインは扉の方へ視線を向けた。諦めが悪いのか外側の方からどんどんと叩き込む音が聞こえるが、相当に頑丈な扉なので壊される心配はなく、これで追跡を巻く事は出来ただろう。
「ふうっ、どうにか助かりましたね。さあ、先を急ぎましょうか」
「え?ここが隠れ家じゃないの?」
「いいえ、ここは隠し通路ですよ。僕が隠れ家にしているのは地上です、ほら行きますよ」
「分かったよ……ほら、立てよゴブ」
「ギィッ(ありがとう)」
ダインはゴブに手を伸ばすと、その手を取ってゴブは立ち上がる。最初は魔物だから警戒していたが、ここまで苦難を乗り越えると仲間意識が芽生え、もうダインはゴブに大しては苦手意識は抱いていなかった。
何となくではあるが3人の絆が深まったように感じながらも歩いていくと、遂に地上に繋がる梯子を発見した。この梯子を登ればミイネが隠れ家にしている場所に辿り着けるらしく、これで一安心できた。
「さあ、ここを登れば僕の隠れ家ですよ。そこならもう安全ですから、ゆっくり休めますよ」
「ふうっ……やっと休めるのか。あ、でもあのおっさんは置いてきちゃったな」
「僕達を置いて一人で逃げるような人に同情する必要はありませんよ。ほら、行きますよ」
「ギギィッ(殿は任せろ)」
ダインは途中で出会った情報屋とは結局は合流出来なかったのが気がかりだったが、今更引き返して探す余裕もなく、ダイン達は梯子を登って地上へと向かう――
――梯子を登り切ると、天井に嵌め込まれた蓋を開けた途端、月の光が差し込む。どうやら時刻は深夜を迎えているらしく、思っていた以上にダイン達は地下道を彷徨っていたらしい。
ミイネが隠れ家に利用している場所は監獄都市の外部らしく、まるで遺跡のような建物の内部に出入口が繋がっていた。ダインは戸惑いながらも石造りの建物に視線を向け、一方でミイネとゴブは身体を伸ばして安心したかのように休む。
「ふうっ……どうですか、僕の隠れ家は?ここは滅多に兵士も立ち寄りませんし、囚人が訪れる事は絶対にありません。なにしろ監獄都市の外ですからね」
「お、おい……ちょっと待てよ、なら僕達は脱走したのか?」
「まあ、今の状況を兵士に見られるとまずいのは確かですね。見つかり次第、すぐに脱走兵扱いで殺されてもおかしくはありません」
「ギギィッ(気を付けろよ)」
さらりととんでもない事を告げたミイネにダインは戸惑うが、確かに監獄都市の外に抜け出せば囚人達はどうしようも出来ず、三巨頭であろうと手出しは出来ない。この場所に通じる通路は封鎖すればどんな囚人だろうとこの場所へ辿り着く事は出来ない。
「ここは安全ですし、食料や水も多少は保管しています。数日は過ごせるでしょうね」
「そ、そうか……でも、ここが監獄都市の外なら本当に脱走とかできるんじゃないのか?」
「それは無理ですね。この周辺地域は実は砂漠に囲まれていますし、砂漠を乗り越えたとしても険しい山脈に取り囲まれています。唯一に外部で出入りが出来る路には砦が立てられていますし、ここから自力で脱走するのは不可能です」
「そんなやばい場所だったのか、ここって!?」
ダインはミイネの話を聞いて驚き、同時に自力で脱出するのはほぼ不可能だと判明した。極悪人が収監されている囚人達が誰一人として脱走を企てないのは監獄都市の外の過酷さを知っているからであり、ここから脱走するには正規の手段で逃げなければならない。
「さあ、今日の所はもう休みましょう。色々とあってダインさんも疲れたでしょう?」
「全くだよ……あ、でも食堂の飯はもう食べれないのか。なら、明日からの食事はどうすればいいんだよ」
「さっきも言いましたが、ここには万が一の場合を備えて数日分の食料と水は確保しています。それでどうにか我慢しましょう」
「そっか……」
「ギギィッ(これを使いなよ)」
ミイネの言葉を聞いてダインはため息を吐きながらも座り込むと、そんな彼にゴブが毛布を持ち込む。気が利くゴブにダインは苦笑いを浮かべながら毛布を敷いてその上に寝転がる。時期的に遺跡の窓から見える月の光に晒されながらもダイン達は横一列に並び、これからの事を考える。
「明日から僕達どうするんだ?」
「それは明日になってから考えましょう。まさか、僕もこんな状況になるとは思いませんでしたよ」
「ギギィッ(あの二人の無事を祈ろう」
「そうだな……何だか僕、お前の言っている事が理解できるようになってきたよ」
ここに辿り着くまでに色々とあり過ぎたせいか、今日は人生で一番疲れたような気がしたダインはすぐに意識が薄れ、眠りにつく。他の二人も同様に眠り始め、三人仲良く同じ毛布の上で眠りこけた――
「あ、ありがとうございます。流石に僕も今のは肝が冷え増したよ」
「ギギィッ(死ぬかと思ったぜ)」
