908 / 2,083
S級冒険者編
魔法と精霊の関係性
しおりを挟む
「貴方達はどういう風に気になるの?」
「……言葉では言い表すのは難しい」
「なんていうかな、その……とにかく落ち着かないんだよ。僕、暗いところは昔から怖くもないし、むしろ影魔法の本領を発揮できるから好きだったんだけど……ここは何故か全然落ち着かない。むしろ、嫌な予感がする」
「俺も同じだよ……多分、ここには精霊が存在しないのが原因かもしれない」
「精霊が存在しない?」
レナは簡単にこの場所には風の精霊が訪れないことを告げ、話を聞いていたダインも彼は闇の精霊の気配も感じない事に気づく。どうやらこの場所では何故か精霊は存在する事が出来ないらしく、それが魔術師組の感じる違和感の正体だと思われた。
「そうか……ここには精霊が存在しないから、きっと僕たちは落ち着かないんだ」
「精霊がいないと、落ち着かない?」
「どうして落ち着かないの?」
「あのな、僕たち魔術師は魔法を使うときは精霊の力を借りてるんだよ。魔法を使うとき、僕たちに周囲に存在する精霊の力を借りてるんだ」
「でも、それはエルフが扱う精霊魔法の話でしょう?」
「いいや、違うね。精霊魔法というのは精霊を意識して呼び出して魔法を強化させる魔法なんだよ。だけど、普通の魔術師でも魔法を扱うときは無意識に精霊を呼び寄せて力を貸してもらってるんだ」
ダイン曰く、精霊魔法の使い手ではない魔術師でも魔法を扱う際は無意識に周囲に存在する精霊を呼び寄せて力をかしてもらっているらしく、だからこそ魔術師にとっては「精霊」とは非常に大事な存在だという。
「僕も話に聞いていただけで実際に精霊なんて見えた事なんてなかったし、魔法を使うときに精霊の力を借りているなんて信じられなかったよ。だけど、この聖痕という奴が出てから前よりも精霊の存在をはっきりと感じ取れるようになった」
「そっか、ダインは闇の聖痕を持っていたよね」
レナもダインも聖痕の所有者のため、精霊の存在を感じ取り、場合によっては精霊を呼び寄せて従う事も出来た。精霊の力を借りるか借りないかでは魔法の効果も大きく異なり、森人族の扱う「精霊魔法」は分かりやすく言えば精霊の力によって最大限に魔法の効果を発揮させる術である。
「じゃあ、私たちが落ち着かないのは精霊がここにいないから?」
「そういう事になると思うけど……僕もさっきから闇の精霊を呼び出そうとしてるのに反応がないんだよ」
「ダインが闇の精霊にハブられてたりして……」
「何でだよ!?そういうレナだって風の精霊を呼び寄せられないだろ!?」
「冗談だって……でも、参ったな。ここだと多分だけど、魔法の力が弱まるかもしれない」
精霊が存在しない空間なのでレナ達は精霊の補助を受けられず、試しにレナは自分の魔力で魔法を発現させた。
「とりあえず暗いから……光球!!」
「おおっ、何だよ普通に魔法が使えるじゃないか……いや、あれ?小さくないか?」
「結構魔力を込めたつもりなんだけど……これじゃあ、蛍だね」
「小っちゃくて可愛い」
レナとしては周囲一帯を照らすほどの光量の光球を作り出そうとしたのだが、出てきたのは指先サイズの小さな光の塊であり、蛍のようにふわふわと照らす。この様子では明かりとしては心もとなく、これでは暗視の技能を使用して先に進んだ方が頼りになりそうだった。
「ダインも影魔法で確認してみなよ」
「そ、そうだな……なら、シャドーマン!!」
「……あら、可愛い」
ダインは杖を突き刺して魔法を発動させた瞬間、直径15センチほどの小さな影人形が作り出された。しかもいつも以上に体系も補足、まるで鉛筆で描いた「棒人形」のような存在に変化していた。その自分の影人形を見てダインは唖然とする。
「そ、そんな……僕の影魔法が、こんな暗闇の中にいるのにこの程度の魔法しか発揮できないなんて」
