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真・闘技祭編
S級冒険者同士の牽制
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「カンエンにヨクヒか……なるほど、噂で聞いた事があるぜ。どっちも和国ではそれなりに有名な武芸者だとよ」
「それなり……だと?お前、私はともかく姉者まで侮辱したのか?ああん?」
「ヨクヒ、止めなさい」
シュンの言葉にヨクヒはこめかみに青筋を浮かばせ、シュンに対して殺気を放つ。そのヨクヒの行動に姉であるカンエンが叱りつけるが、彼女もシュンの発言に対して思う所はあったのか言い返す。
「我々も貴方の事もご存じですよ。風の剣聖と呼ばれたシュン殿ですね?」
「へえ、俺の名前は和国にまで届いているのか?」
「いいえ、正直に申しまして私達は貴方の名前を知ったのはこの国に訪れてからです。疾風の剣聖と呼ばれたハヤテ殿、破壊剣聖と称されるゴウライ殿の名前は和国にも良く耳にしますが、シュン殿の噂は耳にした事はありません」
「何だと……」
『シュン、こんなくだらない事で取り乱すな』
カンエンの言葉にシュンは彼女を睨みつけるが、それを見たハヤテが落ち着かせる。一方でムサシの方はゴウライに視線を向け、体格は自分よりも劣るはずのゴウライを前にしてムサシは圧倒されていた。
相対しているだけでムサシはゴウライが只者ではない事を嫌でも思い知らされ、大陸最強の剣士と自分が向かい合っている事を知る。一方でゴウライの方もムサシが並の武芸者ではない事を見抜き、面白そうに腕を組む。
「ムサシといったか、どうやらそちらも吾輩に興味があるようだな!!ならばその辺で手合わせを行うか?丁度、吾輩も戦いたくてうずうずしていた所だ!!」
「……いや、遠慮しておく。戦えばこちらも無事では済まなそうだ」
「むう、そうか……」
「おい、そこの褐色肌の女!!お前がこの国で一番強い剣士だな!?」
ムサシに手合わせを断られたゴウライは少しつまらなそうな表情を浮かべるが、彼女に対してヨクヒが声をかける。彼女は槍を掲げると、ゴウライの顔へ向けて刃先を構える。
「ちょうどいい、あたしがこの国へ来たのはレナという男を倒すためだ!!だが、噂によるとお前はそのレナよりも強いらしいな!!なら、お前に勝てばあたしはレナより強いという事だ!!」
「ヨクヒ!?」
「ほう、レナの事を知っているのか!!だが、あの坊主が吾輩より強いかどうかは分からんぞ!!なにしろ一度も戦った事がないからな、まあ恐らくは吾輩の方が強いと思うがな!!あっはっはっはっ!!」
ヨクヒの言葉を聞いてゴウライは彼女がレナの知り合いだと知り、自分に対して臆せずに勝負を挑んできた事に喜ぶ。久しぶりに自分に決闘を挑む相手に巡り合えたことにゴウライは興奮し、背中に抱えていたデュランダルを引き抜こうとした。
しかし、闘技場の通路でゴウライとヨクヒを戦わさせるわけにもいかず、慌てて他の面々が止めに入る。カンエンは槍を構えようとするヨクヒを後ろから羽交い締めで抑え込み、ゴウライに関してもシュンとハヤテが宥める。
「カンエン、落ち着け!!」
「離せ姉者!!私はこいつをぶっ倒すんだ!!」
「馬鹿野郎!!ここで暴れたらマリアの嬢ちゃんに叱られるだろうが!!」
『止めろ馬鹿っ!!こんな所で暴れたら闘技祭の挑戦権も剥奪されかねんだろう!!』
「何!?それは困る、吾輩はどうしても闘技祭に出たい!!小娘よ、悪いが手合わせは無しだ」
「お前達、いい加減にしろ……他の人間の注目を浴びている」
ムサシの呆れた言葉に今更ながらにシュン達は他の観客から注目を浴びている事を気づき、ここで騒ぎを起こせば面倒な事になると判断した双方は武器を治める。しかし、ヨクヒはゴウライを相手に臆せずに堂々と宣言した。
「いいか、あたしは必ずお前も、レナの奴もぶっ倒す。そしてあたしこそが最強だと証明するんだ」
「はははっ!!中々剛毅な娘だ!!気に入ったぞ、確かヨクヒといったな。その名前、覚えておくぞ!!」
「……たくっ、行くぞ」
シュン達はカンエン達の間を潜り抜けると、そのまま通路を歩いていく。一方でヨクヒの方はゴウライの後ろ姿を見送り、完全に姿が見えなくなるのを確認すると、槍を握りしめた両手を確認する。いつの間にか汗でびっしょりと濡れており、ゴウライの姿が見えなくなった途端に彼女は冷や汗を流す。
「くっ……あいつ、何なんだ?普通に話しているだけなのに、まるで猛獣を前にしている感じがした」
「全く、お前の行動にはいつも肝が冷やされるぞ」
「だが、あれがこの国の剣聖たちか……確かに一筋縄ではいかぬようだ」
