1,146 / 2,083
魔人編
残された時
しおりを挟む
「あれ……そういえば闘技祭で現れた魔人族、もしかして……」
「ハンゾウを襲った奴か!!」
「まさか、あれは……」
「うむ……奴は魔族だ、間違いない。名前は恐らくは竜人将のガイアだ」
「竜人将?」
「魔族の中でもかつて魔王の直属の部下が存在した。その数は七名、七魔将と呼ばれている」
レナ達の脳裏に闘技祭で暴れた「竜人」の姿が思い浮かび、ハンゾウの対戦相手を強襲し、成り代わっていた相手である。このガイアは七魔将と呼ばれる存在であり、既にソルと同様に石像から復活を果たしたらしい。
「ちょっと待ちなさいよ、どうしてガイアとやらはもう復活しているの?封魔札とやらで封印はしていなかったの?」
「正確に言えば出来なかった……俺が用意出来た封魔札は6枚、その中で5枚は封印する事に成功したが、残りの1枚を使う前にメドゥーサに石化されてしまった。だからこそ七魔将の中で封印を施せなかった2名は既に復活を果たしているだろう」
「それじゃあ、あんなのがまだ他に1匹もいるのか!?」
「分からん。だが、調べた限りではあの地下に封じられていた魔族は七魔将を除いても複数は存在した。奴等も放置できない存在だったが、当時の俺ではどうしようもなかった」
ソルは石像が解除された後も封印するために封魔札を用意したが、彼の想像以上に地下には数多くの魔族が存在し、どうしようもなかったという。七魔将だけでも封じようとしたが、結局は封印が成功したのは五人だけであり、既に復活を果たした魔族が存在してもおかしくはない。
封じる事に成功した五人の魔族もいつ復活するかは分からず、仮に全ての魔族が復活した場合、当時の勇者でもどうする事も出来なかった脅威が世界中を暴れまわる事になる。
「頼む、我が子孫よ!!どうか不甲斐ない先祖を許してくれとは言わん!!だが、民のためにも共に戦ってくれんか?」
「……話は分かりました。正直、貴方が先祖という話はまだ信じ切れていない部分もありますが……あの闘技祭で現れた竜人のような存在が他にもいるなら放置は出来ません」
「私も協力するわ……うちの可愛い冒険者に手を出した罪、償わせてあげるわ」
「おおっ!!助かる!!」
「七魔将、か……勇者でも手に負えなかった相手か」
レナ達はソルの頼みを引き受ける事に決めると、ここでレナはアイリスと交信を行いたいと思い、交信を試みた。しかし、反応は戻ってこず、どうやら近くにホネミンがいるらしい。
(ホネミンが近くにいるのか……それでアイリスと交信できないんだな)
アイリスから七魔将の情報を聞き取れるかと思ったが、ホネミンが近くにいる間はレナは交信は行えず、彼女から離れなければならない。ここで席を立って適当に離れた場所へと行こうとした時、ダインが唐突に苦しみ出す。
「うぐぅっ!?」
「ダイン!?」
「ど、どうしたの!?」
「わ、分からない……けど、急に聖痕が……!?」
ダインは突如として右腕を抑えると、レナはすぐに彼の服の袖を引っ張り、右腕を露出させた。その結果、闇の聖痕が異様に発熱している事が発覚し、何が起きているのかと戸惑う。
「これは……!?」
「せ、聖痕が勝手に……ぐああっ!?」
「ダイン!!」
「……み、皆気を付けろ!!やばい奴がこっちに近付いて来てる!!まるで、僕の爺みたいな魔力だ……!!」
レナはダインの言葉を聞いて闇の聖痕を通して彼が何かを察知した事に気付き、マリアに顔を向ける。マリアは自分の手の甲に浮かんだ「風の聖痕」に視線を向けるが、彼女の場合は反応は示していない。
闇の聖痕のみが発動している事を考えても接近してきた存在は闇属性の魔法の使い手の可能性が高く、しかもダインの感覚ではまるで自分の祖父と対峙した時と同じ感覚らしい。ダインの家系は「呪術師」であるため、敵が呪術師である可能性も出てきた。
「ダイン、何処から近付いているのか分かる?」
「あ、ああ……多分、あっちの方からだ」
「あっちというと……ウル達がいる裏庭か!?」
レナは急いで窓へと駆けつけると、裏庭には外に待機させていた魔獣達が戦闘態勢に入っていた。ウル、ミノ、アインの3体が既に威嚇状態へ陥り、魔獣の唸り声が響く。
「グルルルッ……!!」
「キュロロロッ!!」
「ブモォオッ!!」
『…………』
3体の魔獣に取り込まれる形で既に何者かが屋敷の敷地内に侵入し、その人物は全身を黒マントで覆い隠していた。それを確認したレナはダインが感じた嫌な魔力の正体はこの人物だと判断し、外へ飛び出す。
「誰だ、お前はっ!!」
「レナ!!」
「レナさん!!」
レナ以外の者達も外へ飛び出し、シズネやリンダも向かい合う。だが、3体の魔獣とレナ達を前にしても相手は動じた様子は見せず、やがて黒マントを脱ぎ去ると、驚くべき容姿が露になる。
「ハンゾウを襲った奴か!!」
