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S級冒険者編

白竜戦

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「私も負けてられない……セイソウブラザーズ、放水!!」
『ぷるるるんっ!!』
「うわ、何処から連れてきたそいつら!?」


コトミンは頭、量肩、両手にセイソウミン達を乗せて走り出すと、白竜に向けて大量の水を吐き出させる。どうやら施設を抜け出す前に連れてきたらしく、事前に水分をためていたセイソウミン達は白竜に向けて一斉に水を放つ。

結果から言えばセイソウミンが放出した水は白竜の右足をせいぜい濡らす程度に収まったが、それを確認したシズネは即座に雪月花を振りかざし、水浸しになった白竜の右足に目掛けて刃を放つ。


「氷華!!」
「ガアッ……!?」
「やった!!動きを封じたぞ!!」


白竜の右足が雪月花の氷の花を想像させる冷気の塊を受けて凍り付き、その様子を見たダインは影人形を操作しながらしっかりと白竜の尻尾を抑えつける。これで右足が地面に固定し、尻尾を掴まれた白竜は動作を封じられ、絶好の攻撃の好機だった。

リーリスの方も即座に飛行ユニットを展開させて白竜の背後に迫り、首の後ろに目掛けて両手を構えると腕鉄甲のような機器が出現して網を放つ。


「これで吐息は撃てませんよ!!」
「フガァッ!?」


金属製の網によって顔面を拘束された白竜は口元を開く事が出来ず、必死に振り払おうとするがリーリスの方も全力で抑え込む。その隙にレナとゴンゾウが駆け出すと、二人は同時に左足に目掛けて渾身の一撃を放つ。


「回転撃!!」
「金剛撃!!」
「アガァッ!?」


鈍い音が鳴り響き、レナの退魔刀とゴンゾウの闘拳が白竜の左足を左右から叩きつける。流石に切断や破壊には至らなかったが、それでも確実に骨に罅を与えた。更に二人は続けて攻撃を繰り出そうとすると、白竜が怒りを露にして翼を広げる。

両翼を広げた際の風圧によって白竜に張り付いていたシズネとリーリスが吹き飛ばされ、その余波で口元を封じていた金属製の網が外れてしまい、更に白竜は全身を銀色の光に覆われていく。


「アァアアアッ……!!」
「うわぁっ!?ぼ、僕の影人形が……!!」


尻尾を抑えつけていたダインの影人形は白竜の放つ光を浴びた瞬間に形が崩れ去り、影人形を操作していたダインも影響を受ける。肉体的には特に変わりはないが、ダインの魔力は一気に消耗してしまい、彼は膝を付いてしまう。その様子を見てコトミンはセイソウミンを利用して自分が囮となるために攻撃を仕掛けた。


「水飛沫!!」
『ぷるしゃあっ!!』


白竜の傷を受けた左足に目掛けてコトミンは身体をひねらせるようにセイソウミンの口から吐き出す水を撃ち込むと、白竜の左足が濡れて足元が滑り、巨体が揺らぐ。


「オオッ……!?」
「くっ……今よ!!」
「うおおおっ!!」
「はあああっ!!」


ゴンゾウとレナはバランスが崩れた白竜に目掛けて動き出し、ゴンゾウは両拳を合わせて白竜の凍り付いた右足に放ち、一方でレナの方も退魔刀を回転させながら放つ。二人の攻撃が同時に衝突すると、凍り付いた白竜の右足に亀裂が走り、白竜は目を見開く。


「オァアアアアッ!?」
「まずい、吐息を放って周囲を吹き飛ばすつもりです!!どうにか止めてください!!」


白竜は右足を砕かれるのを恐れて口を開き、光り輝かせると地面に叩きつけられたリーリスが注意を行う。その言葉を聞いてレナは即座に攻撃を加えようとしたが、ここで耳元に誰かの足跡が聞こえてきた。

最初はコトミンかと思ったが、レナの視界にはダインの介抱を行う彼女の姿が見えたため、別人の足音だと気づく。シズネやゴンゾウでもなく、リーリスではないとなると残された人間は一人しかいない。


「はあああっ!!」
「ミナ!?」
「アガァアアアッ……!?」


駆けつけてきたのは宝石のように光り輝く刃の槍を持ったミナである事が判明し、彼女は「レジェンドスピア」を抱えながら白竜に向かうと、光線を発射する前に口元に目掛けて放つ。


「せいりゃあっ!!」
「ッ――!?」


光線が発射される寸前、槍を口内に放たれた白竜の目が見開き、次の瞬間に口内に刺さった槍によって光線が拡散してしまう。いくつもの光の筋が周囲へ散らばり、結果から言えば白竜は光線を吐き出せ切れずに後ろ向きに倒れ込む。

白竜は口の中に入り込んだレジェンドスピアを吐き出そうとするが、光線をまともに浴びたレジェンドスピアが光り輝き、それを確認したレナは即座に「鑑定眼」の固有スキル発動させてレジェンドスピアの詳細を調べる。


(あの槍は……そういう事か!!)


鑑定眼の能力でレジェンドスピアの能力を確かめると、レナは急いで白竜の身体を駆け上り、自分の手にした退魔刀を物質変換の能力で変形させて聖剣を作り出す。但し、今回のレナが作り出した聖剣は破壊力に特化した「カラドボルグ」ではなく、かつて白竜の住処に存在した聖剣エクスカリバーを作り出す。
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