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S級冒険者編
古城へ
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「一緒に転移するのは無理でしょう。さっき見た限りだと、転移魔法陣を利用して転移するようだけど魔法陣の大きさから考えても人間一人が転移するのが限界なんでしょう?」
「そうですね、魔力を送り込む量を調整すれば他の人間も連れていく事は出来ますけど、負担が大きくなるのでお勧めはしませんね」
「仕方ない、なら諦める」
「じゃあ、とりあえず俺一人だけでも行ってくるね」
レナは腕輪に視線を向けると、効果は確かめたので今度は第三階層の古城へ転移するために意識を集中させる。ホネミンと出会った場所なので記憶は根強く残っており、移動したい場所を念じて転移を発動させた。
「転移!!」
「うわっ――!?」
再び魔法陣が出現するとレナの身体を飲み込み、全員の目の前でレナは姿を消した――
――転移魔法陣を潜り抜けたレナは今度は空中に転移した場合に備えて身構えていたのだが、今回は上手く成功したのか石製の床の上に転移していた。暗闇に覆われていたのでレナは光球の魔法を発動させて周囲を照らすと、自分が間違いなく第三階層の古城へと転移した事を確認する。
「転移成功か……それにしても相変わらずちょっと不気味だな」
古城の中に潜り込めたのは良いが、現在は誰も住んでいないため明かりはなく、レナは城の中を歩き回る。ホネミンの言葉によると地下の方に魔石が保管されているそうだが、久々に訪れたので道に迷ってしまう。
「あれ、ここ通ったっけ?前の時はホネミンがいたから道案内してくれたけど……ここって思ったよりもかなり広いんだな」
元々は城であるために建物の内部は広く、通路の方も複雑なために迷子になってしまう。幸いにも古城の中にまでは魔物は入り込めず、急に襲われる心配がない事だけが救いだった。老朽化が原因で天井や壁が崩れた場所も存在するが、どうにかレナは目的地と思われる扉の前に辿り着く。
扉はホネミンが描いたのかアイリスのような似顔絵が記され、ご丁寧にその隣には髑髏が書き込まれていた。一見するだけでは天使のように翼を生やした女性に髑髏が微笑みかけているように見えないが、この髑髏の正体はホネミンの似顔絵だろうと判断したレナは扉を開く。例によって鍵が施されていたが、そこは錬金術師の能力で解除を行う。
「開けゴマ!!」
『ネタが古いですよ!!』
「あれ、今この似顔絵が喋ったような……気のせいか」
アイリスの幻聴が聞こえたような気がしたが、それを無視してレナは扉を開くと地下に繋がる階段が存在した。随分と下まで続いているらしく、歩き続けて少し疲れていたレナは更に階段を下りる事にだるさを覚えながらも降りていく。
ここまで苦労したのだから価値のあるお宝が眠っていなければ、治療カプセルに入っているホネミンを叩き起こそうかと物騒な考えを頭の中に巡らせながらもレナは階段を下り切ると、再び巨大な扉が立ち塞がった。こちらの方も鍵を開いて中を開くと、そこには思いがけぬ光景が広がっていた。
「えっ……何だこれ?宝物庫?」
どうやら古城の宝物庫と思われる場所にレナは辿り着き、その場所には大量の「宝箱」が並べられていた。文字通りにRPGでは定番の宝箱の形をした箱が並べられ、中には木造性だけではなく、金属製の箱も存在する。
「何だこのあからさまな箱は……この城を作った人の趣味なのか?」
一目見ただけで宝箱とわかる形状の木箱に手を置いたレナは戸惑いながらも中身を開こうとした時、不意に嫌な予感を覚えて宝箱を開いた瞬間に身を逸らす。結果としてそれが功を奏して宝箱を開いた瞬間に中から矢が放たれ、天井に突き刺さった。
身を逸らしてなければ危うく頭を貫かれているところだったレナは冷や汗を流し、宝箱を覗いてみるとどうやら箱の中にボーガンが設置されていた。どうやら罠だったらしく、少し焦ったレナは宝箱を元に戻すと額の汗を拭う。
「あ、危なかった……危うく死にかけたぞ!?なんでこんなものが……ん?」
最初に開くときに気づかなかったが宝箱の表面には「×」というマークが刻まれている事にレナは気づき、よくよく観察すると他の宝箱にも御内情なマークが刻まれていた。どうやらホネミンが記した物らしく、罠が仕掛けられている箱には「×」が記されている様子だった。
「なるほど、そういう事か!!全く、なんでこんな罠が仕掛けられているんだよ……そういう事は最初から教えろよ」
マークの意味を察したレナはホネミンに文句を言いながらも宝箱を開くときは事前にマークを確認してから開く事を決めると、次の宝箱を開こうとした。罠が仕掛けられているのは「×」だと判明したため、こちらのマークが刻まれていない宝箱を探していると、ここであるマークが刻まれた宝箱を発見した。
「……えっ、これどっちの意味だろう。開けちゃ駄目という事かな?それとも大丈夫なのか?」