「まさか、あれは……」
「うむ……奴は魔族だ、間違いない。名前は恐らくは竜人将のガイアだ」
「竜人将?」
「魔族の中でもかつて魔王の直属の部下が存在した。その数は七名、七魔将と呼ばれている」
レナ達の脳裏に闘技祭で暴れた「竜人」の姿が思い浮かび、ハンゾウの対戦相手を強襲し、成り代わっていた相手である。このガイアは七魔将と呼ばれる存在であり、既にソルと同様に石像から復活を果たしたらしい。
「ちょっと待ちなさいよ、どうしてガイアとやらはもう復活しているの?封魔札とやらで封印はしていなかったの?」
「正確に言えば出来なかった……俺が用意出来た封魔札は6枚、その中で5枚は封印する事に成功したが、残りの1枚を使う前にメドゥーサに石化されてしまった。だからこそ七魔将の中で封印を施せなかった2名は既に復活を果たしているだろう」
「それじゃあ、あんなのがまだ他に1匹もいるのか!?」
「分からん。だが、調べた限りではあの地下に封じられていた魔族は七魔将を除いても複数は存在した。奴等も放置できない存在だったが、当時の俺ではどうしようもなかった」
ソルは石像が解除された後も封印するために封魔札を用意したが、彼の想像以上に地下には数多くの魔族が存在し、どうしようもなかったという。七魔将だけでも封じようとしたが、結局は封印が成功したのは五人だけであり、既に復活を果たした魔族が存在してもおかしくはない。
封じる事に成功した五人の魔族もいつ復活するかは分からず、仮に全ての魔族が復活した場合、当時の勇者でもどうする事も出来なかった脅威が世界中を暴れまわる事になる。
「頼む、我が子孫よ!!どうか不甲斐ない先祖を許してくれとは言わん!!だが、民のためにも共に戦ってくれんか?」
「……話は分かりました。正直、貴方が先祖という話はまだ信じ切れていない部分もありますが……あの闘技祭で現れた竜人のような存在が他にもいるなら放置は出来ません」
「私も協力するわ……うちの可愛い冒険者に手を出した罪、償わせてあげるわ」
「おおっ!!助かる!!」
「七魔将、か……勇者でも手に負えなかった相手か」
レナ達はソルの頼みを引き受ける事に決めると、ここでレナはアイリスと交信を行いたいと思い、交信を試みた。しかし、反応は戻ってこず、どうやら近くにホネミンがいるらしい。
(ホネミンが近くにいるのか……それでアイリスと交信できないんだな)
アイリスから七魔将の情報を聞き取れるかと思ったが、ホネミンが近くにいる間はレナは交信は行えず、彼女から離れなければならない。ここで席を立って適当に離れた場所へと行こうとした時、ダインが唐突に苦しみ出す。
「うぐぅっ!?」
「ダイン!?」
「ど、どうしたの!?」
「わ、分からない……けど、急に聖痕が……!?」
ダインは突如として右腕を抑えると、レナはすぐに彼の服の袖を引っ張り、右腕を露出させた。その結果、闇の聖痕が異様に発熱している事が発覚し、何が起きているのかと戸惑う。
「これは……!?」
「せ、聖痕が勝手に……ぐああっ!?」
「ダイン!!」
「……み、皆気を付けろ!!やばい奴がこっちに近付いて来てる!!まるで、僕の爺みたいな魔力だ……!!」
レナはダインの言葉を聞いて闇の聖痕を通して彼が何かを察知した事に気付き、マリアに顔を向ける。マリアは自分の手の甲に浮かんだ「風の聖痕」に視線を向けるが、彼女の場合は反応は示していない。
闇の聖痕のみが発動している事を考えても接近してきた存在は闇属性の魔法の使い手の可能性が高く、しかもダインの感覚ではまるで自分の祖父と対峙した時と同じ感覚らしい。ダインの家系は「呪術師」であるため、敵が呪術師である可能性も出てきた。
「ダイン、何処から近付いているのか分かる?」
「あ、ああ……多分、あっちの方からだ」
「あっちというと……ウル達がいる裏庭か!?」
レナは急いで窓へと駆けつけると、裏庭には外に待機させていた魔獣達が戦闘態勢に入っていた。ウル、ミノ、アインの3体が既に威嚇状態へ陥り、魔獣の唸り声が響く。
「グルルルッ……!!」
「キュロロロッ!!」
「ブモォオッ!!」
『…………』
3体の魔獣に取り込まれる形で既に何者かが屋敷の敷地内に侵入し、その人物は全身を黒マントで覆い隠していた。それを確認したレナはダインが感じた嫌な魔力の正体はこの人物だと判断し、外へ飛び出す。
「誰だ、お前はっ!!」
「レナ!!」
「レナさん!!」
レナ以外の者達も外へ飛び出し、シズネやリンダも向かい合う。だが、3体の魔獣とレナ達を前にしても相手は動じた様子は見せず、やがて黒マントを脱ぎ去ると、驚くべき容姿が露になる。
0
お気に入りに追加
16,510
あなたにおすすめの小説
【完結】「父に毒殺され母の葬儀までタイムリープしたので、親戚の集まる前で父にやり返してやった」
まほりろ
