1,114 / 2,085
真・闘技祭 本選編
青の剣聖VS西聖将
しおりを挟むシズネは雪月花と白百合を構えると、後方へと距離を開く。その様子をホムラは黙って見送り、紅刀を構えたまま動かない。その様子を見てシズネはホムラが自分が水の聖痕を発動するまで待つつもりだと知る。
(舐められている……いえ、これが強者の余裕ね)
ホムラが動こうとしない事にシズネは逆に好機だと考え、彼女は白百合に視線を向けると、遂に魔刀術を発動させた。白百合の刀身に魔力が送り込まれ、外見は青色の刃のように変化を果たす。その光景を見てホムラは笑みを浮かべ、観衆はシズネの剣の色が変化した事に戸惑う。
「お、おい!!あの剣、色が変わったぞ!?」
「どうなってるんだ……まさか、魔剣か!?」
「雪月花以外に魔剣を持っていたのか!?」
観客席の民衆が騒ぐ中、最前列の席に座るマリアはいち早くシズネが何をしたのかを気付く。彼女は魔力を白百合に送り込み、水属性の魔力を包み込んだに過ぎない。だが、魔力の密度を凝縮させた事で傍から見ればまるで剣の色合いが青く変化したように見える。
実際の所は本当に剣の色が変わったわけではなく、刃を包み込む魔力の密度を高める事により、凝縮された魔力が青色に輝く事から剣の色が変化したように錯覚したに過ぎない。シズネは人魚族の血を継いでいるが、種族的には人間である。だから彼女はコトミンのように水を利用した魔法を使う事は出来ない。
しかし、水の聖痕を手にした事でシズネは試合場の周囲に存在する水堀に存在する精霊を引き寄せ、精霊の力を借りて魔刀術をより強化させる。更に水の精霊を呼び寄せるために彼女は雪月花を構えると、水の聖痕を発動させて普段以上に魔剣の力を引き出す。
「極寒の世界へ案内してあげなさい……雪月花!!」
「ほうっ……大した力だ」
雪月花を試合場の石畳に突き刺した瞬間、冷気が周囲に広がって瞬時に試合場が氷結化し、全体が凍り付いてしまう。あまりの冷気に観客たちも震え上がり、実況席のホネミンとラビットも震える。
『ひいいっ!?寒い、寒いです!!』
『し、シズネ選手の魔剣の力によって試合場が凍り付きました!!いったい、これから何が起きるのでしょうか……ふぇっくしょん!!』
観客席にもシズネの雪月花の生み出した冷気によって民衆は身体を震わせ、最前列に座っていた者達も顔色が青くなる。そんな中でマリアだけは涼し気な表情を浮かべて特に変わった様子は見せず、ティナも不思議そうな顔を浮かべる。
「わあ、試合場が凍っちゃった……凄いね~」
「てぃ、ティナ!?どうしてそんなに平気ですの?貴方、寒がりの癖に……」
「え?どうしたの皆?」
「魔力で作り出した冷気……魔法耐性が高い人間にとっては大きな影響は受けないわ」
「うううっ……さ、寒い!!凍え死にそうだよ!!」
マリアとティナが冷気を浴びても平気な理由は彼女達が魔術師としての才能に恵まれた存在だからであり、二人は生まれた時から高い魔法耐性を身に付けていた。そのお陰で雪月花の生み出した冷気を受けても大きな影響は受けずに済んだ。
魔術師として生まれた者は個人差はあるが魔法の耐性を身に付けているため、魔術師の称号を持つ者は耐え切れない程ではなかった。だが、魔術師の称号ではない者達はあまりの寒さに体を身震いさせ、中には寒さに耐え切れずに観客席を離れる者までいた。そんな観衆の事も気にもかけず、シズネはホムラと向かい合う。
「……流石ね」
シズネはホムラを見ると、彼女の周囲だけは石畳が凍り付いておらず、それどころか徐々に凍り付いていく地面が解け始めていた。ホムラは紅刀を構えると、刃に真紅の炎の魔力を纏わせる。
「そろそろ我慢できなくなってきた……行くぞ」
「ええっ……来なさい!!」
ホムラは真紅の炎を纏わせた紅刀を振りかざすと、シズネも雪月花と魔刀術を発動させた白百合を構え、正面からホムラが振り翳す刃を受け止める。薙刀の刃と二刀の刃が交じり合い、熱気と冷気が互いに押し寄せ合う。自分の一撃を受けたシズネにホムラは笑みを浮かべ、一方でシズネの方も気合の入った表情で激しく切り合う。
「はぁあっ!!」
「ふんっ!!」
二人はその場で武器を振りかざし、目にも止まらぬ速さで打ち合う。薙刀と二つの刀が交じり合い、金属音が鳴り響く。その様子に観衆も目を離せず、寒さのあまりに席を離れようとした者まで魅入ってしまう。
「烈火斬!!」
先に仕掛けたのはホムラであり、彼女は真紅の炎を纏わせた薙刀を振り払うと、前方に向けて炎を放つ。実際の所は炎に見えるだけの魔力なのだが、その熱量は本物の炎にも勝り、実際に炎を放出しているのと変わりはない。シズネは放たれた火炎の魔力に対して二つの刀を重ね合わせ、正面から打ち消す。
「二刀両断!!」
「何っ!?」
一回戦にてレナがツバサを相手に利用した新しい剣技をシズネは繰り出すと、火炎の魔力を容易く切り裂く。その様子を見てツバサは驚くが、シズネは笑みを浮かべた。