「お、落ち込まないで……その、僕は可愛いと思うよ」
「うん、いつもよりも小さくて可愛い気がする」
「でも、戦闘に役立ちそうはないわね」
本体であるダインが落ち込んだあまりに四つん這いになると、影人形の方も同じポーズを取る。どうやらダインの影魔法でさえも精霊の力を借りなければ効力は発揮されず、続けてコトミンも魔法を試そうとして彼女は水筒の水を掌に注ぐ。
「水刃」
コトミンは壁に向けて水を振り払い、普段ならば彼女の手元を離れた水は刃のように変化して壁を切り裂くはずだが、今回の場合は特に変化も起こさずに単純に壁に水を振りかける程度だった。それを見たコトミンは残念そうに首を振る。
「私も精霊魔法が使えない……ここだと回復魔法も使えないかもしれない」
「ま、マジかよ……どうするんだ?」
「だ、大丈夫だよ!!僕たちは平気だし、皆を守るよ!!」
「ああ、俺たちは特に問題ないからな」
「ここは私達に任せて貴方達は下がっていなさい。それに私の雪月花は問題なく使えるみたいね」
魔術師ではなく、戦闘職のゴンゾウ、ミナ、シズネは特に体に影響はなく、シズネの場合は雪月花を抜いて具合を確かめると、どうやら魔剣の類は問題なく扱えるのか特に支障はない。
※最弱職の方を読んでおられる方はお分かりかもしれませんが、最弱職の時代よりも過酷な環境になっています
「……言葉では言い表すのは難しい」
「なんていうかな、その……とにかく落ち着かないんだよ。僕、暗いところは昔から怖くもないし、むしろ影魔法の本領を発揮できるから好きだったんだけど……ここは何故か全然落ち着かない。むしろ、嫌な予感がする」
「俺も同じだよ……多分、ここには精霊が存在しないのが原因かもしれない」
「精霊が存在しない?」
レナは簡単にこの場所には風の精霊が訪れないことを告げ、話を聞いていたダインも彼は闇の精霊の気配も感じない事に気づく。どうやらこの場所では何故か精霊は存在する事が出来ないらしく、それが魔術師組の感じる違和感の正体だと思われた。
「そうか……ここには精霊が存在しないから、きっと僕たちは落ち着かないんだ」
「精霊がいないと、落ち着かない?」
「どうして落ち着かないの?」
「あのな、僕たち魔術師は魔法を使うときは精霊の力を借りてるんだよ。魔法を使うとき、僕たちに周囲に存在する精霊の力を借りてるんだ」
「でも、それはエルフが扱う精霊魔法の話でしょう?」
「いいや、違うね。精霊魔法というのは精霊を意識して呼び出して魔法を強化させる魔法なんだよ。だけど、普通の魔術師でも魔法を扱うときは無意識に精霊を呼び寄せて力を貸してもらってるんだ」
ダイン曰く、精霊魔法の使い手ではない魔術師でも魔法を扱う際は無意識に周囲に存在する精霊を呼び寄せて力をかしてもらっているらしく、だからこそ魔術師にとっては「精霊」とは非常に大事な存在だという。
「僕も話に聞いていただけで実際に精霊なんて見えた事なんてなかったし、魔法を使うときに精霊の力を借りているなんて信じられなかったよ。だけど、この聖痕という奴が出てから前よりも精霊の存在をはっきりと感じ取れるようになった」
「そっか、ダインは闇の聖痕を持っていたよね」
レナもダインも聖痕の所有者のため、精霊の存在を感じ取り、場合によっては精霊を呼び寄せて従う事も出来た。精霊の力を借りるか借りないかでは魔法の効果も大きく異なり、森人族の扱う「精霊魔法」は分かりやすく言えば精霊の力によって最大限に魔法の効果を発揮させる術である。
「じゃあ、私たちが落ち着かないのは精霊がここにいないから?」
「そういう事になると思うけど……僕もさっきから闇の精霊を呼び出そうとしてるのに反応がないんだよ」
「ダインが闇の精霊にハブられてたりして……」
