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真・闘技祭 本選編

鉄壁の騎士

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「うおりゃあああっ!!」
「ぬううっ……!!」
『す、凄い!!ソル選手、あのハルナ選手の猛攻を耐え凌いでいます!!』
『いや、本当に凄い!!ソル選手、何者なんですか!?』


電撃を帯びたハルナの拳を受け続けてもソルはびくともせず、巨人族さえも殴り飛ばす腕力を誇るハルナの打撃を受けても退かない。しかも彼の身に付けている大盾の方も相当な衝撃を受けているのに凹みもせず、遂には攻撃を仕掛けるハルナの方が疲れてきた。


「はあっ、はっ……くそ、硬いな!!」
「無理をするな、生身の拳ではこの盾は破壊できないぞ」
「そう言われると余計に壊したくなるな……これならどうだ!!」


ハルナは今度は空中に跳びあがると、飛び蹴りを大盾に向けて放つ。拳では埒が明かないので足技に切り替えたようだが、その攻撃に対してソルは大盾を振り上げて彼女を弾き飛ばす。


「甘い!!」
「うわっ!?」
「貰ったぞ!!」


不用意に空中に飛び上がった事で大盾に弾かれたハルナは体勢を反転させると、そんな彼女に向けてソルはランスを放つ。誰もがハルナの肉体がランスに貫かれると想像した時、彼女は笑みを浮かべて突き出してきたランスを両手で受け止める。


「ふぎぎぎっ!!」
「ぬおっ!?」


空中にてハルナはランスを受け止めると、驚異的な握力と腕力で身体に突き刺さるのを阻止する。更に彼女はランスに乗り上げると、まるで新体操の選手の様に身体を捻らせながら空中に跳躍し、ソルの背後へと移動を行う。

ソルが振り返る前にハルナは彼の身体を掴み上げると、持ち前の怪力を生かして持ち上げる。そして後方へと向けて彼の身体を頭から地上へと落とす。


「ジャーマンスープレックス!!」
「ぐおおおっ!?」
『き、決まったぁっ!!』


ハルナによってソルは頭から石畳に叩きつけられ、流石に気絶したのか動かなくなり、その様子を確認するとハルナは握り拳を作って勝利を喜ぶ。だが、安心している暇はなく、そんな背後から近づく人影が存在した。


『居合二式……嵐!!』
「うわっ!?」


再びハヤテが鞘から剣を引き抜くと、竜巻の如く魔力を纏わせた一撃を放つ。咄嗟にハルナは回避する事に成功したが、ハヤテが剣を繰り出した方向に竜巻が放たれ、観客席へと向かう。観客は悲鳴を上げるが即座に結界石が発動して魔法障壁が防ぐ。


「またお前か、チビっ子!!」
『誰がチビだ!!牛女め!!』
「否定はしねえよ!!」


ハルナは外見こそ人間にしか見えないが種族的にはミノタウロスであるため、牛女という呼称は否定しない。ハヤテは剣を鞘に戻そうとすると、ハルナは電流を帯びて彼女が見切れない速度で殴りつけようとした。


「この1発で終わらせ……!?」
「……そこかっ!!」


相手の背後へと回って殴り飛ばそうとしたハルナだったが、ハヤテは最初から目を閉じた状態で「心眼」を発動させ、ハルナの動きを見極める。どんなに移動速度を上回っていても剣聖であるハヤテは心の目でハルナの動きを察知し、迎撃の耐性を取る。

不用意に攻撃を仕掛けるのはまずいと判断したハルナは咄嗟に彼女の間合いに近付くのを辞めると、ここで傍観していたヨシテルも動き出す。彼は鞘に刀を収めた状態でゆっくりと近づき、ハルナはハヤテとヨシテルに囲まれる形になった。



(まずいな、どうする!?このままだとやられる……何か方法はないのか!!)


速度に頼り切った攻撃だけではハヤテやヨシテルには通じないと判断したハルナは周囲を見渡し、この状況の打開策を考える。そして彼女の視界に倒れているソルが目に入ると、彼女はソルが装備していた大盾に視線を向け、ある方法を思いつく。


「借りるぞ、おっさん!!」
「っ!?」


大盾を手にしたハルナはハヤテに視線を向けると、大盾に身を隠した状態で突っ込む。自分の攻撃を耐え切ったソルの大盾ならば彼女が居合を繰り出しても斬り裂く事は出来ず、しかも心眼を発動させるためにハヤテは目を閉じていたのでハルナの気配は感じる事が出来ても彼女が何を取り出したのかまでは分からない。

それでもハヤテが出来る事は迎撃しかなく、彼女は鞘に刀を収めるとハルナが持つ大盾ごと斬り裂くために精神を集中させる。ハヤテも剣聖である以上はレナと同様に「一刀両断」の戦技も習得しており、更に彼女の場合は精霊魔法を組み合わせる事でより発展した剣技を生み出している。



「――奥義、神風!!」



ハヤテが姉を越えるために生み出した最強の剣技を放ち、ハルナが所有していた大盾が切断され、強烈な風圧が発生する。その威力は風の聖痕を所有するレナであろうとも生み出せない程の強い衝撃を誇り、誰もがハルナが切り裂かれたと思った。


「うおおおおっ!!」
「なっ!?」
「空にっ!?」


しかし、ハルナは攻撃の寸前に大盾を犠牲にして空へと飛びあがると、空中からハヤテの元へ向かう。奥義を繰り出した後だったのでハルナは反応出来ず、そんな彼女に対してハルナは拳を繰り出す。
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