カンエンは無意識にゴウライの威圧を浴びて追い詰められていたヨクヒの頭を軽く叩き、仮にあのまま戦闘に陥っていたらヨクヒは無事では済まなかっただろう。一方でムサシの方もこの冒険都市を代表とする剣聖と出会えた事は幸運だと判断し、気を引き締め直す。
他国のS級冒険者が遂に集まり、彼女達は国の代表として闘技祭の挑戦権を得ていた。しかし、予定よりも早く冒険都市に訪れたのは闘技祭で戦うはずの各国の武芸者の確認のためであり、冒険都市に入って早々に彼女達はヨツバ王国の剣聖の存在を知った――
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「我々も貴方の事もご存じですよ。風の剣聖と呼ばれたシュン殿ですね?」
「へえ、俺の名前は和国にまで届いているのか?」
「いいえ、正直に申しまして私達は貴方の名前を知ったのはこの国に訪れてからです。疾風の剣聖と呼ばれたハヤテ殿、破壊剣聖と称されるゴウライ殿の名前は和国にも良く耳にしますが、シュン殿の噂は耳にした事はありません」
「何だと……」
『シュン、こんなくだらない事で取り乱すな』
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相対しているだけでムサシはゴウライが只者ではない事を嫌でも思い知らされ、大陸最強の剣士と自分が向かい合っている事を知る。一方でゴウライの方もムサシが並の武芸者ではない事を見抜き、面白そうに腕を組む。
「ムサシといったか、どうやらそちらも吾輩に興味があるようだな!!ならばその辺で手合わせを行うか?丁度、吾輩も戦いたくてうずうずしていた所だ!!」
「……いや、遠慮しておく。戦えばこちらも無事では済まなそうだ」
「むう、そうか……」
「おい、そこの褐色肌の女!!お前がこの国で一番強い剣士だな!?」
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「ちょうどいい、あたしがこの国へ来たのはレナという男を倒すためだ!!だが、噂によるとお前はそのレナよりも強いらしいな!!なら、お前に勝てばあたしはレナより強いという事だ!!」
「ヨクヒ!?」
「ほう、レナの事を知っているのか!!だが、あの坊主が吾輩より強いかどうかは分からんぞ!!なにしろ一度も戦った事がないからな、まあ恐らくは吾輩の方が強いと思うがな!!あっはっはっはっ!!」
ヨクヒの言葉を聞いてゴウライは彼女がレナの知り合いだと知り、自分に対して臆せずに勝負を挑んできた事に喜ぶ。久しぶりに自分に決闘を挑む相手に巡り合えたことにゴウライは興奮し、背中に抱えていたデュランダルを引き抜こうとした。
しかし、闘技場の通路でゴウライとヨクヒを戦わさせるわけにもいかず、慌てて他の面々が止めに入る。カンエンは槍を構えようとするヨクヒを後ろから羽交い締めで抑え込み、ゴウライに関してもシュンとハヤテが宥める。
「カンエン、落ち着け!!」
「離せ姉者!!私はこいつをぶっ倒すんだ!!」
「馬鹿野郎!!ここで暴れたらマリアの嬢ちゃんに叱られるだろうが!!」
『止めろ馬鹿っ!!こんな所で暴れたら闘技祭の挑戦権も剥奪されかねんだろう!!』
「何!?それは困る、吾輩はどうしても闘技祭に出たい!!小娘よ、悪いが手合わせは無しだ」
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「いいか、あたしは必ずお前も、レナの奴もぶっ倒す。そしてあたしこそが最強だと証明するんだ」
「はははっ!!中々剛毅な娘だ!!気に入ったぞ、確かヨクヒといったな。その名前、覚えておくぞ!!」
「……たくっ、行くぞ」
シュン達はカンエン達の間を潜り抜けると、そのまま通路を歩いていく。一方でヨクヒの方はゴウライの後ろ姿を見送り、完全に姿が見えなくなるのを確認すると、槍を握りしめた両手を確認する。いつの間にか汗でびっしょりと濡れており、ゴウライの姿が見えなくなった途端に彼女は冷や汗を流す。
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「全く、お前の行動にはいつも肝が冷やされるぞ」
「だが、あれがこの国の剣聖たちか……確かに一筋縄ではいかぬようだ」
カンエンは無意識にゴウライの威圧を浴びて追い詰められていたヨクヒの頭を軽く叩き、仮にあのまま戦闘に陥っていたらヨクヒは無事では済まなかっただろう。一方でムサシの方もこの冒険都市を代表とする剣聖と出会えた事は幸運だと判断し、気を引き締め直す。
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