912 / 2,083
S級冒険者編
水竜との戦闘
しおりを挟む
「凍り付きなさい!!」
「シャアッ!?」
雪月花の力を使ってシズネは湖の水面を凍結化させると、水竜の元にまで氷が迫る。しかし、それを見た水竜は危険を察すると岸部から離れてしまう。それを見たシズネは額に汗を流しながら雪月花を引き抜き、距離を開いた水竜を睨みつけた。
「くっ……流石にこれ以上に離れられると凍り付かせるのは無理ね、私の魔力が先に無くなりそうだわ」
「でも、いい足場が出来たよ」
「これなら近づけるな」
水面が凍り付いたことでレナ達は湖の上を歩くことが可能となり、雪月花で凍結化させた水面はゴンゾウが踏み込んでも壊れないほどの強度を誇った。足場さえあれば水竜に近付く事も出来るため、滑らないように気を付けながらレナとゴンゾウは踏み込む。
「よし、行くぞゴンちゃん!!」
「おうっ!!」
「ま、待って!!僕も行くよ!!」
レナとゴンゾウは走り出すと、その後にミナも続き、遅れて残りの人間も追いかけた。凍り付いた水面を利用して接近するレナ達に対して水流は髭を震わせると、口を開いて光線の如き勢いで水を放つ。
「アガァアアアッ!!」
「水の吐息か!!」
「ぐうっ!?」
「うわぁっ!?」
アクアレーザーのように放出された超高圧の水に対してレナ達は回避するしかなく、折角作り出した氷の足場が真っ二つに切り裂かれてしまう。その威力は下手をしたら火竜の熱線よりも上回り、少なくとも貫通力という点においては最高の威力を誇る。
水を吐き出すといっても圧縮して超高速に放てばその威力は馬鹿には出来ず、しかも水竜の放つ水には遺物も交じっているのか尋常ではない切断力を誇った。ウォータージェットのような道具が放つ水には研磨材を含ませる事で切断力を増しているという話はレナも聞いたことがあったが、切断された箇所を見てレナは水竜の放った水には魚の鱗のような物が混じっている事に気づいた。
(こいつ、自分の食べた魚の鱗を体内に保管でもしてるのか!?)
魚の鱗を研磨材代わりに利用して水流は水の吐息を放ち、攻撃範囲が他の竜種よりも狭い分、威力は特化した吐息を撃てる事が発覚した。だが、原理が分かったところで対策法は簡単には思いつかず、水竜が生み出す水の吐息を発射される前に回避するか、あるいはその行動を阻止する以外に方法はない。
「シャアアッ……!!」
「まずいっ!?レナ、今度は尾が来るぞ!!」
「尾って……尻尾か!?」
「うわわっ!?」
二つに切り裂かれた足場の片面に向けて水竜は今までに水中に隠れていた尻尾を水面に浮上させると、そのままレナ達が乗り込んでいる足場に向けて振り下ろす。レナとゴンゾウとミナは直撃は避けられたが、足場として利用していた氷塊は強烈な衝撃を受けて砕け散ってしまい、粉々に散らばってしまう。
「うわっと……」
「おっとっとっ!?」
「のわぁっ!?」
持ち前の身軽さでレナとミナはどうにか砕かれた氷塊の中から自分が乗り込めるほどの大きさの氷塊に着地するが、ゴンゾウの場合は巨体である事と二人ほどの身軽さを持ち合わせていない彼は水中に沈んでしまう。それを見たコトミンが救助のために水中に潜り込む。
「ゴンゾ、助けてくる!!」
「コトミン!?」
『駄目です、迂闊に潜ったら水竜の餌食になりますよ!!』
「シャアアッ!!」
水中に落ちたゴンゾウとコトミンを見て水竜は標的を変更し、地震も水中に潜って沈んでいくゴンゾウとコトミンを追う。人魚族であるコトミンはすぐにゴンゾウに追いつく事は出来たが、巨体でしかも装備も身に付けているゴンゾウを抱えて水上に浮上するのには時間が掛かり、その間にも水竜は迫ってきていた。
『シャアアッ……!!』
『っ……!?』
水中で逃げ場がないコトミンはどうにかゴンゾウを抱えて距離を離そうとしたが、水竜の方が移動速度が速く、徐々に追いつかれてしまう。だが、水竜が二人に追いつく前に別の場所から水中に潜りこむ存在が現れ、それは雪月花を構えたシズネとレナだった。
逃げ惑うコトミンとゴンゾウから水竜は視線を逸らすと、水中に入り込んだレナとシズネに視線を向け、特に先ほど自分を凍り付かせようとしたシズネの姿を見て怒りを抱いた水竜は顎が引きちぎられかねないほどに開いてシズネに迫る。その光景を見てシズネは雪月花を構えるが、このような周囲が水に覆われた場所で雪月花の能力を解放すれば彼女も凍り付いてしまう。
『アガァアアアッ!!』
『……ごぼぉっ!!(今よっ!!)』
『ほぶかいっ(了解)』
しかし、迫りくる水竜に対してシズネと共に落ちたレナは掌を上に構えると、風の聖痕の力を発動させて水中で渦を作り出す。周囲が水で覆われた空間では聖痕の力を発揮するのは難しいが、事前に聖痕に蓄えていた魔力を利用してレナは水の中で渦潮を作り出し、水上に存在するはずのダインに合図を送った。
「シャアッ!?」
