不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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真・闘技祭編

各国の代表選手の選抜

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闘技祭の正式な再開の連絡は獣人国にも届き、急遽S級冒険者であるライオネルの元に使者が訪れた。獣人国の国王はライオネルを代表選手として参加させたいらしく、一刻も早く彼に獣人国の王都へ訪れるように指示を出し、更にバルトロス王国から一時帰国していた獣の剣聖「ロウガ」にも代表選手として出場するように要請を受ける。

ライオネルとロウガは闘技祭の参加に関しては引き受けたが、残念ながらこの両名以外に獣人族の戦士の中で闘技祭を勝ち抜けるだけの人材は決まらず、他の代表選手の厳選に時間が掛かっていた。実力が確かな武芸者は存在しないわけでもないが、剣星のロウガやS級冒険者のライオネルに匹敵する人物となると数が限られていた。


一方で獣人国の隣国である和国からも代表選手を選抜して闘技祭に参加する事が正式に決定し、和国の武芸者の中から4名を厳選して闘技祭に出場させる事が決まる。その中にはレナが和国で相対した「ヨクヒ」と「カンエン」も含まれていた。更に他の3名も和国の剣士の中でも選りすぐりの剣士が選抜される。


巨人国に関しては元S級冒険者であるギガン、更に彼の弟子のゴンゾウ、そして現役のS級冒険者であるムサシの参加を表明する。更にあと一人は巨人国の現役の将軍が参加する事が決まり、世界中で闘技祭の話題が広まっていく。



――そして闘技祭の開催地とされている冒険都市では闘技場の改築が行われ、数百人の巨人族と小髭族が集められ、前回の闘技祭で利用された闘技場の大幅な増築を行う。



今回は観客が人間だけではなく、巨人族を出迎える事も考慮して大規模な改築が行われ、更に激しい戦闘が繰り広げられる事を予想し、闘技台に関しても簡単には壊れないように特別な石材を利用して新たな闘技台を作り出す。また、今回の闘技祭は参加希望者が前回よりも上回る事は間違いなく、一般参加者の場合は闘技祭に出場するための条件として冒険都市の闘技場での試合を「10勝」を義務付けられる。

連日のように冒険都市には大勢の武芸者が訪れ、闘技祭に参加するために闘技場で試合に出場し、戦い続ける日々が続く。闘技祭が開催される日は二か月も先だというのに冒険都市には多くの武芸者が訪れ、都市内の全ての宿屋は連日満員となるほどだった。

開催国であるバルトロス王国の王城ではナオが直々に闘技祭の代表選手の厳選を行い、遂に彼女の元にバルトロス王国最強の5人の武芸者が集められた。


「よく来てくれた皆!!この国の未来は君たちの手に掛かっている」
「「はっ」」
「うん、まあ……頑張るよ」
「……期待に答えられるかは分からないけど、全力は尽くすわ」
「…………」


玉座に座り込むナオの前には敬礼を行うジャンヌとレミア、頭を掻きながらも返事を行うレナ、その隣で腕を組みながらも言葉とは裏腹に自信に満ち溢れた態度のシズネ、そして全身をローブで覆い隠した人物が存在した。そんな彼等を見てナオは自分で呼んでおいて何だか本当に大丈夫なのかと思ってしまう。

この場に集まったのは「人間(人族)」の中でも優れた武芸者である事は間違いなく、この5人が現在のバルトロス王国の中でも5本指に入る精鋭と言っても過言ではない。だが、レナ達はその中で一人だけ姿を隠したまま黙り込む人物に疑問を抱く。


「あの、ところで気になってたんだけど、この黒い人は誰?」
「そうね、私も気になっていたわ」
「ああ、うん……やはり気になるか?」


レナとシズネの言葉にナオは頭を掻き、仕方がないとばかりにローブの人物に正体を晒すように促す。するとローブで全身を隠していた者はため息を吐きながらも立ち上がり、その姿をさらす。


「……どうも、お久しぶりね」
「貴女は……!?」
「えっ、どうしてここに!?」
「カノン、大将軍……」
「大将軍!?あの魔銃将軍と呼ばれた!?」


ローブを脱いで姿を現したのは元大将軍にしてレナ達と闘技場で戦闘を繰り広げた「カノン」である事が判明すると、ナオとジャンヌ以外の3人は警戒心を抱く。彼女はイレアビトの部下としてレナ達と交戦しているがのだが、いったい何があったのかカノンの風貌は以前と比べて変わっていた。

現在のカノンは髪の毛が短髪に切りまとめ、服装の方も西部のガンマンを想像させる衣服から何故かナオが所属していたワルキューレ騎士団の制服を身に付けていた。彼女が愛用する二つの魔銃もデザインが微妙に異なり、現在は銀色に染められていた。そのカノンの変わり様にレナ達は驚くが、改めてナオは紹介を行う。


「改めて皆に紹介しよう。ここにいるカノン……いや、シェルは私の直属の騎士団のワルキューレ騎士団に入ったばかりの新人隊員だ」
「え、シェル……?いや、でもこの人って……」
「シェルだ。もう、カノンという人間はこの世にはいない。なあ、そうだろう?」
「……ええ、その通りよ。私の名前はシェル、よろしくお願いします王弟様……」
「えええっ……」


ナオの言葉にシェルは覇気のない表情でレナに頭を下げると、その彼女の態度にレナ達は戸惑い、一方でシズネは納得したように頷く。
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