不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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S級冒険者編

光の精霊

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「ガァアアアアッ……!!」
「いったい何を……」
「あれは……恐らくですが光の精霊を吸収しようとしてるんですね」
「光の精霊!?そんなの聞いた事もないけど……」


リーリスの言葉にダインは驚き、精霊魔法に関してはダインもあまり詳しくはないが、それでも光の精霊という存在は聞いた事もない。リーリスによると光の精霊とは文字通りに光の中でしか存在しえない精霊だという。


「聖属性の魔力をつかさどる精霊……分かりやすくい言えば光の中ならば何処にでも存在する精霊です。ですが、その存在を確認できるのは聖属性の聖痕を持つ者か、あるいは勇者だけだと言われています」
「光の精霊……という事はあいつ、精霊を吸収して何かをしようとしているの?」
「恐らくですが、光の精霊を吸収して魔力を取り戻し、傷を治そうとしています。しかし、あの程度の日の光では完全な回復には時間が掛かるでしょうね」
「そ、それなら今のうちに止めを刺さないと!!」
「待ってください!!」


話を聞いていたダインは影魔法を発動させ、白竜の拘束を行おうとした。弱り切った今の白竜ならばダインの影魔法でも拘束できる可能性は十分にあったが、それをリーリスが抑える。

どうして止めるのかと全員が彼女に振り返ると、弱り切った白竜を見てリーリスは何事かを考えるように俯き、やがてため息を吐き出しながらもレナ達に告げた。


「この白竜は見逃しましょう」
「えっ!?ど、どうして!?」
「この白竜はまだ子供、もしも下手に殺せば親を刺激するかもしれません」
「こいつが子供!?」
「……言われてみれば確かに前に出あった個体とは違うわね」


ここまで苦労して追い詰めたというのに見逃せというリーリスの言葉にレナ達は驚くが、彼女によると襲撃を仕掛けた白竜の正体は成体ではないらしく、もしも手を出したら親の成体の白竜が現れる可能性があった。


「前にも言いましたが、この階層には3体の白竜が存在します。この白竜はその中でも一番幼い個体で血気盛んなんですよ。それにここで殺してしまったら白竜はもう絶滅するかもしれません」
「絶滅!?」
「最強の竜種と呼ばれる白竜ですが、現在では外の世界ではもう確認されていません。ここでこの白竜を殺せば他の2体が年齢を考えても新しい卵を産める可能性も低いですし、ここまでご迷惑をお掛けして申し訳ありませんが見逃してくれませんか?」
「……どうする?」
「どうするって……こいつ、放っておいたらまた僕達を襲うんじゃないのか!?」
「大丈夫です、そこはちゃんと躾けますから……それにほら、時間を稼いだお陰で装置の再起動も完了しました」


リーリスは会話の途中で施設の方を指差すと、建物の中からゴーレムを想像させる形をした人型のロボットが数体出現した。建物から急に現れた謎のロボットたちにレナ達は戸惑うが、リーリスが説明を行う。


「この子達は私のサポートを行う自動自立型のロボットです。名前はゴレムと言います」
『ゴローン!!』
「うわ、なんだこいつら……ゴーレムか!?」
「見た事もない種ね……」
「セイソウミンブラザーズ、放水準備」
『ぷるるんっ』
「止めてくださいよ!!デリケートな子達なんですから水を掛けたら壊れるかもしれません!!」
「あ、そこは防水仕様じゃないんだ……まるで本物のゴーレムだな」


ゴーレムを模したとしか思えない外見のロボットが次々と現れると、早速彼等は破壊された建物の修繕を開始した。どうやら工務用のロボットらしく、材料を運び出しては協力して壁の修理を行う。幸いにも建物の被害は表面の壁が削られた程度で済み、この調子ならば修理に時間は掛からないという。

ゴレムと呼ばれたロボットたちは続けて洞窟内のあちこちに散らばり、両手をドリルのような形に変形させると、唐突に地面を掘り始める。そして彼等が掘り出した場所から機器のような物が出現し、それが恐らくはこの洞窟内に存在する魔力を吸収する装置だと思われた。


「ほら、見てください。ゴレム達が修理を開始ししたのでしばらくすれば装置も治るでしょう。装置さえ作動すればどんな魔物も侵入してくる事はないので安心してください」
「安心しろといわれても……」
「どうするの、レナ?貴方が決めなさい」
「う~ん……」


リーリスの言葉にレナは白竜に振り返ると、白竜の方は弱々しく身体を震わせ、天井から降り注ぐ日の光に当たっていた。このまま放置していればいずれ回復するらしいが、それでも完全に治るまで相当な時間が必要だろう。

ここで白竜に止めを刺すべきか、あるいはリーリスの言う通りに見逃すかを考え、レナは仕方がないとばかりに皆に振り返って告げる。


「とりあえず……こいつの素材だけでも剥ぎ取っておこうか」
『えっ……』


まさかの発言に全員が呆気に取られた表情を浮かべるが、ここまで苦労させられたのに黙って見逃す事は出来なかった。




※ちなみにこの白竜の名前は「ハク」です。機嫌が悪かっただけで、根は良い子ですよ

ハク「キャウンッ(もう悪さしないから許して)」(´;ω;`)
レナ「ふふふ……どうしてくれようか」( ゚ω ゚)←悪い笑顔



漫画版の更新に関しては南条アキマサ氏の体調不良継続により、当面の間は更新に関しては延期となります。
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