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魔人編

現れた敵

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「き、消えたぞ!?何処に行った!?」
「まさか、この魔法は……!?」
「か、影魔法だ……!!」
「ダイン!?目を覚ましたのか?」


影の中に消えてしまった鏡刀と杖を見て皆が戸惑う中、意識を失ったと思われたダインは起き上がると、彼は聖痕に侵された腕を抑えながら答える。先ほどの魔法は間違いなく影魔法であり、この近くに自分以外に影魔法の使い手がいる事を話す。


「多分、この近くにレナや僕のように闇属性の魔法の使い手がいるんだ……さっきの魔法は影魔法と空間魔法を組み合わせた合成魔術だ……!!」
「合成魔術だって!?そんな事が出来るのかい!?」
「そうとしか考えられないんだよ!!それにさっきから聖痕が反応している……敵は僕よりも闇属性の適性が高いんだ!!」
「何だって!?」


ダインは腕を抑えながら苦し気な表情を浮かべ、一瞬でも意識を失うと先ほどのように仲間を攻撃しそうになる。それを抑えつけるために彼は全力を注ぎ、皆に注意した。


「せ、石像から目を離すな!!きっと、敵の狙いはその石像なんだ!!」
「石像……こいつらの事かい!?」
「くそ、ならぶっ壊してやる!!」


ハルナは近くの石像に視線を向け、先ほど奪われた鏡刀を利用して敵が封魔札を破壊する前に石像事態を壊そうと動き出す。ハルナは全身から紫色の電流を迸り、彼女が扱える最強の一撃を放とうとした。


「紫電……うわぁっ!?」
「弾かれた!?」
「駄目だ、そんな事では封魔札は破壊できんぞ!!」


紫電を纏わせたハルナが石像に拳を振りかざした瞬間、結界石のように緑色の障壁が誕生して石像を取り囲み、彼女の拳は弾かれてしまう。それを見ていたソルは注意を行い、封魔札が貼られている状態の石像は並他大抵の攻撃は通じない。

封魔札によって石像は封印されるのと同時に守られてもいるため、この状態では手出しは出来ない。唯一に通用するのは反鏡剣や鏡刀で封魔札を破壊する事だけだが、それをすれば石像の中身は復活してしまう。


「くそっ!!隠れている奴出て来い!!」
「卑怯者!!姿を現しなさい!!」
「マリア様、魔力感知で敵の位置は分からないのですか?」
「もうやっているわ……黙っていなさい」


カゲマルは気配感知、マリアは魔力感知を発動させて敵の位置を探ろうとするが、どういう事か二人の感知の能力も上手く発動せず、敵の位置を捉えられない。先ほどの影魔法も何処から繰り出されたのか確認する暇もない。そんな時、石像の一つに異変が起きた。


「うわっ!?な、何だ!?」
「どうしたんですか!?」
「あ、あれ!!石像が……沈んでいる!?」


ハルナが大声を上げてレミアが驚いた風に振り返ると、そこには地面に沈むように消えていく鬼人将オウガの石像の姿があった。その光景を見ていつの間にか石像の足元の部分は大きな影が存在する事に気付き、他の石像にも既に影が迫っていた。


「これは……まさか、また影の中に取り込むつもり!?」
「そんな!?」
「レミア!!貴方の聖剣で何とかしなさい!!」
「は、はい!!」


マリアの言葉にレミアは反応し、この場で最も敵に対抗する力を持っているのはレミアである事は間違いなかった。彼女は聖剣エクスカリバーを振りかざし、影に吸収されようとする5つの石像を回収しようとした。しかし、その前に広間に異変が生じる。

聖剣が振り下ろされる寸前、レミアの背後から強烈な火炎の塊が放たれ、咄嗟に反応したレミアは振り返ると聖剣を放つ。結果から言えば火炎の塊を切り裂く事に成功して直撃は避けられたが、切り裂かれた二つの塊は暴発し、彼女は吹き飛ばされた。


「きゃあっ!?」
「こ、この攻撃は!?」
「馬鹿な……貴様、何処から現れた!?」
「……ふんっ、邪魔はさせんぞ。人間ども!!」


広間に現れたのは「竜人将ガイア」であり、事前にアイリスの調べでは冒険都市に残っているはずのガイアがここへ現れた。ガイアは口元から火花を散らし、顎が外れかねない程に開くと口元から火炎を放つ。蛇竜は火竜と同様に火炎を吐く機能を持つらしく、炎の吐息を放つ。


「アガァアアアッ!!」
「くっ!?」
「下がりなさい!!」


ガイアは火炎の吐息を放つと、咄嗟にシズネは腰の剣に手を伸ばす。だが、彼女の雪月花は既に失われており、防ぐ手段はない。そのためにマリアが動くしかなく、彼女は両手を構えて結界魔法を発動させた。


「マジックシールド!!」
「アアアアッ……!!」


空中に魔法陣が形成され、ガイアが放つ火炎の吐息を防ぐ。魔法陣によって炎は阻まれたが、ガイアは攻撃を止める事はなく、結界を飲み干す程の勢いで火炎を放つ。その光景を目にしてマリアは眉をしかめ、一方で他の者も動き出す。カゲマルは主君を救うために動こうとした時、ここでマリアの背後に接近する影に気付く。
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