雪月花の力を使ってシズネは湖の水面を凍結化させると、水竜の元にまで氷が迫る。しかし、それを見た水竜は危険を察すると岸部から離れてしまう。それを見たシズネは額に汗を流しながら雪月花を引き抜き、距離を開いた水竜を睨みつけた。
「くっ……流石にこれ以上に離れられると凍り付かせるのは無理ね、私の魔力が先に無くなりそうだわ」
「でも、いい足場が出来たよ」
「これなら近づけるな」
水面が凍り付いたことでレナ達は湖の上を歩くことが可能となり、雪月花で凍結化させた水面はゴンゾウが踏み込んでも壊れないほどの強度を誇った。足場さえあれば水竜に近付く事も出来るため、滑らないように気を付けながらレナとゴンゾウは踏み込む。
「よし、行くぞゴンちゃん!!」
「おうっ!!」
「ま、待って!!僕も行くよ!!」
レナとゴンゾウは走り出すと、その後にミナも続き、遅れて残りの人間も追いかけた。凍り付いた水面を利用して接近するレナ達に対して水流は髭を震わせると、口を開いて光線の如き勢いで水を放つ。
「アガァアアアッ!!」
「水の吐息か!!」
「ぐうっ!?」
「うわぁっ!?」
アクアレーザーのように放出された超高圧の水に対してレナ達は回避するしかなく、折角作り出した氷の足場が真っ二つに切り裂かれてしまう。その威力は下手をしたら火竜の熱線よりも上回り、少なくとも貫通力という点においては最高の威力を誇る。
水を吐き出すといっても圧縮して超高速に放てばその威力は馬鹿には出来ず、しかも水竜の放つ水には遺物も交じっているのか尋常ではない切断力を誇った。ウォータージェットのような道具が放つ水には研磨材を含ませる事で切断力を増しているという話はレナも聞いたことがあったが、切断された箇所を見てレナは水竜の放った水には魚の鱗のような物が混じっている事に気づいた。
(こいつ、自分の食べた魚の鱗を体内に保管でもしてるのか!?)
魚の鱗を研磨材代わりに利用して水流は水の吐息を放ち、攻撃範囲が他の竜種よりも狭い分、威力は特化した吐息を撃てる事が発覚した。だが、原理が分かったところで対策法は簡単には思いつかず、水竜が生み出す水の吐息を発射される前に回避するか、あるいはその行動を阻止する以外に方法はない。
「シャアアッ……!!」
「まずいっ!?レナ、今度は尾が来るぞ!!」
「尾って……尻尾か!?」
「うわわっ!?」
二つに切り裂かれた足場の片面に向けて水竜は今までに水中に隠れていた尻尾を水面に浮上させると、そのままレナ達が乗り込んでいる足場に向けて振り下ろす。レナとゴンゾウとミナは直撃は避けられたが、足場として利用していた氷塊は強烈な衝撃を受けて砕け散ってしまい、粉々に散らばってしまう。
「うわっと……」
「おっとっとっ!?」
「のわぁっ!?」
持ち前の身軽さでレナとミナはどうにか砕かれた氷塊の中から自分が乗り込めるほどの大きさの氷塊に着地するが、ゴンゾウの場合は巨体である事と二人ほどの身軽さを持ち合わせていない彼は水中に沈んでしまう。それを見たコトミンが救助のために水中に潜り込む。
「ゴンゾ、助けてくる!!」
「コトミン!?」
『駄目です、迂闊に潜ったら水竜の餌食になりますよ!!』
「シャアアッ!!」
水中に落ちたゴンゾウとコトミンを見て水竜は標的を変更し、地震も水中に潜って沈んでいくゴンゾウとコトミンを追う。人魚族であるコトミンはすぐにゴンゾウに追いつく事は出来たが、巨体でしかも装備も身に付けているゴンゾウを抱えて水上に浮上するのには時間が掛かり、その間にも水竜は迫ってきていた。
『シャアアッ……!!』
『っ……!?』
水中で逃げ場がないコトミンはどうにかゴンゾウを抱えて距離を離そうとしたが、水竜の方が移動速度が速く、徐々に追いつかれてしまう。だが、水竜が二人に追いつく前に別の場所から水中に潜りこむ存在が現れ、それは雪月花を構えたシズネとレナだった。
逃げ惑うコトミンとゴンゾウから水竜は視線を逸らすと、水中に入り込んだレナとシズネに視線を向け、特に先ほど自分を凍り付かせようとしたシズネの姿を見て怒りを抱いた水竜は顎が引きちぎられかねないほどに開いてシズネに迫る。その光景を見てシズネは雪月花を構えるが、このような周囲が水に覆われた場所で雪月花の能力を解放すれば彼女も凍り付いてしまう。
『アガァアアアッ!!』
『……ごぼぉっ!!(今よっ!!)』
『ほぶかいっ(了解)』
しかし、迫りくる水竜に対してシズネと共に落ちたレナは掌を上に構えると、風の聖痕の力を発動させて水中で渦を作り出す。周囲が水で覆われた空間では聖痕の力を発揮するのは難しいが、事前に聖痕に蓄えていた魔力を利用してレナは水の中で渦潮を作り出し、水上に存在するはずのダインに合図を送った。
0
お気に入りに追加
16,510
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜
ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……?