恋愛
十八歳の私は異母妹に婚約者を奪われ、父と継母に毒殺された。
気がついたら十歳まで時間が巻き戻っていて、母の葬儀の最中だった。
私に毒を飲ませた父と継母が、虫の息の私の耳元で得意げに母を毒殺した経緯を話していたことを思い出した。
母の葬儀が終われば私は屋敷に幽閉され、外部との連絡手段を失ってしまう。
父を断罪できるチャンスは今しかない。
「お父様は悪くないの!
お父様は愛する人と一緒になりたかっただけなの!
だからお父様はお母様に毒をもったの!
お願いお父様を捕まえないで!」
私は声の限りに叫んでいた。
心の奥にほんの少し芽生えた父への殺意とともに。
※他サイトにも投稿しています。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
※「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※タイトル変更しました。
旧タイトル「父に殺されタイムリープしたので『お父様は悪くないの!お父様は愛する人と一緒になりたくてお母様の食事に毒をもっただけなの!』と叫んでみた」
転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~
ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉
攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。
私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。
美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~!
【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避
【2章】王国発展・vs.ヒロイン
【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。
※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。
※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差)
ブログ https://tenseioujo.blogspot.com/
Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/
※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。
私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!
りーさん
ファンタジー
ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。
でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。
こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね!
のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。
ネット小説や歴史の英雄話好きの高校生の洲河 慱(すが だん)
いつものように幼馴染達と学校帰りに公園で雑談していると突然魔法陣が現れて光に包まれて…
幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は素晴らしいジョブとスキルを手に入れたのに僕のは何だこれ?
王宮からはハズレと言われて追い出されそうになるが、幼馴染達は庇ってくれた。
だけど、夢にみた迄の異世界…
慱は幼馴染達とは別に行動する事にした。
自分のスキルを駆使して冒険する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。
現在書籍化されている…
「魔境育ちの全能冒険者は好き勝手に生きる!〜追い出した癖クセに戻って来いだと?そんなの知るか‼︎〜」
の100年前の物語です。
リュカが憧れる英雄ダン・スーガーの物語。
そして、コミカライズ内で登場する「僕スキなのか…」がこの作品です。
その作品の【改訂版】です。
全く同じな部分もあれば、新たなストーリーも追加されています。
今回のHOTランキングでは最高5位かな?
応援有り難う御座います。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。