(舐められている……いえ、これが強者の余裕ね)
ホムラが動こうとしない事にシズネは逆に好機だと考え、彼女は白百合に視線を向けると、遂に魔刀術を発動させた。白百合の刀身に魔力が送り込まれ、外見は青色の刃のように変化を果たす。その光景を見てホムラは笑みを浮かべ、観衆はシズネの剣の色が変化した事に戸惑う。
「お、おい!!あの剣、色が変わったぞ!?」
「どうなってるんだ……まさか、魔剣か!?」
「雪月花以外に魔剣を持っていたのか!?」
観客席の民衆が騒ぐ中、最前列の席に座るマリアはいち早くシズネが何をしたのかを気付く。彼女は魔力を白百合に送り込み、水属性の魔力を包み込んだに過ぎない。だが、魔力の密度を凝縮させた事で傍から見ればまるで剣の色合いが青く変化したように見える。
実際の所は本当に剣の色が変わったわけではなく、刃を包み込む魔力の密度を高める事により、凝縮された魔力が青色に輝く事から剣の色が変化したように錯覚したに過ぎない。シズネは人魚族の血を継いでいるが、種族的には人間である。だから彼女はコトミンのように水を利用した魔法を使う事は出来ない。
しかし、水の聖痕を手にした事でシズネは試合場の周囲に存在する水堀に存在する精霊を引き寄せ、精霊の力を借りて魔刀術をより強化させる。更に水の精霊を呼び寄せるために彼女は雪月花を構えると、水の聖痕を発動させて普段以上に魔剣の力を引き出す。
「極寒の世界へ案内してあげなさい……雪月花!!」
「ほうっ……大した力だ」
雪月花を試合場の石畳に突き刺した瞬間、冷気が周囲に広がって瞬時に試合場が氷結化し、全体が凍り付いてしまう。あまりの冷気に観客たちも震え上がり、実況席のホネミンとラビットも震える。
『ひいいっ!?寒い、寒いです!!』
『し、シズネ選手の魔剣の力によって試合場が凍り付きました!!いったい、これから何が起きるのでしょうか……ふぇっくしょん!!』
観客席にもシズネの雪月花の生み出した冷気によって民衆は身体を震わせ、最前列に座っていた者達も顔色が青くなる。そんな中でマリアだけは涼し気な表情を浮かべて特に変わった様子は見せず、ティナも不思議そうな顔を浮かべる。
「わあ、試合場が凍っちゃった……凄いね~」
「てぃ、ティナ!?どうしてそんなに平気ですの?貴方、寒がりの癖に……」
「え?どうしたの皆?」
「魔力で作り出した冷気……魔法耐性が高い人間にとっては大きな影響は受けないわ」
「うううっ……さ、寒い!!凍え死にそうだよ!!」
マリアとティナが冷気を浴びても平気な理由は彼女達が魔術師としての才能に恵まれた存在だからであり、二人は生まれた時から高い魔法耐性を身に付けていた。そのお陰で雪月花の生み出した冷気を受けても大きな影響は受けずに済んだ。
魔術師として生まれた者は個人差はあるが魔法の耐性を身に付けているため、魔術師の称号を持つ者は耐え切れない程ではなかった。だが、魔術師の称号ではない者達はあまりの寒さに体を身震いさせ、中には寒さに耐え切れずに観客席を離れる者までいた。そんな観衆の事も気にもかけず、シズネはホムラと向かい合う。
「……流石ね」
シズネはホムラを見ると、彼女の周囲だけは石畳が凍り付いておらず、それどころか徐々に凍り付いていく地面が解け始めていた。ホムラは紅刀を構えると、刃に真紅の炎の魔力を纏わせる。
「そろそろ我慢できなくなってきた……行くぞ」
「ええっ……来なさい!!」
ホムラは真紅の炎を纏わせた紅刀を振りかざすと、シズネも雪月花と魔刀術を発動させた白百合を構え、正面からホムラが振り翳す刃を受け止める。薙刀の刃と二刀の刃が交じり合い、熱気と冷気が互いに押し寄せ合う。自分の一撃を受けたシズネにホムラは笑みを浮かべ、一方でシズネの方も気合の入った表情で激しく切り合う。
「はぁあっ!!」
「ふんっ!!」
二人はその場で武器を振りかざし、目にも止まらぬ速さで打ち合う。薙刀と二つの刀が交じり合い、金属音が鳴り響く。その様子に観衆も目を離せず、寒さのあまりに席を離れようとした者まで魅入ってしまう。
「烈火斬!!」
先に仕掛けたのはホムラであり、彼女は真紅の炎を纏わせた薙刀を振り払うと、前方に向けて炎を放つ。実際の所は炎に見えるだけの魔力なのだが、その熱量は本物の炎にも勝り、実際に炎を放出しているのと変わりはない。シズネは放たれた火炎の魔力に対して二つの刀を重ね合わせ、正面から打ち消す。
「二刀両断!!」
「何っ!?」
一回戦にてレナがツバサを相手に利用した新しい剣技をシズネは繰り出すと、火炎の魔力を容易く切り裂く。その様子を見てツバサは驚くが、シズネは笑みを浮かべた。
0
お気に入りに追加
16,614
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。