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ダイン 監獄都市編

初めて入った女の子の部屋がこんな場所だなんて……(´;ω;`)

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「ま、まだやるか……いっておくけど、今のは手加減してやったんだからな!!」
「いや、お前も結構痛そうに見えるけど……」
「うるさい!!なら今度はお前が相手になるか!?」
「ひいっ!?か、勘弁してくれ!!」


ケマイヌを倒したダインに対して他の囚人は怯えた表情を浮かべ、その様子を見てダインは内心では安堵した。バル仕込みの喧嘩技でケマイヌを倒せたことに安心する一方、昔の事を思い出す。


(そういえばバルの所を離れた時はこんな風に毎日喧嘩してたっけ……人を殴るのは久しぶりだな)


ダインはバルの元を離れたばかりの頃、彼は単独の冒険者として活動していた時にちょっかいをかけてくる輩は多かった。冒険者稼業は他の者に侮られてはならないというバルの教えを受けていたため、昔の頃はダインも自分を馬鹿にする者とよくケンカをしていた。

地道に冒険者活動を続け、階級が上がっていく事にその手の輩は少なくなり、レナ達と出会った時は全くと言っていいほどに喧嘩はしなかった。正確に言えば魔術師であるダインは肉体の方はどう鍛えても戦闘職の人間には敵わないため、喧嘩する度に身体を痛めるので嫌になって争い事を避ける様になっただけなのだが、久々の喧嘩にダインは素手でも意外と戦える事を再認識する。


(いてて、素手の喧嘩なんて何時ぶりだ?それにしてもこんな奴等に目を付けられるなんて何なんだあのチビ…)


戦意を失った囚人達を通り過ぎてダインは階段の上で呑気に座り込むミイネとゴブの元に向かうと、二人とも拍手を行って出迎えてくれた。


「いやはや、驚きましたよ。まさか負けるとは思ってませんでしたけど、あのケマイヌを一撃で倒すなんて凄いですね」
「ギギイッ!!(格好良かったぜ!!)」
「そんな事より、こいつら何なんだよ?」
「ああ、彼等は僕の商売仇ですよ。正確に言えば彼等の雇い主と僕は敵対関係なんです」
「敵対関係?」


物騒な言葉にダインは嫌な予感を覚えるが、ミイネによるとケマイヌ達は囚人達が組んだとある派閥に属しているらしく、その派閥の中心人物とミイネは非常に仲が悪いらしい。厳密に言えば互いに敵同士だと認識しており、ケマイヌ達が絡んできたのはその人物の命令だからだった。

気絶したケマイヌを連れてダインに絡んできた囚人達はいそいそとその場を離れ、その様子を見送ったダインはこのまま行かせてもいいのかと思ったが、邪魔者がいなくなったのでミイネは改めて自分達の部屋へと案内する。


「これで邪魔者はいなくなりましたね、それなら僕達の塒へ向かいましょうか」
「僕達の塒……えっ!?僕、お前等と一緒の部屋で寝るの!?」
「生憎とこの宿舎に個室なんかありませんからね。一応は言っておきますけど、僕を襲おうと考えるのは止めておいた方がいいですよ。この指輪がある限り、貴方は僕に逆らえないし、逃げる事も出来ません」
「誰がお前みたいなガキを襲うか!!」
「ふふっ、冗談ですよ……
「……えっ?」


ミイネの言い分にダインは半ば切れながら怒鳴りつけると、彼女はそんなダインの様子を見て笑顔を浮かべ、ここでダインは初めてミイネが自分の名前を呼んだ事に気付く。どうして名乗っていないのに自分の名前をミイネが知っているのかとダインは驚いたが、その間にもミイネは校舎の端の方に存在する部屋の扉の前に立つ。


「さあ、ここが僕達の部屋です。この宿舎にいる間はここが貴方の家ですからね、しっかりと場所は覚えておいてください。間違って他の部屋に入ろうとしたら殺されるかもしれませんよ」
「お、脅かすなよ……はあっ」
「ギギィッ!!(ようこそ、新入り!!)」


扉を開くとそこには意外と広い部屋が広がっており、元々は空き教室だったのだろうが、地面には絨毯が敷き詰められ、ミイネやゴブの私物だと思われる物が放置されていた。窓は存在するが閉め切っており、内部から見られないようにカーテンで覆い隠されていた。

部屋の中に入り込むとミイネは壁際に立てかけていた円卓を用意し、絨毯の上に座り込むと彼女はダインとゴブにも座るように促す。思っていた以上に変わった部屋にダインは戸惑いながらも卓を囲む。まるで部屋というよりは小さい子供が作り出したような「秘密基地」のような雰囲気を感じる。


「こ、ここが囚人の部屋なのか?……何か、思っていたのと全然違うな」
「どういうのを想像してたんですか?」
「なんていうか、牢屋みたいな場所に放り込まれるのかと思ってたんだけど……」
「そういう部屋もありますよ。但し、そこは罰を犯した囚人が送り込まれる「懲罰房」ですけどね」
「……マジかよ」


ダインは冗談で言ったのだが、監獄となると罰則を犯した囚人を閉じ込める部屋も存在するらしく、そこには罰を犯した囚人が送り込まれるという。監獄都市といっても規律が存在し、決して無法地帯というわけでもないらしく、囚人には守るべき規則が存在した。それらを破ると看守によってきつい罰則を与えられるという。
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