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真・闘技祭 本選編
不遇職ここに極めり
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「な、何だこれ!?あ、足がっ……!?」
『これは……!?』
『ええっ!?ハルナ選手の足が……のみ込まれている!?』
底なし沼に嵌まったかの如く、ハルナの足が飲み込まれる光景に気付いたホネミンとラビットは驚きの声を上げ、ハルナ本人も何が起きているのか理解できずに彼女は必死に足を抜け出そうとした。
「このっ……くそっ、離れないっ!?」
しかし、どれだけ引き抜こうとしてもびくともせず、足を飲み込む石畳は柔らかいようで実際は硬く、ミノタウロスでもあるハルナの力でさえも引き剥がせない。いったい何が起きているのかと彼女は戸惑うが、その間に先ほど殴りつけたはずのレナが起き上がる。
「いってぇっ……死ぬかと思った」
「うわっ!?」
『レナ選手、立ち上がりました!!信じられません、あの攻撃を受けて普通に立ってます!!』
何事もなかったかのように起き上がったレナを見て誰もが驚き、特にハルナは自分の最強最速の一撃を受けて起き上がったレナを見て信じられない表情を浮かべる。一方でレナは胸元に掌を押し当てながらハルナと向かい合う。
「そんな馬鹿な……紫電を受けて何で平気なんだ!?」
「平気じゃないよ、流石に死ぬかと思った……事前に退魔刀に地属性の魔力を送り込んでいたから助かったんだよ」
「はあっ!?」
――ハルナが攻撃を仕掛ける寸前、レナは自分が手にしていた退魔刀に「重力剣」の能力を発動させていた。普段のレナは退魔刀を扱う時は「重撃剣」を使用し、こちらは手元の重力を操作して大剣を振りかざす能力に対し、重力剣の場合は地属性の魔力を刃に纏う。
重力剣の性質は「魔刀術」に非常に近く、退魔刀には通常以上の地属性の魔力を纏わせた状態でハルナの攻撃を受けた。この時にハルナの「紫電」は地属性の魔力によって阻まれ、超加速の一撃によってレナの身体は吹き飛ばされたが、そちらは「回復超強化」の能力で肉体を治す。この闘技祭では回復魔法の使用を禁じられていなかったのが幸いだった。
「流石に吹っ飛ばされた時は駄目かと思ったけど、まあ耐え切れない程ではなかったよ」
「ちくしょうっ!!じゃあ、これもあんたの仕業か!?」
「そういう事、錬金術師の能力で足場を変化させてその足を封じさせてもらったよ」
ハルナの足が飲み込まれたのは錬金術師の「形状高速変化」の能力を利用し、ハルナの足元の石畳を変化させて底なし沼のように飲み込ませたのである。しかもこの能力は形が変化するといっても柔らかくなるわけではなく、硬度を落とさずに形が変形するため、ハルナの力を以てしても逃げる事は出来なかった。
「さあ、これで終わりだ」
「くっ……舐めんなよ、私の取柄が足の速さと雷とおっぱいだけだと思うなよ!!」
「おっぱいは今は関係ないだろ……」
足元を封じられたハルナは電流を迸らせながら拳を振りかざし、地面に叩きつけて石畳を破壊して抜け出そうとした。それを見越してレノは掌を地面に押し当てると、支援魔術師の「付与強化」を発動させる。
「おらぁっ!!」
「無駄だ」
雷の如く、電流を迸らせながら拳を叩きつけたハルナだったが、突如として足元の石畳が変色すると、電撃を帯びた拳が叩き込まれる。しかし、レナが掌を通して送り込んだ紅色の魔力が石畳を包み込み、電撃を阻む。結局は石畳に多少のひび割れが出来た程度で破壊には至らず、ハルナは戸惑いの表情を浮かべた。
「な、何で!?こんなもん、何時もなら破壊できるのに……」
「雷属性と土属性の相性の問題だよ。この石畳に俺の魔力を送り込んだ、だから壊すのは無理だ」
「そんな事まで出来るのか!?くそっ……こんなの反則だ!!」
「うるさい……人がこの能力を覚えるのにどれだけ苦労したと思ってるんだ」
多種多様な能力を扱いこなすレナに対してハルナは理不尽を覚えたが、レナからすれば子供の頃から自分がどれだけ努力してこれだけの能力を苦労の末に手に入れたのかを思い返し、彼女の言葉に怒りを抱く。
動けないハルナに対してレナは拳を握りしめ、一点に魔力を集中させる。動けないとはいえ、雷の聖痕を所有するハルナは全身に電流を帯びるため、下手に攻撃すればレナが感電してしまう。武器を絶縁体の素材に変化させて攻撃するという手段もあるが、それでも雷と同等の電力を生み出せるハルナの場合、生半可な武器の前では通用しない。
「はぁああああっ!!」
「な、何だ……うわっ!?」
拳を握りしめた状態でレナは気合のこもった声を上げると、拳全体に紅色の魔力が宿る。子供の頃にも使用していた地属性の魔力を拳に集中させる「重撃」の技術スキルを発動させ、更に通常以上の魔力を集中させて密度を高めていく。それは最早技術スキルの枠を超え、魔鎧術や魔刀術の領域に近い。
