816 / 2,083
外伝 ~ヨツバ王国編~
石化対策
しおりを挟む
「私の影を……!?」
「ダイン!!」
「任せろぉっ!!」
キラウの影人形が崩壊した瞬間、ダインが即座に自分の生み出した影人形を操作してキラウの身体を掴むと、壁際へ追い込む。影人形の右手がキラウの瞳を塞ぎ、石化の魔眼を封じた状態で拘束する。
「このまま大人しくしてろっ!!」
「……こんな粗末な闇魔法で私を抑えつけられると思っているの?」
「何だと……!?」
「ダークフレイム!!」
影人形に顔面を抑えつけられた状態からキラウは両手を押し当てた状態で魔法を発動させ、闇属性と火属性を組み合わせた魔法を放つ。黒色の炎が影人形を覆いこむと、ダインは苦痛の表情を浮かべて膝を付く。
「ぐあっ……!?」
「ダイン殿!?」
「ど、どうしたの!?」
「哀れね……シャドーマンは自身の影によって作り出された存在、言わば分身のような物よ。当然、影人形を痛めつければ本人にも苦痛が走る事を知らなかったのかしら?」
「そんな馬鹿なっ!?ならば先ほど影人形を崩壊したお主が無事なはずがないでござる!!」
「影は自由自在に形を変える事が出来る。だから攻撃を受けて形が崩れたとしても痛みは受けない……けど、全体を焼き尽くされれば話は別よ」
「うああっ!?」
打撃に対しては無敵といっても過言ではない影人形だが、炎などの攻撃に対しては意外と弱いらしく、影人形が炎に包まれるとダインは全身が焼かれるような痛みを味わう。但し、あくまでもダインの感じる苦痛は精神的な物であり、肉体には影響はない。
しかし、精神とはいえ実際に痛みを味わう感覚が襲い掛かるのは事実であり、ダインは耐え切れずに影魔法を解除してしまう。その瞬間、キラウは目を見開くと魔眼を光り輝かせて「石化」の能力を発動した。
「石像と化せ!!」
「ぐぅっ!?」
「うあっ!?」
「ま、またっ……!!」
キラウと視線を合わせた人間の身体が徐々に石化を始め、咄嗟にレナとハンゾウとエリナは瞼を閉じて石化は免れる事は出来たが、他の者達は反応が間に合わずに石化が始まってしまう。だが、石化の対策として同行させた魔獣達の出番だった。
「キュロロロッ!!」
『ぷるっしゃあああっ!!』
「ぶわぁっ!?」
「冷たっ!?」
「わあっ!?」
「……何ですって?」
事前に大量の精霊薬を補給していたスラミンとヒトミンが口から精霊薬を放ち、次々と石化を始めた人間達に精霊薬を注いで石化を解除させる。石化が始まった状態ならば精霊薬を浴びるだけで一瞬で解除されるらしく、全身が濡れてしまうが全員が石化から解除された。その様子を見てキラウはスライムを利用して自分の石化を解除させるという奇想天外な方法に驚愕する。
一方でカレハの方も精霊薬を浴びせる事で石化が解除される事は事前に予測済みだったため、結界に阻まれながらもマリアに指示を出す。最優先に狙うのは精霊薬を体内に保管するスライム達だと判断したカレハはマリアに命令を行う。
「マリア、あのスライム達を始末しなさい!!」
「……了解」
「させるかっ!!」
マリアがスラミンとヒトミンを標的に定めると、2匹を抱えて居るアインに杖を構えた。だが、マリアが攻撃を仕掛ける前にレナが動き、風の聖痕を利用して退魔刀に風の魔力を宿わせて攻撃を行う。
「喰らえっ!!」
「おおっ!?いつの間にシュン殿の技!?」
レナが退魔刀を振りぬくと、刀身から三日月を想像させる風の斬撃が発生し、マリアの元へと放たれる。それを見たハンゾウはハヤテやシュンのように風の斬撃を生み出したレナに彼女は驚きの声を上げる。二人と幾度も対戦した事があるレナだからこそ風の聖痕を利用すれば二人の攻撃を真似る事は難しくない。
風の精霊の力を借りている以上、生半可な砲撃魔法ではレナの攻撃には対処できず、マリアは迫りくる風の斬撃に対して杖を構えると魔法を発動させた。
「プロテクション」
先ほどの「マジックシールド」とは異なる紋様の魔法陣が出現すると、レナの放った風の斬撃は魔法陣によって弾かれてしまう。マジックシールドよりも上位に位置する防御魔法であり、魔法に対する耐性が高い。
以前にマリアが腐敗竜の侵攻を食い止めるほどの効力を持つ「プロトアイギス」と呼ばれる結界魔法陣を見たことがあるレナは、単調な攻撃が防がれる事を想定済みであり、今度は魔法陣を掻い潜ってマリアに直接近付く事にした。
「近付きさえすれば……」
「私の事を忘れてないかしら?シャドウ・ウォール!!」
「うわっ!?」
しかし、マリアに近付く前にキラウが杖を床に叩きつけると、彼女の影が伸びてレナとマリアの間に漆黒の壁を作り出す。ダインが覚えていない影魔法を使用された事でレナの反応が遅れ、その隙にキラウは次の手を講じる。
「ダイン!!」
「任せろぉっ!!」