レナの目の前には「髑髏」のマークが刻まれた宝箱が存在し、普通の人間ならばこのマークを見たら罠が仕掛けられていると思うだろう。しかし、ホネミンの事を知っているレナとしてはこれが彼女の似顔絵だとしたら逆に安全なのかと考えてしまうが、迷った末にレナは宝箱を開く。
「そうですね、魔力を送り込む量を調整すれば他の人間も連れていく事は出来ますけど、負担が大きくなるのでお勧めはしませんね」
「仕方ない、なら諦める」
「じゃあ、とりあえず俺一人だけでも行ってくるね」
レナは腕輪に視線を向けると、効果は確かめたので今度は第三階層の古城へ転移するために意識を集中させる。ホネミンと出会った場所なので記憶は根強く残っており、移動したい場所を念じて転移を発動させた。
「転移!!」
「うわっ――!?」
再び魔法陣が出現するとレナの身体を飲み込み、全員の目の前でレナは姿を消した――
――転移魔法陣を潜り抜けたレナは今度は空中に転移した場合に備えて身構えていたのだが、今回は上手く成功したのか石製の床の上に転移していた。暗闇に覆われていたのでレナは光球の魔法を発動させて周囲を照らすと、自分が間違いなく第三階層の古城へと転移した事を確認する。
「転移成功か……それにしても相変わらずちょっと不気味だな」
古城の中に潜り込めたのは良いが、現在は誰も住んでいないため明かりはなく、レナは城の中を歩き回る。ホネミンの言葉によると地下の方に魔石が保管されているそうだが、久々に訪れたので道に迷ってしまう。
「あれ、ここ通ったっけ?前の時はホネミンがいたから道案内してくれたけど……ここって思ったよりもかなり広いんだな」
元々は城であるために建物の内部は広く、通路の方も複雑なために迷子になってしまう。幸いにも古城の中にまでは魔物は入り込めず、急に襲われる心配がない事だけが救いだった。老朽化が原因で天井や壁が崩れた場所も存在するが、どうにかレナは目的地と思われる扉の前に辿り着く。
扉はホネミンが描いたのかアイリスのような似顔絵が記され、ご丁寧にその隣には髑髏が書き込まれていた。一見するだけでは天使のように翼を生やした女性に髑髏が微笑みかけているように見えないが、この髑髏の正体はホネミンの似顔絵だろうと判断したレナは扉を開く。例によって鍵が施されていたが、そこは錬金術師の能力で解除を行う。
「開けゴマ!!」
『ネタが古いですよ!!』
「あれ、今この似顔絵が喋ったような……気のせいか」
アイリスの幻聴が聞こえたような気がしたが、それを無視してレナは扉を開くと地下に繋がる階段が存在した。随分と下まで続いているらしく、歩き続けて少し疲れていたレナは更に階段を下りる事にだるさを覚えながらも降りていく。
ここまで苦労したのだから価値のあるお宝が眠っていなければ、治療カプセルに入っているホネミンを叩き起こそうかと物騒な考えを頭の中に巡らせながらもレナは階段を下り切ると、再び巨大な扉が立ち塞がった。こちらの方も鍵を開いて中を開くと、そこには思いがけぬ光景が広がっていた。
「えっ……何だこれ?宝物庫?」
どうやら古城の宝物庫と思われる場所にレナは辿り着き、その場所には大量の「宝箱」が並べられていた。文字通りにRPGでは定番の宝箱の形をした箱が並べられ、中には木造性だけではなく、金属製の箱も存在する。
「何だこのあからさまな箱は……この城を作った人の趣味なのか?」
一目見ただけで宝箱とわかる形状の木箱に手を置いたレナは戸惑いながらも中身を開こうとした時、不意に嫌な予感を覚えて宝箱を開いた瞬間に身を逸らす。結果としてそれが功を奏して宝箱を開いた瞬間に中から矢が放たれ、天井に突き刺さった。
身を逸らしてなければ危うく頭を貫かれているところだったレナは冷や汗を流し、宝箱を覗いてみるとどうやら箱の中にボーガンが設置されていた。どうやら罠だったらしく、少し焦ったレナは宝箱を元に戻すと額の汗を拭う。
「あ、危なかった……危うく死にかけたぞ!?なんでこんなものが……ん?」
最初に開くときに気づかなかったが宝箱の表面には「×」というマークが刻まれている事にレナは気づき、よくよく観察すると他の宝箱にも御内情なマークが刻まれていた。どうやらホネミンが記した物らしく、罠が仕掛けられている箱には「×」が記されている様子だった。
「なるほど、そういう事か!!全く、なんでこんな罠が仕掛けられているんだよ……そういう事は最初から教えろよ」
マークの意味を察したレナはホネミンに文句を言いながらも宝箱を開くときは事前にマークを確認してから開く事を決めると、次の宝箱を開こうとした。罠が仕掛けられているのは「×」だと判明したため、こちらのマークが刻まれていない宝箱を探していると、ここであるマークが刻まれた宝箱を発見した。
「……えっ、これどっちの意味だろう。開けちゃ駄目という事かな?それとも大丈夫なのか?」
レナの目の前には「髑髏」のマークが刻まれた宝箱が存在し、普通の人間ならばこのマークを見たら罠が仕掛けられていると思うだろう。しかし、ホネミンの事を知っているレナとしてはこれが彼女の似顔絵だとしたら逆に安全なのかと考えてしまうが、迷った末にレナは宝箱を開く。
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