「何でだよ!?そういうレナだって風の精霊を呼び寄せられないだろ!?」
「冗談だって……でも、参ったな。ここだと多分だけど、魔法の力が弱まるかもしれない」
精霊が存在しない空間なのでレナ達は精霊の補助を受けられず、試しにレナは自分の魔力で魔法を発現させた。
「とりあえず暗いから……光球!!」
「おおっ、何だよ普通に魔法が使えるじゃないか……いや、あれ?小さくないか?」
「結構魔力を込めたつもりなんだけど……これじゃあ、蛍だね」
「小っちゃくて可愛い」
レナとしては周囲一帯を照らすほどの光量の光球を作り出そうとしたのだが、出てきたのは指先サイズの小さな光の塊であり、蛍のようにふわふわと照らす。この様子では明かりとしては心もとなく、これでは暗視の技能を使用して先に進んだ方が頼りになりそうだった。
「ダインも影魔法で確認してみなよ」
「そ、そうだな……なら、シャドーマン!!」
「……あら、可愛い」
ダインは杖を突き刺して魔法を発動させた瞬間、直径15センチほどの小さな影人形が作り出された。しかもいつも以上に体系も補足、まるで鉛筆で描いた「棒人形」のような存在に変化していた。その自分の影人形を見てダインは唖然とする。
「そ、そんな……僕の影魔法が、こんな暗闇の中にいるのにこの程度の魔法しか発揮できないなんて」
「お、落ち込まないで……その、僕は可愛いと思うよ」
「うん、いつもよりも小さくて可愛い気がする」
「でも、戦闘に役立ちそうはないわね」
本体であるダインが落ち込んだあまりに四つん這いになると、影人形の方も同じポーズを取る。どうやらダインの影魔法でさえも精霊の力を借りなければ効力は発揮されず、続けてコトミンも魔法を試そうとして彼女は水筒の水を掌に注ぐ。
「水刃」
コトミンは壁に向けて水を振り払い、普段ならば彼女の手元を離れた水は刃のように変化して壁を切り裂くはずだが、今回の場合は特に変化も起こさずに単純に壁に水を振りかける程度だった。それを見たコトミンは残念そうに首を振る。
「私も精霊魔法が使えない……ここだと回復魔法も使えないかもしれない」
「ま、マジかよ……どうするんだ?」
「だ、大丈夫だよ!!僕たちは平気だし、皆を守るよ!!」
「ああ、俺たちは特に問題ないからな」
「ここは私達に任せて貴方達は下がっていなさい。それに私の雪月花は問題なく使えるみたいね」
魔術師ではなく、戦闘職のゴンゾウ、ミナ、シズネは特に体に影響はなく、シズネの場合は雪月花を抜いて具合を確かめると、どうやら魔剣の類は問題なく扱えるのか特に支障はない。
※最弱職の方を読んでおられる方はお分かりかもしれませんが、最弱職の時代よりも過酷な環境になっています
0
お気に入りに追加
16,534
あなたにおすすめの小説
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
断罪されているのは私の妻なんですが?
すずまる
恋愛
仕事の都合もあり王家のパーティーに遅れて会場入りすると何やら第一王子殿下が群衆の中の1人を指差し叫んでいた。
「貴様の様に地味なくせに身分とプライドだけは高い女は王太子である俺の婚約者に相応しくない!俺にはこのジャスミンの様に可憐で美しい女性こそが似合うのだ!しかも貴様はジャスミンの美貌に嫉妬して彼女を虐めていたと聞いている!貴様との婚約などこの場で破棄してくれるわ!」
ん?第一王子殿下に婚約者なんていたか?
そう思い指さされていた女性を見ると⋯⋯?
*-=-*-=-*-=-*-=-*
本編は1話完結です(꒪ㅂ꒪)
…が、設定ゆるゆる過ぎたと反省したのでちょっと色付けを鋭意執筆中(; ̄∀ ̄)スミマセン
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。