通常、どんな種族の物であろうと魔鎧術や魔刀術を発動させる際は自分の持つ魔力の性質に依存するため、普通ならば複数の魔力で構成した魔鎧術や魔刀術を発動する事は出来ない。レナの場合は水属性と火属性の性質を合わせた「蒼炎」を操れるが、これだけでも異常な事だった。だが、更にレナは地属性の魔力を集中させ、新しい力を手にしようとしていた。
『これは……!?』
『ええっ!?ハルナ選手の足が……のみ込まれている!?』
底なし沼に嵌まったかの如く、ハルナの足が飲み込まれる光景に気付いたホネミンとラビットは驚きの声を上げ、ハルナ本人も何が起きているのか理解できずに彼女は必死に足を抜け出そうとした。
「このっ……くそっ、離れないっ!?」
しかし、どれだけ引き抜こうとしてもびくともせず、足を飲み込む石畳は柔らかいようで実際は硬く、ミノタウロスでもあるハルナの力でさえも引き剥がせない。いったい何が起きているのかと彼女は戸惑うが、その間に先ほど殴りつけたはずのレナが起き上がる。
「いってぇっ……死ぬかと思った」
「うわっ!?」
『レナ選手、立ち上がりました!!信じられません、あの攻撃を受けて普通に立ってます!!』
何事もなかったかのように起き上がったレナを見て誰もが驚き、特にハルナは自分の最強最速の一撃を受けて起き上がったレナを見て信じられない表情を浮かべる。一方でレナは胸元に掌を押し当てながらハルナと向かい合う。
「そんな馬鹿な……紫電を受けて何で平気なんだ!?」
「平気じゃないよ、流石に死ぬかと思った……事前に退魔刀に地属性の魔力を送り込んでいたから助かったんだよ」
「はあっ!?」
――ハルナが攻撃を仕掛ける寸前、レナは自分が手にしていた退魔刀に「重力剣」の能力を発動させていた。普段のレナは退魔刀を扱う時は「重撃剣」を使用し、こちらは手元の重力を操作して大剣を振りかざす能力に対し、重力剣の場合は地属性の魔力を刃に纏う。
重力剣の性質は「魔刀術」に非常に近く、退魔刀には通常以上の地属性の魔力を纏わせた状態でハルナの攻撃を受けた。この時にハルナの「紫電」は地属性の魔力によって阻まれ、超加速の一撃によってレナの身体は吹き飛ばされたが、そちらは「回復超強化」の能力で肉体を治す。この闘技祭では回復魔法の使用を禁じられていなかったのが幸いだった。
「流石に吹っ飛ばされた時は駄目かと思ったけど、まあ耐え切れない程ではなかったよ」
「ちくしょうっ!!じゃあ、これもあんたの仕業か!?」
「そういう事、錬金術師の能力で足場を変化させてその足を封じさせてもらったよ」
ハルナの足が飲み込まれたのは錬金術師の「形状高速変化」の能力を利用し、ハルナの足元の石畳を変化させて底なし沼のように飲み込ませたのである。しかもこの能力は形が変化するといっても柔らかくなるわけではなく、硬度を落とさずに形が変形するため、ハルナの力を以てしても逃げる事は出来なかった。
「さあ、これで終わりだ」
「くっ……舐めんなよ、私の取柄が足の速さと雷とおっぱいだけだと思うなよ!!」
「おっぱいは今は関係ないだろ……」
足元を封じられたハルナは電流を迸らせながら拳を振りかざし、地面に叩きつけて石畳を破壊して抜け出そうとした。それを見越してレノは掌を地面に押し当てると、支援魔術師の「付与強化」を発動させる。
「おらぁっ!!」
「無駄だ」
雷の如く、電流を迸らせながら拳を叩きつけたハルナだったが、突如として足元の石畳が変色すると、電撃を帯びた拳が叩き込まれる。しかし、レナが掌を通して送り込んだ紅色の魔力が石畳を包み込み、電撃を阻む。結局は石畳に多少のひび割れが出来た程度で破壊には至らず、ハルナは戸惑いの表情を浮かべた。
「な、何で!?こんなもん、何時もなら破壊できるのに……」
「雷属性と土属性の相性の問題だよ。この石畳に俺の魔力を送り込んだ、だから壊すのは無理だ」
「そんな事まで出来るのか!?くそっ……こんなの反則だ!!」
「うるさい……人がこの能力を覚えるのにどれだけ苦労したと思ってるんだ」
多種多様な能力を扱いこなすレナに対してハルナは理不尽を覚えたが、レナからすれば子供の頃から自分がどれだけ努力してこれだけの能力を苦労の末に手に入れたのかを思い返し、彼女の言葉に怒りを抱く。
動けないハルナに対してレナは拳を握りしめ、一点に魔力を集中させる。動けないとはいえ、雷の聖痕を所有するハルナは全身に電流を帯びるため、下手に攻撃すればレナが感電してしまう。武器を絶縁体の素材に変化させて攻撃するという手段もあるが、それでも雷と同等の電力を生み出せるハルナの場合、生半可な武器の前では通用しない。
「はぁああああっ!!」
「な、何だ……うわっ!?」
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通常、どんな種族の物であろうと魔鎧術や魔刀術を発動させる際は自分の持つ魔力の性質に依存するため、普通ならば複数の魔力で構成した魔鎧術や魔刀術を発動する事は出来ない。レナの場合は水属性と火属性の性質を合わせた「蒼炎」を操れるが、これだけでも異常な事だった。だが、更にレナは地属性の魔力を集中させ、新しい力を手にしようとしていた。
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