942 / 2,085
S級冒険者編
リーリスとの戦闘
しおりを挟む
――リーリスの要望通りにレナは訓練場に移動すると、その殺風景な風景に驚かされる。訓練場といっても鍛錬器具は一切存在せず、学校の体育館程度の広さを誇っていた。地面や天井はコンクリートのような素材で形成されているが、ただのコンクリートではないのかレナが力任せに大剣を叩きつけても掠り傷程度しか与えられない。
「どうですか?中々広いでしょう、ここは勇者が訓練する事を想定して作り出された場所なので簡単には壊れませんよ」
「なるほど、確かに思いっきり戦えそうだけど……これ、どういう素材なの?」
「地球のコンクリートを参考にして作り出された特殊な素材です。そこいらの竜種が暴れても壊れる事はないので安心してください」
「なるほど、それなら安心だ」
竜種級の存在が暴れたとしても壊れないのならばレナが聖剣を作り出して攻撃しても問題はなく、そもそも聖剣を扱う機会が訪れるかは分からない。退魔刀と大太刀を引き抜いたレナはリーリスと向かい合うと、彼女は素手のままで向き直る。
いきなり勝負を挑まれた時は驚いたが、リーリスによると彼女は久しく戦闘訓練を行っていなかったので自分の力を試したいらしい。元々は勇者のサポート役として作り出された彼女だが、勇者の育成のための練習相手として戦う事を想定され、戦闘機能も搭載されているという。
「さあ、遠慮しないで思いっきり戦ってくださいね!!私も手加減はしませんから!!」
「どうなっても知らないぞ……壊れた時はどうするの?」
「大丈夫です、その時はスペアがありますから!!」
「スペアあるの!?」
冗談なのか本気で言っているのかは分からないがリーリスも引く気はないらしく、彼女は身構えるとレナも両手の剣を構える。見た限りではリーリスには何らかの武術を極めた達人のような雰囲気は感じられないが、仮にも勇者の練習相手を自称するので戦闘能力は高いのだろう。
勇者と実際に会ったことがないのでレナは勇者がどの程度の存在なのかは計りかねるが、仮想世界で最後に戦った相手はリーリスによると勇者に匹敵する力を持つ存在という。ちなみに氷竜の中に入っていた人間の正体までは聞かされておらず、レナは知らず知らずに勇者級の実力を持つ相手と戦っていた事になる。
(さあ、どう動くかな……とりあえず、近づいてみるか)
レナはリーリスの様子を確認しながら近づこうとした瞬間、一瞬にしてリーリスの姿が消えた。その光景にレナは目を見開き、いったい何処に消えたのかと探す。
(消えた!?まさか、高速移動!?)
姿が消えてしまったリーリスをレナは慌てて探すが、周囲を見渡しても彼女の影も形も確認できず、焦りを抱く。しかし、ここでレナはある疑問を抱いて試しに瞼を閉じて「心眼」を発動させる。
視覚を封じる事で五感を研ぎ澄ませ、心の目で相手の動きを読む。やがてレナはこっそりと自分の背後に近付く存在を感知すると、後方に向けて剣を放つ。
「そこかっ!!」
『おっと、気づかれましたか!?』
背中に大剣を振りかざすとリーリスの声が響き、彼女はどうやらカメレオンのように周囲の風景に擬態して姿を隠していたらしく、迷彩機能とでも言えば良いのか見事に姿を隠蔽していた。それを確認したレナは彼女に追撃を加えようと大太刀を構えると、リーリスは今度は何処から取り出したのか拳銃のような武器を取り出す。
「発砲!!」
「あぶなっ!?」
リボルバー式のマグナムのような銃器を取り出したリーリスは容赦なく発砲を行い、慌ててレナは頭を伏せて弾丸を回避する。まさか銃を取り出すとは予想外だったが、事前にリーリスの動作を確認して回避行動を取っていれば避けるのは容易い。
銃弾さえも躱したレナに対してリーリスは焦る様子もなく銃器を投げ捨てると、今度はレイピアのような武器を取り出す。ここでレナはリーリスが取り出した武器は先ほどの彼女のように迷彩機能で隠蔽していた事を見抜き、最初から彼女は複数の武器を所持していた事を見抜く。
「シル……いえ、ホワイトチャリオッツです!!」
「その名前はマジで止めろ!!」
危うくとんでもない名前を口にしそうになったリーリスだが、見事なレイピア捌きでレナに鋭い突きを繰り出す。しかし、純粋な剣技ならばシズネが勝り、普段から彼女と組み手を行っているレナにとってはリーリスの放つ突きなど簡単に対処できた。
大太刀を振り上げてレイピアを弾くと、リーリスは武器を失って後退する。そして次に取り出した彼女の武器は「ガトリング砲」だった。
「これが私のとっておき、リーリス・ガトリングです!!」
「ちょ、それありか!?」
「安心してください、全てゴム弾ですので死ぬことはありません!!多分ですけど!!」
「いや、ゴム弾でも普通に死ぬわ!!」
「問答無用!!うりゃあああっ!!」
リーリスはガトリング砲を撃ち込んだ瞬間、仕方なくレナは掌を前に差し出して黒渦を作り出す。そして黒渦を利用して撃ち込まれた弾丸を異空間に取り込む。
※な、何だこのアンドロイド……サイコ〇スか!?