どうにか扉を締め切る事に成功した3人は冷や汗を流しながらも座り込むと、改めてダインは扉の方へ視線を向けた。諦めが悪いのか外側の方からどんどんと叩き込む音が聞こえるが、相当に頑丈な扉なので壊される心配はなく、これで追跡を巻く事は出来ただろう。
「ふうっ、どうにか助かりましたね。さあ、先を急ぎましょうか」
「え?ここが隠れ家じゃないの?」
「いいえ、ここは隠し通路ですよ。僕が隠れ家にしているのは地上です、ほら行きますよ」
「分かったよ……ほら、立てよゴブ」
「ギィッ(ありがとう)」
ダインはゴブに手を伸ばすと、その手を取ってゴブは立ち上がる。最初は魔物だから警戒していたが、ここまで苦難を乗り越えると仲間意識が芽生え、もうダインはゴブに大しては苦手意識は抱いていなかった。
何となくではあるが3人の絆が深まったように感じながらも歩いていくと、遂に地上に繋がる梯子を発見した。この梯子を登ればミイネが隠れ家にしている場所に辿り着けるらしく、これで一安心できた。
「さあ、ここを登れば僕の隠れ家ですよ。そこならもう安全ですから、ゆっくり休めますよ」
「ふうっ……やっと休めるのか。あ、でもあのおっさんは置いてきちゃったな」
「僕達を置いて一人で逃げるような人に同情する必要はありませんよ。ほら、行きますよ」
「ギギィッ(殿は任せろ)」
ダインは途中で出会った情報屋とは結局は合流出来なかったのが気がかりだったが、今更引き返して探す余裕もなく、ダイン達は梯子を登って地上へと向かう――
――梯子を登り切ると、天井に嵌め込まれた蓋を開けた途端、月の光が差し込む。どうやら時刻は深夜を迎えているらしく、思っていた以上にダイン達は地下道を彷徨っていたらしい。
ミイネが隠れ家に利用している場所は監獄都市の外部らしく、まるで遺跡のような建物の内部に出入口が繋がっていた。ダインは戸惑いながらも石造りの建物に視線を向け、一方でミイネとゴブは身体を伸ばして安心したかのように休む。
「ふうっ……どうですか、僕の隠れ家は?ここは滅多に兵士も立ち寄りませんし、囚人が訪れる事は絶対にありません。なにしろ監獄都市の外ですからね」
「お、おい……ちょっと待てよ、なら僕達は脱走したのか?」
「まあ、今の状況を兵士に見られるとまずいのは確かですね。見つかり次第、すぐに脱走兵扱いで殺されてもおかしくはありません」
「ギギィッ(気を付けろよ)」
さらりととんでもない事を告げたミイネにダインは戸惑うが、確かに監獄都市の外に抜け出せば囚人達はどうしようも出来ず、三巨頭であろうと手出しは出来ない。この場所に通じる通路は封鎖すればどんな囚人だろうとこの場所へ辿り着く事は出来ない。
「ここは安全ですし、食料や水も多少は保管しています。数日は過ごせるでしょうね」
「そ、そうか……でも、ここが監獄都市の外なら本当に脱走とかできるんじゃないのか?」
「それは無理ですね。この周辺地域は実は砂漠に囲まれていますし、砂漠を乗り越えたとしても険しい山脈に取り囲まれています。唯一に外部で出入りが出来る路には砦が立てられていますし、ここから自力で脱走するのは不可能です」
「そんなやばい場所だったのか、ここって!?」
ダインはミイネの話を聞いて驚き、同時に自力で脱出するのはほぼ不可能だと判明した。極悪人が収監されている囚人達が誰一人として脱走を企てないのは監獄都市の外の過酷さを知っているからであり、ここから脱走するには正規の手段で逃げなければならない。
「さあ、今日の所はもう休みましょう。色々とあってダインさんも疲れたでしょう?」
「全くだよ……あ、でも食堂の飯はもう食べれないのか。なら、明日からの食事はどうすればいいんだよ」
「さっきも言いましたが、ここには万が一の場合を備えて数日分の食料と水は確保しています。それでどうにか我慢しましょう」
「そっか……」
「ギギィッ(これを使いなよ)」
ミイネの言葉を聞いてダインはため息を吐きながらも座り込むと、そんな彼にゴブが毛布を持ち込む。気が利くゴブにダインは苦笑いを浮かべながら毛布を敷いてその上に寝転がる。時期的に遺跡の窓から見える月の光に晒されながらもダイン達は横一列に並び、これからの事を考える。
「明日から僕達どうするんだ?」
「それは明日になってから考えましょう。まさか、僕もこんな状況になるとは思いませんでしたよ」
「ギギィッ(あの二人の無事を祈ろう」
「そうだな……何だか僕、お前の言っている事が理解できるようになってきたよ」
ここに辿り着くまでに色々とあり過ぎたせいか、今日は人生で一番疲れたような気がしたダインはすぐに意識が薄れ、眠りにつく。他の二人も同様に眠り始め、三人仲良く同じ毛布の上で眠りこけた――
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