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外伝 ~ヨツバ王国編~

石化対策

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「私の影を……!?」
「ダイン!!」
「任せろぉっ!!」


キラウの影人形が崩壊した瞬間、ダインが即座に自分の生み出した影人形を操作してキラウの身体を掴むと、壁際へ追い込む。影人形の右手がキラウの瞳を塞ぎ、石化の魔眼を封じた状態で拘束する。


「このまま大人しくしてろっ!!」
「……こんな粗末な闇魔法で私を抑えつけられると思っているの?」
「何だと……!?」
「ダークフレイム!!」


影人形に顔面を抑えつけられた状態からキラウは両手を押し当てた状態で魔法を発動させ、闇属性と火属性を組み合わせた魔法を放つ。黒色の炎が影人形を覆いこむと、ダインは苦痛の表情を浮かべて膝を付く。


「ぐあっ……!?」
「ダイン殿!?」
「ど、どうしたの!?」
「哀れね……シャドーマンは自身の影によって作り出された存在、言わば分身のような物よ。当然、影人形を痛めつければ本人にも苦痛が走る事を知らなかったのかしら?」
「そんな馬鹿なっ!?ならば先ほど影人形を崩壊したお主が無事なはずがないでござる!!」
「影は自由自在に形を変える事が出来る。だから攻撃を受けて形が崩れたとしても痛みは受けない……けど、全体を焼き尽くされれば話は別よ」
「うああっ!?」


打撃に対しては無敵といっても過言ではない影人形だが、炎などの攻撃に対しては意外と弱いらしく、影人形が炎に包まれるとダインは全身が焼かれるような痛みを味わう。但し、あくまでもダインの感じる苦痛は精神的な物であり、肉体には影響はない。

しかし、精神とはいえ実際に痛みを味わう感覚が襲い掛かるのは事実であり、ダインは耐え切れずに影魔法を解除してしまう。その瞬間、キラウは目を見開くと魔眼を光り輝かせて「石化」の能力を発動した。


「石像と化せ!!」
「ぐぅっ!?」
「うあっ!?」
「ま、またっ……!!」


キラウと視線を合わせた人間の身体が徐々に石化を始め、咄嗟にレナとハンゾウとエリナは瞼を閉じて石化は免れる事は出来たが、他の者達は反応が間に合わずに石化が始まってしまう。だが、石化の対策として同行させた魔獣達の出番だった。


「キュロロロッ!!」
『ぷるっしゃあああっ!!』
「ぶわぁっ!?」
「冷たっ!?」
「わあっ!?」
「……何ですって?」


事前に大量の精霊薬を補給していたスラミンとヒトミンが口から精霊薬を放ち、次々と石化を始めた人間達に精霊薬を注いで石化を解除させる。石化が始まった状態ならば精霊薬を浴びるだけで一瞬で解除されるらしく、全身が濡れてしまうが全員が石化から解除された。その様子を見てキラウはスライムを利用して自分の石化を解除させるという奇想天外な方法に驚愕する。

一方でカレハの方も精霊薬を浴びせる事で石化が解除される事は事前に予測済みだったため、結界に阻まれながらもマリアに指示を出す。最優先に狙うのは精霊薬を体内に保管するスライム達だと判断したカレハはマリアに命令を行う。


「マリア、あのスライム達を始末しなさい!!」
「……了解」
「させるかっ!!」


マリアがスラミンとヒトミンを標的に定めると、2匹を抱えて居るアインに杖を構えた。だが、マリアが攻撃を仕掛ける前にレナが動き、風の聖痕を利用して退魔刀に風の魔力を宿わせて攻撃を行う。


「喰らえっ!!」
「おおっ!?いつの間にシュン殿の技!?」


レナが退魔刀を振りぬくと、刀身から三日月を想像させる風の斬撃が発生し、マリアの元へと放たれる。それを見たハンゾウはハヤテやシュンのように風の斬撃を生み出したレナに彼女は驚きの声を上げる。二人と幾度も対戦した事があるレナだからこそ風の聖痕を利用すれば二人の攻撃を真似る事は難しくない。

風の精霊の力を借りている以上、生半可な砲撃魔法ではレナの攻撃には対処できず、マリアは迫りくる風の斬撃に対して杖を構えると魔法を発動させた。


「プロテクション」


先ほどの「マジックシールド」とは異なる紋様の魔法陣が出現すると、レナの放った風の斬撃は魔法陣によって弾かれてしまう。マジックシールドよりも上位に位置する防御魔法であり、魔法に対する耐性が高い。

以前にマリアが腐敗竜の侵攻を食い止めるほどの効力を持つ「プロトアイギス」と呼ばれる結界魔法陣を見たことがあるレナは、単調な攻撃が防がれる事を想定済みであり、今度は魔法陣を掻い潜ってマリアに直接近付く事にした。


「近付きさえすれば……」
「私の事を忘れてないかしら?シャドウ・ウォール!!」
「うわっ!?」


しかし、マリアに近付く前にキラウが杖を床に叩きつけると、彼女の影が伸びてレナとマリアの間に漆黒の壁を作り出す。ダインが覚えていない影魔法を使用された事でレナの反応が遅れ、その隙にキラウは次の手を講じる。
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