「どうですか?中々広いでしょう、ここは勇者が訓練する事を想定して作り出された場所なので簡単には壊れませんよ」
「なるほど、確かに思いっきり戦えそうだけど……これ、どういう素材なの?」
「地球のコンクリートを参考にして作り出された特殊な素材です。そこいらの竜種が暴れても壊れる事はないので安心してください」
「なるほど、それなら安心だ」
竜種級の存在が暴れたとしても壊れないのならばレナが聖剣を作り出して攻撃しても問題はなく、そもそも聖剣を扱う機会が訪れるかは分からない。退魔刀と大太刀を引き抜いたレナはリーリスと向かい合うと、彼女は素手のままで向き直る。
いきなり勝負を挑まれた時は驚いたが、リーリスによると彼女は久しく戦闘訓練を行っていなかったので自分の力を試したいらしい。元々は勇者のサポート役として作り出された彼女だが、勇者の育成のための練習相手として戦う事を想定され、戦闘機能も搭載されているという。
「さあ、遠慮しないで思いっきり戦ってくださいね!!私も手加減はしませんから!!」
「どうなっても知らないぞ……壊れた時はどうするの?」
「大丈夫です、その時はスペアがありますから!!」
「スペアあるの!?」
冗談なのか本気で言っているのかは分からないがリーリスも引く気はないらしく、彼女は身構えるとレナも両手の剣を構える。見た限りではリーリスには何らかの武術を極めた達人のような雰囲気は感じられないが、仮にも勇者の練習相手を自称するので戦闘能力は高いのだろう。
勇者と実際に会ったことがないのでレナは勇者がどの程度の存在なのかは計りかねるが、仮想世界で最後に戦った相手はリーリスによると勇者に匹敵する力を持つ存在という。ちなみに氷竜の中に入っていた人間の正体までは聞かされておらず、レナは知らず知らずに勇者級の実力を持つ相手と戦っていた事になる。
(さあ、どう動くかな……とりあえず、近づいてみるか)
レナはリーリスの様子を確認しながら近づこうとした瞬間、一瞬にしてリーリスの姿が消えた。その光景にレナは目を見開き、いったい何処に消えたのかと探す。
(消えた!?まさか、高速移動!?)
姿が消えてしまったリーリスをレナは慌てて探すが、周囲を見渡しても彼女の影も形も確認できず、焦りを抱く。しかし、ここでレナはある疑問を抱いて試しに瞼を閉じて「心眼」を発動させる。
視覚を封じる事で五感を研ぎ澄ませ、心の目で相手の動きを読む。やがてレナはこっそりと自分の背後に近付く存在を感知すると、後方に向けて剣を放つ。
「そこかっ!!」
『おっと、気づかれましたか!?』
背中に大剣を振りかざすとリーリスの声が響き、彼女はどうやらカメレオンのように周囲の風景に擬態して姿を隠していたらしく、迷彩機能とでも言えば良いのか見事に姿を隠蔽していた。それを確認したレナは彼女に追撃を加えようと大太刀を構えると、リーリスは今度は何処から取り出したのか拳銃のような武器を取り出す。
「発砲!!」
「あぶなっ!?」
リボルバー式のマグナムのような銃器を取り出したリーリスは容赦なく発砲を行い、慌ててレナは頭を伏せて弾丸を回避する。まさか銃を取り出すとは予想外だったが、事前にリーリスの動作を確認して回避行動を取っていれば避けるのは容易い。
銃弾さえも躱したレナに対してリーリスは焦る様子もなく銃器を投げ捨てると、今度はレイピアのような武器を取り出す。ここでレナはリーリスが取り出した武器は先ほどの彼女のように迷彩機能で隠蔽していた事を見抜き、最初から彼女は複数の武器を所持していた事を見抜く。
「シル……いえ、ホワイトチャリオッツです!!」
「その名前はマジで止めろ!!」
危うくとんでもない名前を口にしそうになったリーリスだが、見事なレイピア捌きでレナに鋭い突きを繰り出す。しかし、純粋な剣技ならばシズネが勝り、普段から彼女と組み手を行っているレナにとってはリーリスの放つ突きなど簡単に対処できた。
大太刀を振り上げてレイピアを弾くと、リーリスは武器を失って後退する。そして次に取り出した彼女の武器は「ガトリング砲」だった。
「これが私のとっておき、リーリス・ガトリングです!!」
「ちょ、それありか!?」
「安心してください、全てゴム弾ですので死ぬことはありません!!多分ですけど!!」
「いや、ゴム弾でも普通に死ぬわ!!」
「問答無用!!うりゃあああっ!!」
リーリスはガトリング砲を撃ち込んだ瞬間、仕方なくレナは掌を前に差し出して黒渦を作り出す。そして黒渦を利用して撃ち込まれた弾丸を異空間に取り込む。
※な、何だこのアンドロイド……サイコ〇スか!?
0
お気に入りに追加
16,615
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。