※残酷な描写あり
⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。
ムーンライトノベルズ からの転載です。
西谷夫妻の新婚事情~元教え子は元担任教師に溺愛される~
雪宮凛
恋愛
結婚し、西谷明人の姓を名乗り始めて三か月。舞香は今日も、新妻としての役目を果たそうと必死になる。
元高校の担任教師×元不良女子高生の、とある新婚生活の一幕。
※ムーンライトノベルズ様にも、同じ作品を転載しています。
孤独な令嬢は狼の番になり溺愛される
夕日(夕日凪)
恋愛
アルファポリス様より書籍化致しました!8月18日が出荷日となっております。
第二部を後日更新開始予定ですので、お気に入りはそのままでお待ち頂けますと嬉しいです。
ルミナ・マシェット子爵家令嬢は、義母と義姉達から虐待を受けながら生きていた。しかしある日、獣人国の貴族アイル・アストリー公爵が邸を訪れ…。「この娘は私の番だ。今ここで、花嫁として貰い受ける」
そう言われその日のうちに彼に嫁入りする事になり…。今まで愛と幸せを知らなかった彼女に突然の溺愛生活が降りかかる…!
モブだった私、今日からヒロインです!
まぁ
恋愛
かもなく不可もない人生を歩んで二十八年。周りが次々と結婚していく中、彼氏いない歴が長い陽菜は焦って……はいなかった。
このまま人生静かに流れるならそれでもいいかな。
そう思っていた時、突然目の前に金髪碧眼のイケメン外国人アレンが…… アレンは陽菜を気に入り迫る。
だがイケメンなだけのアレンには金持ち、有名会社CEOなど、とんでもないセレブ様。まるで少女漫画のような付属品がいっぱいのアレン……
モブ人生街道まっしぐらな自分がどうして?
※モブ止まりの私がヒロインになる?の完全R指定付きの姉妹ものですが、単品で全然お召し上がりになれます。
※印はR部分になります。
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
【R-18】踊り狂えその身朽ちるまで
あっきコタロウ
恋愛
投稿小説&漫画「そしてふたりでワルツを(http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/630048599/)」のR-18外伝集。
連作のつもりだけどエロだから好きな所だけおつまみしてってください。
ニッチなものが含まれるのでまえがきにてシチュ明記。苦手な回は避けてどうぞ。
IF(7話)は本編からの派生。
【完結】淫魔なのに出乳症になってしまった僕の顛末♡
虹色金魚 (旧 怪盗枝豆 )
BL
娼館で男妾として働く淫魔で、かわいい系美少年のラミュカ(♂)は、ある日突然おっぱいからミルクが出てきてしまった!!お客には喜ばれるが心の中では嵐が吹き荒れる。
そんなラミュカに、同期で友人の同じく淫魔のロゼが、魔界の病院を紹介してくれた。
そこでの診察結果は…………
※実はかわいいものが大好き美しい悪魔先生(カタリナ)×かわいい系淫魔ラミュカ
※ラミュカ(受)が出乳症という病気(?)になって、男の子なのにおっぱいからミルクが出て来て困っちゃうお話です。
※ラミュカは種族&お仕事上客とエッチをガッツリしてます。
※シリアスではありません。
※ギャグです。
※主人公アホかと思います。
※1話だいたい2000字前後位です。
※こちらR-18になります。えっちぃことしてるのには☆印、えっちしてるのには※印が入っています。
※ムーンライトさんでも掲載しています。
※宇宙のように広いお心でお読みください※
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。