キラウの影人形が崩壊した瞬間、ダインが即座に自分の生み出した影人形を操作してキラウの身体を掴むと、壁際へ追い込む。影人形の右手がキラウの瞳を塞ぎ、石化の魔眼を封じた状態で拘束する。
「このまま大人しくしてろっ!!」
「……こんな粗末な闇魔法で私を抑えつけられると思っているの?」
「何だと……!?」
「ダークフレイム!!」
影人形に顔面を抑えつけられた状態からキラウは両手を押し当てた状態で魔法を発動させ、闇属性と火属性を組み合わせた魔法を放つ。黒色の炎が影人形を覆いこむと、ダインは苦痛の表情を浮かべて膝を付く。
「ぐあっ……!?」
「ダイン殿!?」
「ど、どうしたの!?」
「哀れね……シャドーマンは自身の影によって作り出された存在、言わば分身のような物よ。当然、影人形を痛めつければ本人にも苦痛が走る事を知らなかったのかしら?」
「そんな馬鹿なっ!?ならば先ほど影人形を崩壊したお主が無事なはずがないでござる!!」
「影は自由自在に形を変える事が出来る。だから攻撃を受けて形が崩れたとしても痛みは受けない……けど、全体を焼き尽くされれば話は別よ」
「うああっ!?」
打撃に対しては無敵といっても過言ではない影人形だが、炎などの攻撃に対しては意外と弱いらしく、影人形が炎に包まれるとダインは全身が焼かれるような痛みを味わう。但し、あくまでもダインの感じる苦痛は精神的な物であり、肉体には影響はない。
しかし、精神とはいえ実際に痛みを味わう感覚が襲い掛かるのは事実であり、ダインは耐え切れずに影魔法を解除してしまう。その瞬間、キラウは目を見開くと魔眼を光り輝かせて「石化」の能力を発動した。
「石像と化せ!!」
「ぐぅっ!?」
「うあっ!?」
「ま、またっ……!!」
キラウと視線を合わせた人間の身体が徐々に石化を始め、咄嗟にレナとハンゾウとエリナは瞼を閉じて石化は免れる事は出来たが、他の者達は反応が間に合わずに石化が始まってしまう。だが、石化の対策として同行させた魔獣達の出番だった。
「キュロロロッ!!」
『ぷるっしゃあああっ!!』
「ぶわぁっ!?」
「冷たっ!?」
「わあっ!?」
「……何ですって?」
事前に大量の精霊薬を補給していたスラミンとヒトミンが口から精霊薬を放ち、次々と石化を始めた人間達に精霊薬を注いで石化を解除させる。石化が始まった状態ならば精霊薬を浴びるだけで一瞬で解除されるらしく、全身が濡れてしまうが全員が石化から解除された。その様子を見てキラウはスライムを利用して自分の石化を解除させるという奇想天外な方法に驚愕する。
一方でカレハの方も精霊薬を浴びせる事で石化が解除される事は事前に予測済みだったため、結界に阻まれながらもマリアに指示を出す。最優先に狙うのは精霊薬を体内に保管するスライム達だと判断したカレハはマリアに命令を行う。
「マリア、あのスライム達を始末しなさい!!」
「……了解」
「させるかっ!!」
マリアがスラミンとヒトミンを標的に定めると、2匹を抱えて居るアインに杖を構えた。だが、マリアが攻撃を仕掛ける前にレナが動き、風の聖痕を利用して退魔刀に風の魔力を宿わせて攻撃を行う。
「喰らえっ!!」
「おおっ!?いつの間にシュン殿の技!?」
レナが退魔刀を振りぬくと、刀身から三日月を想像させる風の斬撃が発生し、マリアの元へと放たれる。それを見たハンゾウはハヤテやシュンのように風の斬撃を生み出したレナに彼女は驚きの声を上げる。二人と幾度も対戦した事があるレナだからこそ風の聖痕を利用すれば二人の攻撃を真似る事は難しくない。
風の精霊の力を借りている以上、生半可な砲撃魔法ではレナの攻撃には対処できず、マリアは迫りくる風の斬撃に対して杖を構えると魔法を発動させた。
「プロテクション」
先ほどの「マジックシールド」とは異なる紋様の魔法陣が出現すると、レナの放った風の斬撃は魔法陣によって弾かれてしまう。マジックシールドよりも上位に位置する防御魔法であり、魔法に対する耐性が高い。
以前にマリアが腐敗竜の侵攻を食い止めるほどの効力を持つ「プロトアイギス」と呼ばれる結界魔法陣を見たことがあるレナは、単調な攻撃が防がれる事を想定済みであり、今度は魔法陣を掻い潜ってマリアに直接近付く事にした。
「近付きさえすれば……」
「私の事を忘れてないかしら?シャドウ・ウォール!!」
「うわっ!?」
しかし、マリアに近付く前にキラウが杖を床に叩きつけると、彼女の影が伸びてレナとマリアの間に漆黒の壁を作り出す。ダインが覚えていない影魔法を使用された事でレナの反応が遅れ、その隙にキラウは次の手を講じる。
0
お気に入りに追加
16,510
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜
ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……?
※残酷な描写あり
⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。
ムーンライトノベルズ からの転載です。
西谷夫妻の新婚事情~元教え子は元担任教師に溺愛される~
雪宮凛
恋愛
結婚し、西谷明人の姓を名乗り始めて三か月。舞香は今日も、新妻としての役目を果たそうと必死になる。
元高校の担任教師×元不良女子高生の、とある新婚生活の一幕。
※ムーンライトノベルズ様にも、同じ作品を転載しています。
孤独な令嬢は狼の番になり溺愛される
夕日(夕日凪)
恋愛
アルファポリス様より書籍化致しました!8月18日が出荷日となっております。
第二部を後日更新開始予定ですので、お気に入りはそのままでお待ち頂けますと嬉しいです。
ルミナ・マシェット子爵家令嬢は、義母と義姉達から虐待を受けながら生きていた。しかしある日、獣人国の貴族アイル・アストリー公爵が邸を訪れ…。「この娘は私の番だ。今ここで、花嫁として貰い受ける」
そう言われその日のうちに彼に嫁入りする事になり…。今まで愛と幸せを知らなかった彼女に突然の溺愛生活が降りかかる…!
モブだった私、今日からヒロインです!
まぁ
恋愛
かもなく不可もない人生を歩んで二十八年。周りが次々と結婚していく中、彼氏いない歴が長い陽菜は焦って……はいなかった。
このまま人生静かに流れるならそれでもいいかな。
そう思っていた時、突然目の前に金髪碧眼のイケメン外国人アレンが…… アレンは陽菜を気に入り迫る。
だがイケメンなだけのアレンには金持ち、有名会社CEOなど、とんでもないセレブ様。まるで少女漫画のような付属品がいっぱいのアレン……
モブ人生街道まっしぐらな自分がどうして?
※モブ止まりの私がヒロインになる?の完全R指定付きの姉妹ものですが、単品で全然お召し上がりになれます。
※印はR部分になります。
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
【R-18】踊り狂えその身朽ちるまで
あっきコタロウ
恋愛
投稿小説&漫画「そしてふたりでワルツを(http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/630048599/)」のR-18外伝集。
連作のつもりだけどエロだから好きな所だけおつまみしてってください。
ニッチなものが含まれるのでまえがきにてシチュ明記。苦手な回は避けてどうぞ。
IF(7話)は本編からの派生。
【完結】淫魔なのに出乳症になってしまった僕の顛末♡
虹色金魚 (旧 怪盗枝豆 )
BL
娼館で男妾として働く淫魔で、かわいい系美少年のラミュカ(♂)は、ある日突然おっぱいからミルクが出てきてしまった!!お客には喜ばれるが心の中では嵐が吹き荒れる。
そんなラミュカに、同期で友人の同じく淫魔のロゼが、魔界の病院を紹介してくれた。
そこでの診察結果は…………
※実はかわいいものが大好き美しい悪魔先生(カタリナ)×かわいい系淫魔ラミュカ
※ラミュカ(受)が出乳症という病気(?)になって、男の子なのにおっぱいからミルクが出て来て困っちゃうお話です。
※ラミュカは種族&お仕事上客とエッチをガッツリしてます。
※シリアスではありません。
※ギャグです。
※主人公アホかと思います。
※1話だいたい2000字前後位です。
※こちらR-18になります。えっちぃことしてるのには☆印、えっちしてるのには※印が入っています。
※ムーンライトさんでも掲載しています。
※宇宙のように広いお心でお読みください※
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。